おみおくりの作法 [映画【あ行】]
イギリス映画です。
ロンドンの公務員、民生係のジョン・メイ(エディ・マーサン)。
最後にわかるのですが44歳です。もちょっと年上に見えました。独身です。
仕事は担当地区で孤独死をした人の後始末。
一人で担当しています。
その方の家に出向き、大家さんの話を聞いたり残された遺品から家族や知人を探し出し連絡を取っていきます。
ですが、孤独死をする人は問題を抱えていることが多く家族と疎遠になっていますので引き取り手がみつかりません。
ジョンはその几帳面さからそんな人たちの葬儀までも出してあげていました。
見知らぬ死者であっても遺品から見つけたBGMを選び、神父に語ってもらう最後の弔辞も考えてあげるのです。
出来る限りの暖かい葬儀で沢山の死者たちを送り出してきました。
でもそんな彼の仕事ぶりは上司には認められてはいませんでした。
上司は言います。
「葬式なんて生きてる人の為のもの。身寄りがいなければさっさと火葬にしておしまいにしろ」と。
時間とコストをかけたジョンはリストラとなり、今朝見つかった男が最後の仕事となってしまいました。
最後の仕事はご近所の男でした。
その男の家族探しにのめりこむジョン。
今まで静かだった生活に少しづつ動きが見えてきます。
そしてジョンにも新しい生活が訪れる予感がしたとき衝撃の展開が。
ラストは教えない方がいいですね。
衝撃の展開のあと、じんわりと涙がこぼれます。
質素で同じ生活を送っているジョン。
晩御飯は缶詰とパンだけ。
そんな彼の生活がユーモアも交えながら淡々と語られます。
ジョン自身、独り身ですし仕事以外の友達も家族もいなさそう。
ジョンのアルバムにはなんと調査が終了した孤独死の人たちの写真が並んでいます。
その写真は若くて綺麗な顔立ちであったり結婚式ではにかんでいたりと、孤独死をするとは思えないほどの微笑みに満ちた写真ばかりでした。
生きるとはなにかをしみじみと考えさせてくれる深くて静かな映画でした。★★★★☆
監督・脚本:ウベルト・パゾリーニ
アメリカン・スナイパー [映画【あ行】]
クリント・イーストウッド監督の新作を前作から期間を空けず早々に観ることが出来ました。
話題性の高さで公開初日の昨日、土曜日、レイトの遅い時間にも関わらず映画館は大入りだったので驚いてしまいました。
席がかなり前の方だったのでその大半を占めるイラクでの戦闘シーンが辛いものになってしまいました。後ろにすればよかったです。
2回も観て、ラストには立ち上がって拍手をしたくなった前回「ジャージーボーイズ」とは打って変わった戦争映画、どんよりとした気分で今回の映画は観終わってしまいました。
作品賞・主演男優賞他6部門で、明日発表の第87回アカデミー賞にノミネートされています。
以下ラストにも触れております。
米国史上最強と謳われた米国海軍特殊部隊ネイビー・シールズ狙撃手クリス・カイルのベストセラー自伝の映画化です。
イラク戦争の際、その狙撃の腕前で味方からは「レジェンド(伝説)」と言われたクリス。
彼は2003年から2009年の間に4度のイラク遠征を経験することになります。
スナイパーであるクリスは部隊から少し離れた場所でスコープを覗き、敵がいればそれが女性であろうと幼い子供であろうと自分の判断で狙撃しなければなりません。
敵も仲間も一瞬の判断で死体となる壮絶な戦場体験は、妻子が待つ米国に戻っても平和な日常に適合できないほどでした。
カイルは幼い頃父親からは「お前は弱い羊たちを守る牧羊犬になれ、狼にはなるな」と教え育てられます。
アメリカ大使館爆破事件をテレビで観て海軍に志願、特殊部隊ネイビーシールズに配属されたころ結婚、子供も生まれますがアメリカ同時多発テロが起こり、やがてイラク戦争へ派遣されていく様子が丁寧に描かれていきます。
