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勝手にふるえてろ [映画【か行】]

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久しぶりに邦画を観てきました。
大変評判がいい映画ですよね。
映画館のパンフもこの映画だけは売り切れていました。


こじらせ女子っていうのはこの主人公のヨシカみたいな女の子を言うのかな。
内容にやや触れてますのでこれからの方は読まないでね。
芥川賞作家・綿矢りさの同名小説の映画化です。 


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東京で働くОL、雪国出身の24歳、B型、彼氏無しのヨシカはある日会社の同期の営業課「二」に交際を申し込まれる。
地味で引っ込み思案の彼女はいままで誰とも付き合ったことがなく、中学生時代から10年間同級生の「一」に脳内で片思い中。それは大事件だった。

それでも同僚のくるみに相談しつつ「二」と付き合おうかなと思い始めているのだが。
しかし、どうしてもどうしても「一」のことが諦めきれない。
自宅アパートでボヤを起こしてしまったのがきっかけで「死ぬ前にもう一度「一」に会いたい!」と他人の名前を借りて中学の同窓会を開催することに。
やっとの思いで10年間妄想でしか会っていなかった「一」とついに再会を果たすのだった。


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主演の松岡茉優さんって初めて映画で観ましたが可愛いですね。


後半想像以上にヨシカは妄想が炸裂する毎日を送っていたことがわかってきます。
学生の時の引っ込み思案が大人になったからってなおってるはずはないですものね。


「二」に告白されたことでちょこっと自信がついたのか、中学生の時は眼も合わせられなかった憧れの王子「一」にあわや告白するの?と頑張るんだけど、彼はヨシカの名前すら覚えていなかったことを知りそのショックでまた自信のない女の子に戻っちゃうの。


そして「二」には今まで誰とも付き合ったことがなかったということを知られてプライドが傷ついてしまう。
会社を休んで引きこもるけど会社に出した休暇願いが産休届ってアリ?


めちゃくちゃだけどそんなヨシカの行動に共感する女子も多いかもね。
逆に男子はこんな女は面倒くさいと引いちゃうのかな。


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絶滅危惧種が大好きでアンモナイトの化石に話しかけるのは不器用で絶滅してしまった動物たちに自分を重ねているから。
不器用な私の恋も絶滅した方がいいですか?と歌い出すヨシカ。


ラストのタイトル「勝手にふるえてろ」は自分に?「二」に?
現実から逃げてばかりの主人公が現実に向き合っていくっていうのでハッピーエンド。
10年の片思いより、今支えてくれる心強い味方を手放すのはもったいないよね。


監督は大九明子。細かい女心がわかってると思ったら女性の監督さんでした。



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婚約者の友人 [映画【か行】]

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監督はフランゾワ・オゾン。フランス映画です。
私はオゾン監督の映画は赤ちゃんの背中に天使の様な羽が生える「リッキー」(09)以来です。


この映画は謎が多い映画。
嘘もたくさん出てきます。
映画を観ている間は無意識に「次はこうなるんだろう」とか「本当は死んでいないんじゃないのか」なんて思いながら観てますよね。
ハリウッド映画だと大きくは違わないか又は違っても納得できるものも多いんですけどフランス映画は思いもつかない方向に突っ走ります。
この映画では「え?」「そうくるの?」と何回思ってしまったことでしょう。


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映画はほとんど白黒です。
ただ冷えついた心が温かくなった時だけ(ほんの少しの間だけですが)カラーに変わるんです。


時は第一次世界大戦が終わったころのドイツの田舎町。
身寄りがないアンナ(パウラ・ベーア)は兵役が終わって戻ってきたら結婚するはずだった婚約者のフランツ(アントン・フォン・ルケ)の家族と暮らしながら、フランツのお墓に行くことが日課でした。
近所の男性に求婚されてもフランツの事が忘れられないアンナは拒否を続けています。


