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「その男」~大阪新歌舞伎座さよなら公演~ [舞台]

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 六月いっぱいで大阪の新歌舞伎座は“なんば駅”前から近鉄“上本町駅”にお引っ越し。新劇場は新・新歌舞伎座になるのかは知らないけど(笑)、さよなら公演という名前がついて上演中の上川隆也主演、原作・池波正太郎の「その男」を観に行ってきました。

5月2日(土)~27日(水)までの約1ヶ月という長い公演、その前は東京芸術劇場での公演が行われており、東京からここまでリピーターとして観に来られた方も多いのでは?

私はというと、大阪に住んで3年ですが新歌舞伎座は近くを通ることはありましたが入ったのはこれが初めて。なのでなんばでは最初で最後。

劇場の外には役者さんの名前を書いた色とりどりののぼりが立てられ艶やかです。ロビーに入るとお弁当やお菓子を売るコーナー、なぜか劇場とは全く関係ないように見えるすご~くお安めの婦人服とか(1000円とかね)まで並んでいます。お弁当は最初の休憩が30分入るのでその間に食べるんですって。二回目の休憩は10分しかありませんのでなにか食べるのはアイスモナカがいいかも。アイスモナカはバニラと抹茶があり、劇場の方が籠に入れて売りに来ます。モナカは保冷器に入っていなくて普通の手持ちの籠に入れて売ってるんですが「あれって溶けないのかしらね?」と友人と心配していたら隣のご夫婦が買って「すごく固い!」とこぼしていましたからカッチンカッチンなんでしょう。(^.^)

もちろんパンフ(2500円)も売りに来てくれます。観客席から見上げると2F席に沿って赤い提灯が二つ縦に並んだものがぐるっと並んでかけられてかわいいです。時代劇にはなかなかいい雰囲気。こんな和テイストの劇場は初めて。今回の座席は1Fの12列目、「ムサシ」の時は遠かったのに比べ花道からは3番目でいいお席です。ここなら役者さんの顔もわかるはず、ちょっと期待。

お話は・・・<パンフより>

主人公、杉虎之助(上川隆也)は微禄ながら旗本の嫡男。生来の病弱に加えて義母にうとまれ、そんな我が身を儚んで十三歳のとき大川に身を投げるが、謎の剣士・池本茂兵衛(平幹二朗)に助けられた。この日が波乱の人生の第一歩だった。
その後、茂兵衛を師と仰ぎ江戸に戻った虎之助、十九歳。叔父、山口金五郎(六平直政)との久々の再会。謎の女、秀(キムラ緑子)と出会い、また、人生最大のライバル、中村半次郎(池田成志)や生涯の友、伊庭八郎(波岡一喜)との交友を深める虎之助は、幕末の風雲急をつげるそのころ、京に上り、茂兵衛が幕府の隠密であったことを知る。師とともに薩摩の行動を探索する礼子(内山理名)に恋し、それを助ける虎之助。
薩摩との暗闘は虎之助の想像を超えたものになろうとするとき、茂兵衛は告げる。「江戸に戻れ。礼子と所帯を持って世の流れに関わりなく生きよ。」そして、幾ばくかの平穏とささやかな幸せのとき。でも世間は剣士、杉虎之助を放っておくことはしなかった・・・・・。

 

なんといっても上川隆也さん、超カッコイイ~。ヽ(^◇^*)/ 上川さんの舞台にハズレ無しです。そして期待通り花道も歩いてくださいました。舞台用の化粧なので目の辺りがちょいと濃いめなんですが、斜め後ろから見るお顔はとても凛々しくて美しかったです。この公演中に44歳の誕生日を迎えられたのだとか。

この舞台はラサール石井さんの演出ということで、才能がある人はなんでもこなしちゃうんですね、舞台演出までされてるとは。途中でクスリと笑えるところがたくさんばら撒かれてて、クイズ番組でインテリな部分ばかり目立ってるラサール石井さん、そういえば「コント赤信号」っていうお笑い出身だったんですよね。さすが笑いの専門家、そしてきっちり最後はほろりとさせて上手いです。そうそう、上川さんが何回も「私はブスが好きなんです!」ってセリフを言ってくれるんですが「え、そうなんですか?」ってぽぽっと喜んじゃったりして。あ、たとえそれが台詞だったとしてもね。