プロデューサーを務める主演のブラッドリー・クーパーですが、映画のはじめからどんどんマッチョになっていき、後半は首の太さが倍になってるんじゃないの?と思ってしまいました。
「世界にひとつのプレイブック」の俳優さんだとはとても思えない体格。
勿論重い銃を担ぎ、撃たれた味方を引きずり弾から守り運ばねばならないのですからヒョロヒョロじゃ現実感はないのですがハリウッドの俳優の肉体改造は本当にすごいと思います。
昨年の主演男優賞に輝いた「ダラス・バイヤーズクラブ」のマシュー・マコノヒーは逆に病気でガリガリに痩せた体になっていたし…。すべては役者魂というべきなんですね。
ラストはクリスに幼いお子さんがいるという配慮で暗い予感を感じさせる妻の眼差しと字幕だけで終わります。
中東の悲劇、そして戦争が戦場だけではないという闇。
助けているつもりの、しかも敵ではない同国の元軍人からの仕打ちで命を落とす…という悲しいラストにも息が詰まります。 ★★★★
監督:クリント・イーストウッド
インターステラー [映画【あ行】]
今年最初に観た、宇宙での生き残りをかけての決死のサバイバル『ゼロ・グラビティ』の世界か、はたまた1998年作の地球に衝突する小惑星を破壊するために自らを犠牲にし地球を守る『アルマゲドン』の様な展開となるのか。
クリストファー・ノーラン監督の描く地球の危機と宇宙。
宇宙空間をしっかり体験したかったのでIMAXにて鑑賞しました。
これから観る方は席は少し前の席がいいですよ。
後ろの席だと宇宙の大画面が前面に広がらないのでもったいないです。
お話は近未来、地球は食糧危機で人類は滅亡寸前。
主人公クーパー(マシュー・マコノヒー)は過去に優秀な航空飛行士として活躍していたのですが、今は父と15歳の息子トムと10歳の娘マーフ(ジェシカ・チャステイン)と共にトウモロコシ畑を営んでいました。
そんなある日、マーフの部屋で本棚からひとりでに本が落ちるという超常現象が起きます。
幽霊の仕業か?なんて話も出るのですが、ある座標を示すその現象を調べるうちにかつての仕事仲間のブラント教授(マイケル・ケイン)と再会していくのです。
ブラント教授は大昔にとっくに解体したはずのNASAをこっそり続けていました。
そしてダメになった地球を捨てて他の銀河に新天地を見つけるという計画を密かに遂行していたのです。
教授はクーパーに第2の地球を探す旅に協力してほしいと頼みます。
でもそれはクーパーにとっては愛する家族との長い別れを意味しました。
人類を救えば愛する自分の家族を救うこととなると信じ、クーパーは激しく反対する娘マーフに「絶対に帰ってくる」と約束して宇宙船エンデュアランスで地球を後にします。
ここまでがクーパーの地球でのお話です。
宇宙船の搭乗員はクーパーの他、教授の娘アメリア博士(アン・ハサウェイ)、物理学者のロミリー、地質学者のドイルの四名、そして人工知能ロボットTARSとCASEの二体。
教授はすでに12隻の宇宙船を打ち上げていたのでそこから3つの優秀な調査船が地球に有望だという信号を送ってきていました。
クーパー達はその3つの惑星を訪ねてそこが居住できる第2の地球となる惑星であるかを調べるのです。
ここから相対性理論に基づいていくのですが私には詳しいことはよくわからず…とにかくブラックホールが近い惑星では時間の流れが地球よりかなり速いようです。
クーパー達が最初に目指した水の惑星なんか1時間は地球の7年間になってしまうというのです。
作業がぐずぐずしてたらその間に地球が滅亡してしまいます。
そんなリスクを冒して訪ねた惑星でしたが先に着陸して信号を出していた船の残骸が見つかっただけで収穫はなかったうえ、アメリア博士のミスで大津波に飲み込まれドイル隊員が死んでしまいます。
アメリア博士はロボットのお蔭でどうにか戻れたものの、やっとステーションに戻ると数時間の間に23年の時が流れており水の星に行かずにエンデュアランスで待機していたロミリー隊員はすっかり老けこんでいました。