ある日アンナはフランツの墓の前に佇み泣いているフランス人の男・アドリアン(ピエール・ニネ)を見かけます。
戦争前にフランスに留学していた時のフランツの友人だと思ったアンナ。
フランツが愛したフランス語で文通していたハンナはフランス語も流暢です。
やがてアドリアンにルーヴル美術館でのフランツが好きだった絵のこと、フランツに教えてたバイオリンの話などの思い出話を遠慮気味に話す彼に好意を抱きはじめます。


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ドイツでは敵国だったフランス人への憎しみが満ちていました。
フランツの両親も大事な息子を殺した敵国フランス人のアドリアンとは会いたくないと言いますが徐々に打ち解けはじめ、夕食に何度も誘っては息子の残したバイオリンを弾いて欲しいと頼みます。
しかしフランツのバイオリンを弾きながら倒れてしまうアドリアン・・・どんどん情緒が不安定になっていきます。
実は彼には打ち明けるつもりでも打ち明けられない秘密があったのです。
ドイツに来たのもその為だったのですが、その秘密を一人打ち明けられたアンナの驚きは入水自殺を試みるほどでした。


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逃げ帰るようにフランスに帰るフランツを探すために今度はアンナがフランスに向かいます。
「あなたが好きだ」と告げるために。でも彼の消息はなかなかつかめませんでした。


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第一次世界大戦で戦ったフランスとドイツ。
アンナはフランスに行くと、アドリアンがドイツで受けたと同じ人種迫害をうけます。
むしろフランス人の方の痛みが強いようにも描かれています。


困難を乗り越えてようやくアンナがアドリアンに出会った時、またもやショックを受けることが起こります。
「そんなひどい」「そんなこと言うか?」って仕打ちの連続でピエール・ニネが美しい顔で繰り出す天然のパンチをボコボコに食らってしまった気分。
いい男ってなに言ってもいいと思ってんやろか。


男の嘘は自分のため、そして女の嘘は思いやる家族のため。
女は嘘をつき続けるしかないのでしょうか。
哀しいエンディング、でも現実的な終わり方っていうべきかもね。




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牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 [映画【か行】]

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1991年の台湾映画です。(公開は92年)
上演時間が188分版と236分版が存在するらしく、今回25年ぶりにデジタルリマスター版として公開されたのは236分版。
2007年に亡くなったエドワード・ヤン監督の生誕70周年・没後10年となる今年にあわせての公開。
台湾で実際に起こった未成年の少年による殺人事件がモチーフとなった映画です。

約4時間(!)で途中休憩もないのでとにかく長い映画。
必ずトイレに行ってから観てね。
それから登場人物が多いのと、呼び名が複雑で例えば小公園とか217ってなに?って迷う部分も多いので予備知識があったほうがお話に入れると思います。

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1960年。台北。
主人公・小四(シャオス―)は外省人の両親と英語の堪能な長姉、クリスチャンの次姉、兄と妹の兄弟たちと暮らす次男で建国中学夜間部に通う中学生。外省人とは大陸から台湾に渡った移民のこと。
小四は最初は真面目な学生だったが段々と問題を起こしていく。
世の中は不公平でうまくいかないものとなっていくのだ。
不良少年グループの「小公園」のメンバー、王茂(小猫王)や飛機(フェイジー)が友達。

ある日、小明(シャオミン)という女の子と知り合い好意を持つ。
でも、彼女は小公園の伝説のリーダー・ハニ―の恋人。
その小公園と敵対するのは「217」というグループ。
小明は217の村出身なのに小公園のリーダーと付き合っていることでもめていた。
小四が彼女と知り合った時はハニーは行方不明中。
そんなハニーが突然街に帰ってくる。なんと、セーラー服姿。