幕末から昭和までを生き抜き、時代の流れや移ろいを見つめていく虎之助。病弱だったことと家庭の不遇を嘆いて幼いころに大川に身を投げるんですが、平幹二郎演じる池本茂兵衛に助けられそれから池本を師と仰ぎ人生をプラス思考に変えて生き抜いていく男。風雲急を告げる時代にあって、若い男なら幕府か反幕府として戦いたいご時世。隠密の池本に鍛えられて剣の達人となった虎之助も池本の役に立つなら死んでもいいと思っているのですが「時世にかかわらず、人としてまっとうに生き抜け」という師匠の言葉にも逆らえない。江戸で知り合った親友の伊庭八郎、薩摩で西郷と共に闘う中村半次郎、師匠の池本茂兵衛も妻の礼子も・・・次々に命を散らせていく。

二幕が下りた時に友人がぽつりと「みんな、いなくなっちゃったね。」ほんとだ、主要人物はほとんどいなくなっちゃった。

三幕目はおじいちゃんになった虎之助が現れます。

幕末のお話では京都・江戸・礼子との旅の途中とあらゆる場面に殺陣がふんだんに使われててその殺陣の専門家の皆さんの華麗な技(舞い!)立ち回りには感動しました。すごいです、特殊技能です。着物で剣を持っているのに切られて回転して倒れるんですのものね~。んー、もう鮮やか。

カーテンコールもほかの舞台とは違って上川さんと出演者の皆さんがそれぞれ刀を抜いて対決してくれるのが面白い。殺陣の皆さんは切られた後はくるっと空中を回転して倒れる・・・んじゃなくて観客の皆さんににっこり笑ってお辞儀してくれますし、子役のちび虎之助と大人の虎之助が対決。ちび虎之助にばっさり切られて痛そうな顔の上川さん、劇中はあり得ない設定ですよね。このちび虎之助君、刀さばきが上手くてニクイ。もちろん師匠の平さんとも対決してくれるんですが、弟子が先にやられましたって膝をついて平さんがおどけた顔をしたり、こんな楽しいカーテンコールは初めて。お客さんの拍手もなり止みませんでした。アドリブもあるはずだからここが見たくてまた訪れる人もいるんじゃないかしら。

そうして桜の花びらが一気に会場に舞い散り幕はおります。この時、この会場に落ちてくる多量の花びらなんですがすべて桜の形をしていました。きゃ~こんなところにも凝っているんだって花びらを2,3枚拾って帰るお客さん達。う~ん、素晴らしい。楽しませてくださってありがとう。

人生は川の流れのごとくなんですね。水にのまれて流れて行く人もあれば、河原で流れを見つめている人もいる。虎之助は河原で見つめる人だった訳ですが歴史の表舞台に出なくても、しっかりと地に足をつけて生きていることが本当は大切なんだって思わせてくれる舞台でした。そう考えると・・・あ、前回の「ムサシ」と同じテーマなのかしら?

千秋楽は明後日の27日です。これから行かれる人はチケットが8000円(1Fは通常12000円)で買えるそうなので是非、直接窓口かぴあ、ローソンチケットでどうぞ。まだいい席が残っていると思いますよ。千秋楽には音楽担当の津軽三味線奏者の上妻宏光さんの出演が決まっているそうです。生演奏が聞けるチャンス、仕事休もうかしら。インフル・・・あ、いやいや・・。それを言ったらしばらく来るなって言われそうだから諦めますか。

出演;上川隆也 内山理名 キムラ緑子 池田成志 波岡一喜 六平直政 平幹二朗

原作/池波正太郎 脚本/鈴木聡 演出/ラサール石井 作曲/上妻宏光

 


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キキ

みなみーさん。
niceをありがとうございます。
by キキ (2009-07-28 10:11) 

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