一方地球では成長したマーフが教授と共にNASAで働いていること、クーパーの父が亡くなっていること、息子のサムは結婚して子供が産まれていたことをビデオメッセージで知ることとなります。
最初の星で収穫が無かった上に時間と燃料を消費してしまったクーパーが次に向かうのはマン博士(マット・デイモン)が待つ氷の星。
天才と言われるマン博士の惑星でもトラブルが続くクーパー。
果たしてマーフとの約束通り、再び会える日が来るのか。
真剣に観てるんですけど相対性理論とかワームホールだとか5次元とか。
正直よくわかんないので置いていかれる感はあります。
使命が大切と思っても命が惜しいマン博士、家族とも会いたいと願うクーパー。
そして別の惑星にいるはずのアメリアの恋人との再会はあるのか。
やがて宇宙と地球に離れていても、父からのメッセージを娘が解読していくという、まさにそのために選ばれた二人だったという壮大な親子愛のお話にラストは向かっていきます。
最初に戻って幼いマーフの部屋にいた幽霊は実は…という種明かし。
クーパー演じるマシュー・マコノヒーがかなり完璧なパイロット。
どんな危機を迎えても諦めないすごい男なのです。
こりゃもうトウモロコシ作っているだけじゃいられなかったはずです。
役とはいえ『ダラス・バイヤーズクラブ』でゲッソリ痩せてたのが嘘のようですが、あの信念を貫く演技があったからこの映画に抜擢されたんじゃないかしら。
アン・ハサウェイが出てたしお互い独身の役なので恋愛も絡んでくるかと思ったんですけど、残念ながれそれは無し。
ひたすら時間と空間を超えた『親子愛』の物語でした。
でかい四角の棒が4本くっついたようなロボットは仕事も出来るし冗談も心得たなかなか使える奴。
是非お家に一台欲しいロボットです。 ★★★★
悪童日記 [映画【あ行】]
ハンガリー生まれの女性亡命作家アゴタ・クリストフのベストセラー小説を映画化したものです。
第2次世界大戦が激しさを増し<大きな町>から母親の実家の<小さな町>へ疎開することになる双子の兄弟。
おばあちゃんは村人からは「魔女」と呼ばれていて、孫の「ぼくら」を「牝犬の子」と呼び重労働を強いては殴るのだ。
それでも「勉強だけは止めてはいけない」という母のいいつけを守り仕事を終えれば聖書を教科書にして勉強するぼくら。
聖書に書かれている言葉も暗記してしまうほどだ。
でも〝汝、殺すなかれ”っていうけどみんな殺してる。
正しいはずの聖職者は不正を行い、ぼくらは何も悪いことをしてないのに意味なく殴られている。
何かがおかしいと思っても変えることは出来ない今。
それならば肉体と精神を鍛え過酷な毎日をたくましく生き抜いていくしかない。
優しく美しい少女がユダヤ人を差別する姿に絶望し彼女の家に爆薬を仕込むこと。
ソビエト軍に殺される仲良しだった隣の娘の母親の死にたいという願いを叶えてあげること。
おばあちゃんの尊厳死を手伝うのは、悪なのか。
真実だけを書くというルールでつづられる父親から贈られた日記帳。
文字だけではなく写真を張り付けたり、パラパラ漫画や絵も交えて書き進められていきます。
お母さんからおばあちゃんに預けられたその日より双子には過酷な日々が始まって、人間というものの醜さや哀しさ、不条理が次々に押し寄せてきます。
これがデビュー作となるアンドラーシュ&ラースロー・ジェーマントが主人公の双子を演じてますが透明感がある二人です。この二人を支えておばあちゃん役らのベテラン俳優陣が脇をしっかり固めて重くのしかかるような空気を漂わせる映画になっていました。
原作は1986年にフランスで刊行され口コミでベストセラーになり、40ヶ国以上の国で翻訳されています。
双子の少年の日記というかたちでやがて殺人さえも躊躇しなくなる少年らの行動がつづられていきます。
