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ラ・ラ・ランド [映画【やらわ】]

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本年度・第89回アカデミー賞でのごたごたは前回書いた通りですが、作品賞誤報トラブルのニュースも宣伝となり、やはりその後の注目度ナンバーワンはこの映画。

『タイタニック』『イヴの総て』と並び、史上最多14部門でのノミネート。
監督賞・主演女優賞・撮影賞・作曲賞・歌曲賞・美術賞の6部門を受賞しました。

冒頭の渋滞した高速道路でのミュージカルシーンは素晴らしいですね。
朝の大渋滞でいらいらしながら止まっている車から一人の女性が歌い出し、やがて次々にドライバー達が降りて踊りながら歌い出す。

ワンカットでカメラが長回しで撮ってます。
ダンサーもカメラマンも何度も練習しての名場面なんでしょう。
ここから一気にミュージカルの世界に入り込みます。

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ストーリーはハリウッドのワーナーブラザーズのカフェで女優になるためにバイトをするミア(エマ・ストーン)と、いつか自分のジャズの店をもつことが夢のピアニストのセバスチャン(デミアン・チャゼル)、ふたりの恋物語。

この日は渋滞に巻き込まれながらもオーディションのセリフを覚えようと必死のミア、その後ろを運転していたセバスチャン。
ふたりはこの高速道路で初めて出会うのだけれど最初の印象は最悪。

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次はクリスマスの夜、この日もオーディションに落ちたミアが通りを歩いていると聞こえてくるピアノの調べ。
曲に導かれてバーに入るミア。
このシーンも、高速道路のシーンも最後の伏線になっていきます。
ミアが店に入ると、この曲を弾いたばかりに店をクビになってしまったセバスチャンがいます。
話しかけようとするミアを無視して、セバスチャンは去っていきます。

やがて冬から季節は春、次の再会場所はプールサイド。
日暮れの街を背にふたりが躍るシーンへとつながります。
マジックアワーと呼ばれる日が落ちる美しい瞬間を踊るふたり。

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長いことかかってやっとここから恋に落ちていくのですが、監督は『シェルブールの雨傘』など往年の美しくも悲しいラブストーリーになぞってストーリーを展開してますからね、長くは続かない幸せです。

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ジャズの店を持つ夢のために意思を曲げて加入したバンドが売れ出したセバスチャン。

一方が売れ始めるとふたりは会う時間も少なくなり、ミアは自分の才能に自信を失くしていきます。
自分で脚本も書いた一人芝居をやって経済的にも大失敗をしたミア、もう女優の夢を諦めると言いだすのです。
でも結果、この一人芝居が彼女の人生を変えていくのですが、その後、時は一気に5年後となります。

この映画の監督のデミアン・チャゼルが好きな映画の一つというミュージカル映画の『シェルブールの雨傘』。
16歳の美しい少女は恋をして将来を約束した青年がいます。
でも彼は突然軍隊に入ることとなり「2年後に帰ってくる」と言い残して去ってしまいます。
愛した彼が去って泣き暮らす少女。
そこに少女に求愛をするリッチな男性が現れ、少女は悩みながらもその男性と結婚し街を出ます。
やがて2年後に戻った青年は彼女がいなくなったことに驚き哀しみますが、別の女性と結婚。
時は経ち何年も過ぎたクリスマスイヴ。
偶然青年が経営するガソリンスタンドにお客として現れる元少女。
彼女は裕福層そうで、お互いに子供もいます。
ふたりはそのまま、本当の別れをするのです。

これが王道ラブストーリー。
そんな悲恋を現代的にアレンジして、美しい映像で空も飛ぶしね。
夢を持つ素晴らしさ、恋、挫折、別れ、再会などを盛り込ませています。

『セッション』を観た時になんて若いすごい感覚の監督が出てきたぞとびっくりしましたが、今回はそれよりも毒が抜けたというのか落ち着いた映画で、本来はこの映画を撮りたかったということでした。
『セッション』といい、『ラ・ラ・ランド』といい音楽はハーバード大学時代のルームメイトのジャスティン・ハーウィットが担当、今回、監督賞と共に作曲賞と歌曲賞の同時受賞となりました。

 


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