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ハニーは小明と小四が好き合ってることを見抜いて、でも小四を傍らに呼んでする話は小説「戦争と平和」のこと。
その後、ハニーは217に殺されてしまい、ハニーの替わりに小明を守って生きていくと誓う小四。
でも、小明はそんなことを求めてはいない。
小明が小四の親友小馬(シャオマー)と付き合っていることを聞いてしまった小四は懐に小刀を隠し持ち街に出る。

やがて一途な少年の愛は取り返しのつかない切ない行動に走ってしまうのだった。

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当時の不良少年たちはエルビス・プレスリーに夢中。
少年らしい高い声で英語の歌をうたい、レコードを聞いて、オープンリールで録音したりと懐かしの風景。
小四の住む家も日本家屋。

ヒロインの少女はとにかくモテる。
どうみても普通の女の子なんだけど伝説のリーダーもお医者さんも小四もみんな小明に好意を抱くのね。
魔性の女というより、勝手にみんなが惚れちゃうみたい。
あの日彼と会わなければ、と思うラスト。

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教育熱心の両親に育てられた小四、夜間中学で知り合うのは不良グループや金持ちの転校生。
話題は多岐に渡り、その時代や民族の背景がわからないのもあるので難解な部分も多く、一回観たところで全部をわかるのは無理かなと思いました。
もやもやしたわからない部分をどうにか知りたくなってくる、そんな映画です。

これはまた4時間観るしかないかな~。

 


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哭声 コクソン [映画【か行】]

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『チェィサー』『哀しき獣』のナ・ホンジン監督の新作。
土砂降りだったり、雷落ちたり、首つり、悲惨で恐ろしい殺人現場あり。
暴力シーンには手を抜かないことでは世界トップの韓国映画、今回もすごい。
少し前に観たハリウッド映画の「ドント・ブリーズ」なんて目じゃないですよ。

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シネ・リーブル梅田にて鑑賞。

シネ・リーブル梅田のHPに
〝3/11の初回と2回目共に満席となりました。ケットの購入はお早めに”
というコメントがありました。
ナ・ホンジン監督の映画もなかなかメジャーになってきましたね~。

今回は「山の中に住む謎の日本人」役を國村隼さんが演じているということでかなり話題なんです。
國村さんは日本じゃ知的な名わき役ですし、キル・ビルにも出演した国際派。
しかーし、今回のこの映画ではふんどしいっちょで生の動物(鹿?)をむさぼり喰うという怪演。
韓国の映画祭で外国人初の助演男優賞を受賞していらしゃいます。

満席のお客さんは絶対、國村さんを観るために足を運んだんじゃないかなと思うのでありますが
國村さんはお客の想像を遥かに超えた演技を見せてくださるのです。

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のどかな田舎の村に殺人事件が多発する。
いずれも家族を皆殺しにするのは被害者の家族だった。
犯人には必ず体中に湿疹が出来ており、やがて苦しんで死んでしまう。
なんでこんなことが起こるのか。

この村に住む、ヘタレな警官のジョング(クァク・ドゥオン)は、
うわさ話で怪しい日本人が村の奥に住み着いていてそいつが原因ではないかと聞きつける。

原因って言っても根拠がないのだが「そいつは日本人だから」みたいな理由。
俺は見た、その男は野生の動物もむしゃむしゃ食っていて
襲われそうになったから命からがら逃げかえってきたという目撃談も出てくる。

男の家を訪ねてみると、「自分は旅行者だ」というのだが、実際かなり、怪しい。
だいたい旅行者がなんで韓国の山奥の「かまど」しかないようなきったない家に住み着いてるのか。
奥の部屋にはろうそくいっぱい並べた祈り部屋みたいなのもあるし、
例の事件の死体の写真もベタベタと大量に置かれているし。
旅行者なのに凶悪そうな黒いブルドッグ飼ってるし。
あ、怪し過ぎる・・・・。

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ジョングも謎の男の悪夢を見ることが増え、男に対する疑惑は段々と確信の様なものになっていく・・。