原作は数々の文学賞に輝いていますがこれまで『ソハの地下水道』のポーランドのアグニェシュカ・ホランド監督や『偽りなき者』のデンマークのトマス・ヴィンターベア監督が映画権を獲得しながらも実現には至らず、作者と同じ故郷のハンガリーのヤーノシュ・サース監督によって映画化されました。
カルロヴィ・ヴァリ映画祭でグランプリを獲得した後、アカデミー外国語映画賞・ハンガリー代表に選ばれていますが上映館が少ないです。
大阪だと現在TOHOシネマズ梅田のみで1日1回しか上映されていません。 ★★★★☆
思い出のマーニー [映画【あ行】]
「どうして私を置いていってしまったの!?どうして私を裏切ったの!?」
「ああ杏奈、私の大好きな杏奈、お願い!私を許してくれるって言って!」
ジブリの最新作。
英国、ジョージ・G・ロビンソンによる同名児童文学を原作にしたファンタジーアニメーション作品。
公開後2か月近くになってます。
杏奈は 「この世には目に見えない魔法の輪があって、輪には内側と外側があり、自分は外側にいる」 と考えている中学生の女の子。
幼いころに両親を失くして、養父母に育てられている杏奈は疎外感でいっぱい。
学校で喘息発作を起こしてしまった杏奈は、治療をかねて養母の親戚の夫婦が住む北海道の海辺の小さな村で夏休みを過ごすことになり、村の「湿っ地屋敷」で金髪の女の子と出会います。
昔、外国人が所有していたという古い洋館。
今は誰も住んでいないはずの洋館に住む金髪の少女。
いないはずのマーニーに、
「あなたは誰?」
「・・・わたしたちのことはぜったい秘密よ、永久に。」
マーニーは結局誰だったのか?なぜ杏奈しか見えないのか。
いや、杏奈の前に現れるのはなぜなのか。
謎解きは最後にマーニーを知る村のおばさんが全部を話してくれるという展開に、がっかり。
マーニーの生い立ちはもちろん、その後まで全部知っているんですもん。
あの巨匠たちと比べるのはいけないのでしょうが監督の力不足はそこここに感じてしまいます。
ジブリの看板は重いけど、米林監督には巨匠にない若い感覚で毛むくじゃらのお化けがドングリの包をくれたり、鹿が巨大な神さまになったりするような夢物語を一つでもいいから見せて欲しかったです。
主役の二人以外の人物に印象的な人が一人もいなかったのも残念でした。
背景はとても美しかったです。 ★★★
監督: 米林宏昌 『借りぐらしのアリエッティ』
怪しい彼女 [映画【あ行】]
韓国映画です。
韓国映画なら『サニー 永遠の仲間たち』が大好きな私。
偶然病院で再会した末期癌の親友の頼みで、青春時代に一緒に過ごした仲間を探す主婦のお話で、若かったころのほろ苦い初恋や仲間たちとの恥ずかしい失敗が盛り込まれた笑って泣けるなかなかいい映画なのです。
その映画で主人公の少女時代を演じたシム・ウンギョンが今回も毒舌婆ちゃんの若返った姿を演じるということ。
『サニー・・・』は韓国でかなりヒットした映画なんですけど、同じテイストで作られた映画でした。
70歳となったマルスン(ナ・ムニ)。
若い頃に旦那とは死別、それからは必死に働いて一人息子(ソン・ドンイル)を大学教授に育て上げた苦労人。
今は息子夫婦と孫二人と一緒に暮らしています。
口の悪さでは誰にも負けないマルスンは、働いてる店ではお客と髪を掴む喧嘩するわ、同居する嫁さんをストレスで入院させるわでもう大変。
嫁と母との間に挟まれる息子ももちろん大変です。
そんな時にマルスンは自分の遺影を撮るつもりで入った写真館を出るとあ~ら不思議。
どんな魔法なのか20歳のころの自分(シム・ウンギョン)に戻ってしまっています。
若返ったマルスンは名前を変え、昔憧れていた歌手を目指すのです。
果たせなかった夢をもう一度叶えたいという夢が詰まったこの映画。
やっぱりシム・ウンギョンの演技が見所です、若いのに婆ちゃんになりきってます。
彼女ってあんまり美人じゃないところがいいのよね、味があるっていうのかしら。
ポスターの写真を見るとちょっとイメージが違います・・・なんでこの写真を選んだのかなって謎です。
ついでにいうと「怪しい彼女」っていうタイトルもいただけない気がします。
婆ちゃん役のナ・ムニはドラマでよくみるベテラン女優さんですね。
有名なのは「私の名前はキム・サムスン」でのヒョンビンのお母さん役とか。
二十歳の婆ちゃんは歌います。
結婚してすぐに出稼ぎに出て二度とは帰らぬ夫の姿。
息子を産んで一人で途方にくれ道に落ちたくず野菜を拾っている姿。
辛かった過去が走馬灯のように浮かんでは消えていきその辺の若僧たちとはキャリアが違うとみせつけます。
孫息子、幼い時から婆ちゃんに恋するパクさん、嫁になかなか行けないパクさんの娘、婆ちゃんが恋するイケメンプロデューサーなどなど面白い脇役も沢山出てきて、ラストはちょっと悲しいけどいっぱい笑えるストーリーになってました。
老いていくのは辛いけど「生まれ変わってもお前の母になりたい」という台詞に涙する人は多いと思います。
オチは予想が出来ないですよ。
なかなか粋なので内緒にしときます。
上映館が少ないのが残念。 ★★★★
監督は「トガニ 幼き眼の告発」など社会派映画のファン・ドンヒョク。
オール・ユー・ニード・イズ・キル [映画【あ行】]
トム・クルーズが6月26日木曜日、福岡・大阪・東京を1日で移動する弾丸キャンペーンを行った新作映画です。
大阪では道頓堀を舟で3.5キロ川上りをし、グリコの看板で有名な戎橋の両岸に集まった3000人のファンに「マイド、オオキニ!」と挨拶したという・・・。トムったらおちゃめ。
戸田奈津子さんが後ろからそう言いなさいって言ったのかしら?
ファンも「まいど~!」と返したようで、さすが心得てます。
トムはロンドン・パリ・ニューヨークを1日で3か国を回るキャンペーンも行っています。
原作は桜井洋著のライトノベル。
筒井康隆らに激賞されたいわゆる「タイムループ」ものです。
10代~20代をターゲットにした小説なので主人公キリヤ・ケイジは小説では初年兵の少年ですが
トムが主人公ということで、戦争なんか大嫌いなヘタレ広報官、ウィリアム・ケイジ少佐に設定変更されています。
その他諸々原作とは大幅な変更があったらしいのですが・・・時は近未来。
突如現れた地球外生命体「ギタイ」との戦いが行われている世界です。
人類はヨーロッパの殆どを攻略され,各国の兵士が集められての戦いが繰り広げられていた。
元は広告代理店で働いていた広報官のケイジ少佐(トム・クルーズ)は統合軍の将軍にロンドンに呼び出され、明日の作戦への参加を命令される。
血が大嫌いなケイジは参加を拒否をするが将軍の命令で逮捕されたあげく、次の瞬間手錠を付けられ作戦準備が行われているヒースロー空港で目覚めるのだった。
そこで自分は脱走兵扱いの2等兵として明日の戦闘に参加しなければならないということに驚き、自分の立場を必死に説明するのだが誰もわかってもらえず、銃のセーフティすら外せない初心者戦闘員のままフランス上陸作戦に強制参加させられることになってしまう。
翌朝、出撃したケイジ達J小隊を乗せた飛行機は上空で爆発、そこから降下してギタイとの戦いが始まるが圧倒的な力の敵に味方は次々と倒されていく。
安全装置すら外せないケイジは戦場をウロウロ彷徨っていると、鬼人のような強さで敵を蹴散らす女性兵・リタ(エミリー・ブラント)を目撃する。
しかしそのリタもあっけなく敵に倒され死んでしまう姿を見て絶望するケイジ。
その後、ケイジは反撃するチャンスを得て他のギタイとは全く違う「青いギタイ」に至近距離攻撃を行う。
敵の血液を顔に浴びたケイジは顔が溶けてギタイと共に同士討ち、死んでしまうのだった。
☆そこから始まるタイムループ☆
次の瞬間、再びヒースロー空港で目覚めるケイジ。
あれは夢だったのか?
しかしまた始まる昨日と同じ光景、同じセリフ、同じ人々。
やはり飛行機に乗せられ飛行機は墜落、同じ戦場に突入し、そして死ぬ。
目覚めるとヒースロー空港に戻るのだ。
繰り返される死と目覚め。
この状態を抜け出すには行動を変えていかなければと気づくケイジは再びリタと出会った時に全てのタイミングを知っていた為彼女を助ける事に成功。
この事により、実はリタも今は能力を失くしていたが前の戦いでループ能力を持っていたこと、青いギタイの返り血を浴びたことでケイジにループ能力が備わったことを聞き出す。
ループ能力はケイジが最初の戦いで同士討ちした「青いギタイ」が元々持っていた能力で、青いギタイはをケイジが体験したように何度も死を繰り返しながら人類に少しづつ勝ちを収めて現在があるという。
そのギタイを偶然倒したケイジはギタイの持つループに巻き込まれてしまったのだ。
やがて始まるリタによる訓練で怪我をしてもリタに殺され(リセット)、目覚め、同じ日を果てしなく繰り返していくケイジ。
全てを理解したケイジは繰り返される戦いと訓練で見違えるような強さと行動力を備え、敵に勝ちループを終わらせる方法を試行錯誤していくのだった。
ゲームみたいなお話でさすが日本原作小説。
死んでも同じ場所からまた始めて、前の記憶が残っているので失敗した経験から違う側面から攻めて、ダメなら次、次、次・・・・というものですから最初は丁寧な説明が施されますがストーリーがどんどん端折られてこれは一体何度目のお話なのかは分からなくなります。
主人公もトムなのにアメコミみたいな強いヒーローじゃありません。
どこにでもいる普通の男がどんどん経験値をあげて強くなっていくのです。
何回やっても倒せない敵にどうすればいいのか、どうあがいてもリタが死んでしまうのを回避するには何が必要か。
画面からストーリーを追うのが大変~、でも面白いです。
にょろにょろしたギタイが沢山迫ってくるのはほんとに怖いしね。
ラスト近くでループ能力が消えてしまうケイジは絶体絶命、最後の1回をどう戦い抜く?
原作とはストーリーが変更されているので先に小説やコミックを読んでいる方も楽しめそうです。
(原作のラストは日本的、映画はアメリカっぽい感じです。)
映画のラスボスとの対決はパリのルーブル美術館。
さすがハリウッド映画と思えるスピーディな展開と素晴らしい映像で近未来を魅せてくれます。
監督は、『ボーン・アイデンティティー』『Mr.&Mrs. スミス』などのダグ・ライマン。★★★★☆
円卓 こっこ、ひと夏のイマジン [映画【あ行】]
大阪の団地で大家族と暮らすちょっぴり偏屈な小学3年生の少女のひと夏の成長をユーモラスに描いた感動作ってことでさっそく観てきました。
監督は『世界の中心で、愛をさけぶ』や『クローズド・ノート』などの行定勲監督。
原作は「きいろいゾウ」などで知られる西加奈子の小説。
神戸出身の芦田愛菜ちゃんの関西弁の演技はさすがでした。
お話は両親(八嶋智人・奈良県出身)(羽野晶紀・京都府出身)とおじいちゃん(平幹二朗・広島県出身)、おばあちゃん(いしだあゆみ・大阪府池田市出身)、三つ子の姉(青山美郷=3役・兵庫県出身)という大家族に囲まれ団地住まいのこっこ(芦田愛菜)は家族の愛を沢山もらって暮らしているけど「こどく」にも憧れています。
関西弁の発音にはかなりうるさい大阪人を納得させるキャスティングですね。
半沢直樹でもそうでしたが太陽の塔が出ると大阪っぽくなるのかな。太陽の塔があるのは吹田市なんだけど・・。
今回はよく見る正面じゃなくて太陽の塔の背中が観れます。
小学校3年生の夏休み少し前。
こっこは眼帯のクラスメートの「ものもらい」に憧れます。
そして「ふせいみゃく」で倒れてしまったクラスメートの男の子の事ももうらやましくてたまりません。
でも早速真似をすると先生(丸山隆平)が怖い顔をするのはなんで?
悩んで悩んで、それが不快な想いをさせることならいけない事なのだと親友のぽっさん(伊藤秀優)と一緒に考えます。
「イマジン」=それは想像すること。相手がどう思うかを考えること。
おじいちゃんが教えてくれたこの「イマジン」を心に刻んでこっこは成長していきます。
親友のぽっさんは吃音、あだ名をつけるのが大好きなゴックんはベトナムからのボートピープル、ふせいみゃくで倒れた学級委員の朴君は在日韓国人と個性豊かなクラスメートたち。
大人は様様な理由で可哀想とか大変だと思っている境遇も子供同士だとそこは問題じゃなかったり、ふと、小学校3年生って自分はどんなだったんだろうって記憶をたどりながら観てしまいました。
両親が離婚することになる朴君は転校が決まり「中学になったらまた同じ中学で会えるから」と言います。
「でも3年半ってすっごく長いし、中学になったら思春期になるから男女は話さなくなるんや」なんて真剣な会話、ちょっと笑えます。
こんなぷぷっと笑える会話やエピソードが次から次に出ていくんだけど、いいことばかりじゃない。
一人でいた時、変態の鼠人間と出会ってしまうこっこ。
この最大のピンチに息を飲みます。
子供であるってことは危険もいっぱいなんだなと。
「うっさい、ボケ!」と何でも思ったことを口に出していたこっこですが、誰にも喋れなかったことを親友ぽっさんとブランコで話すシーンには胸が熱くなりました。
夕焼け、ウサギ小屋、濃いめのカルピス、ジャポニカ、朝顔、鹿?夜中の物音にも不思議がたくさん。
懐かしい風景にしばし小学生に戻れた時間でした。
愛菜ちゃんが顔に乗せてたウサギはいかにもCGって感じで、そこだけ残念。
夏でウサギが弱っていたと聞いたけどそれでCGになったのかな?
一人三役を演じてたお姉ちゃんはすごく自然に三つ子でした。 ★★★★☆
WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~ [映画【あ行】]
「ウォーターボーイズ」「ハッピーフライト」の矢口史靖監督作品。
今回もなかなかの高評価の映画ですよね。
原作は直木賞作家・三浦しをん。
主人公の勇気(染谷将太)は都会に住む高校生。
彼は大学の受験に失敗。
そのせいで高校の同級生の彼女にも別れを告げられ、これから大学生になる同級生とも距離を感じてたところに可愛い女の子が表紙のパンフレットを見つけて林業研修プログラムに申し込むことにします。
研修場所の三重県のお山に着くと携帯の電波は届かないし、パンフの女の子もいない、マムシやヒルは沢山いるし、現場は過酷。
今時の若者の勇気には1年間も耐えられそうにない。
早速都会に帰ろうとするけど言いだすタイミングも逃してしまったところに偶然パンフの女の子(長澤まさみ)がバイクで現れ考えが変わります。
逃げ出したくてもバス停が見つからない。
駅に行っても次の電車が6時間後、など超田舎の神去村。
軽い気持ちで林業の世界に飛び込んだ主人公、都会との時間の流れの違いに戸惑います。
ですが、祖父の時代に植えた樹を今の自分たちが切り倒しお金に換えて生活し、今日苦労して植えた苗木は孫の代に使われるということもわかっていきます。
苗木がいいものに育つように陽の光を浴びるようにと環境を整えていく、何十年も先の為に今働くという長い年月の営みの繰り返しが林業。
TVでのCMでよく流れていた「ヒルに股をやられた奴~」と子供に笑われるシーンなど笑える場面が沢山あります。
夜中に台所で飲んだコップの水にはおばあちゃんの入れ歯が入っていたりとか。
そして山の神様が主人公のお供えしたおにぎりのお礼で村の少年を助けてくれる神秘的なエピソードもあります。
下ネタ多いですけど山の暮らしが自然や神様と一緒に寄り添っていると思わせて心がなごみます。
残念なのは主人公は元カノが連れてきたかつての自分のようなチャラ男大学生たちを追い返しどんどん村の男になっていきますが、結局女の子のバイク後ろで遅れた祭りの先頭に連れていってもらうこと。
これは原作通りなのかな?
何十年に一度の神聖なお祭りにバイクで乗り付けるなんてアリかしら?
ラストも予想していた通りですしね・・・。その分安心して観ていられますが。
主人公を担当する指導員の伊藤英明さんが山の男を好演。
彼の奥さんに優香さん。
「苦役列車」でも光っていたマキタスポーツさんもなかなか印象的。
私は長野県松本市に住んでいましたので海より絶対山派。
道祖神が街のあちこちに普通にあった暮らしが蘇りました。★★★☆
X-MEN:フューチャー&パスト [映画【あ行】]
5月27日、火曜日。
久しぶりに試写会に当選、しかも舞台挨拶付きプレミア試写会~♪
TOHOシネマズ梅田すごい!!ありがとう。
もしかするとヒュー・ジャックマンが目の前の壇上に?・・・なんて美味しい話ではありませんでした。
ん~残念。
こんなハガキだとせめて剛力彩芽ちゃんがきてくれるのかとも思ったんですが、お二人は東京です。
主演のヒューと吹替え声優で出演の剛力彩芽ちゃん(ミスティーク役よね?)が映画館の大画面に映し出されて、
大阪のアナウンサーと会話する形式での舞台挨拶でした。ヒューの横には通訳さんがいます。
この日の剛力ちゃんはモノトーンのドレス姿でとってもキュート。
(全身ブルーのタイトなドレスだったら良かったのにね。)
ヒュー・ジャックマンの横にちょこんと立っていましたけどお顔からかなりの緊張が伝わってきます。
アナウンサーはヒューに沢山質問してましたけど
「もし剛力彩芽ちゃんがX-MENに出演するとしたらどんな役がいいでしょう?」なんて無茶ぶり質問もありました。
彼はう~んと考えて
「フルートが上手で歌も上手くてダンスも出来る彼女だから・・・・そうだ、フルートを吹きながら戦うフルートファイターなんてどうかな?」と。
んな、あほな。
でも剛力彩芽ちゃんがフルートが吹けるなんて日本人でも知りませんよね。
ヒューはプロペラダンスの事も知っているのかな?
彼のこの博識な回答に大阪の会場にいる誰もが感動した瞬間でもありました。
さて映画なんですが、3Dの字幕版での上映でしたので剛力彩芽ちゃんの声優としての力量は全くわかりませんでした。
X-MENは今回で7作目ということでお話が広大になってます。
最初に戦ってるメンバーも登場人物多すぎで誰が誰やら。
お好きな方なら大丈夫でしょうが、私のような記憶力の悪い方、そして初めての方などは前作の「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」(2011)とシリーズ1作目「X-MEN」(2000)は予習してないとラストにニヤリ、が出来ないかと思われます。
今回のストーリーは、2023年です。
バイオメカニカルロボットのセンチネルっていうすごいロボットと戦っているX-MEN。
センチネルの圧倒的パワーにメンバーは次々に倒れていきます。
こりゃまずいってとこまできてしまったその時、プロフェッサーX(パトリック・スチュワート)とマグニートー(イアン・マッケラン)らが協力し、ウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)を1973年の彼の体に魂だけ送りこむという最後の手段に出るのです。
そしてセンチネルが作り出されることのない未来を創る、つまり歴史を塗り替えるという作戦に人類の未来を託します。
痛い思いをしつつ一人だけ1973年に精神を送り込まれるウルヴァリン。
でも行ってみると若きプロフェッサーX(ジェームズ・マカウォイ)は超ヘタレ。能力無くしてて使い物になりません。
若きマグニートーは幽閉されていますが助け出しても協力的じゃないし。
変幻自在の全身ブルーのミスティーク(ジェニファー・ローレンス)も人を信じてないので全く言うこと聞いてくれません。
いつもはやんちゃでプロフェッサーから怒られてるウルヴァリンが今回は最年長でみんなを軌道修正する役です。
未来から過去へ、そしてまた未来へ。
今までの記憶とは違う未来へと変わるなら今までの長い戦いのお話は無かったことになるんかい?おいおい、というなんともややこしいお話でした。
ジェニファーは今回も真っ青。
『世界にひとつのプレイブック』(2012年)で第85回アカデミー賞主演女優賞を獲得した彼女だけど、この役の方が私にはピンとくる役です。体張ってますしね。
ヒュー・ジャックマン、パトリック・スチュワート、ジェームズ・マカウォイ、イアン・マッケラン、マイケル・ファスベンダー、ハル・ベリー、アンナ・パキン、ショーン・アシュモア、エレン・ペイジ、ニコラス・ホルトなど豪華キャストが再結集。
いったいどれくらいの出演料の映画なんでしょ。
ジェームズ・マカウォイはやさぐれてる役だけど今回も素敵。 ★★★☆
監督は、「X-MEN」、「X-MEN2」のブライアン・シンガー。