やがて明るかった幼い自分の娘に殺人犯と同じ湿疹が現れてしまう。
態度や言動がおかしくなる娘をみて、事なかれ主義警官だったジョングは立ち上がる。
娘を守る為に謎の日本人を村から排除せねばならない。

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一方、一緒に住む妻の母が、どんどんおかしくなり汚い言葉を吐く孫娘のために祈祷師(ファン・ジョンミン)を呼ぶ。
かなり有能な祈祷師らしいけど、演じるファン・ジョンミンは今や韓国映画を代表する俳優さんです。
最近の韓国映画じゃ主役でバンバンでていらしゃいます。

いつもは脇役のクァク・ドゥオンが主役でファン・ジョンミンが脇役ってところも面白いところ。
そして娘役の女の子の悪魔に憑かれたような演技がまあ、すごい。
助演女優賞はとってないのかな。

ファン・ジョンミン演じる祈祷師は日本人が原因だと断言して悪霊払いを始めるのです。

でも、一方では牧師も出てくるわ、ゾンビみたいに殴っても殴っても倒れない男がでてくるわ、
怨霊かもしれない白い服の謎の娘もでてきて、
話はキリスト教のエクソシストなのか、韓国の亡霊映画なのか。
どんどんカオスな光景に突入。

中盤、雷が落ちてある男が倒れるんですけど、雷に打たれるリアルなシーンなんて初めて。
その後男は病院に運ばれ、「漢方薬飲んでたから雷に打たれても命は助かった」という
半泣きの家族の話に、あまりの恐ろしさに口が空きっぱなしだった私ですが吹き出してしまいました。
怖いシーンにもちょっと笑えるシーンを必ず入れてくるのがこれまた韓国映画のすごいところです。

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疑え、惑わされるな。というキャッチコピーの文句の通り、話は二転三転。

結局、悪霊なの?
悪魔なの?
あの祈祷師は敵なの?
國村さん、いや、謎の日本人の正体は????

國村さんが釣りをするために餌をつけるシーンからこの映画は始まり、
國村さんのものすごい姿でこの映画は終わります。

 


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キャロル [映画【か行】]

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本年度アカデミー賞ノミネート作品が続きます。

ケイト・ブランシェットが主演女優賞、ルーニー・マーラが助演女優賞でアカデミー賞ノミネートされてます。
もしかすると女優賞のダブル受賞もあるかもしれません。
演技派女優の美女二人が静かに火花を散らす、大人の映画です。

禁断の同性愛をテーマにしたストーリーなので、好き嫌いが分かれるところです。
原作は「太陽がいっぱい」などで知られるアメリカの女流作家、パトリシア・ハイスミスが1952年に発表したベストセラー小説。

当時アメリカでクレア・モーガンという別名で発表されましたが、昨年の2015年、この映画に併せてパトリシア・ハイスミスの名義で日本でも刊行されたようです。
別名たったのは同性愛が法律で禁止されていた時代での発表だったからでしょうか。
しかしながらアメリカでは100万部を超える大ベストセラーだったとのことです。

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「まるで天使。貴女は天から落ちてきた天使。」
この言葉を恋人のリチャードが先に言ってたら?

それでもテレーズ(ルーニー・マーラ)はキャロル(ケイト・ブランシェット)にひと目で恋に落ちたんでしょう。
じりじりと熱い視線が二人の間で行ったり来たり。

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1952年、ニューヨーク。
カメラマンになることを夢見てデパートで臨時社員として働くテレーズ。

そこで娘のクリスマスプレゼントを買いに来たキャロルと出会います。
金髪の美しい髪、毛皮のコート、皮の手袋、香水の香り。
自分とは正反対のキャロルの完璧さに釘付けになるテレーズ。
キャロルの忘れ物を届けたことが縁でそのお礼にとランチに誘われてしまいます。

手袋を忘れたのはわざとだったのでしょうか。
それから何度もテレーズに「会いましょう」と誘うキャロル。

キャロルは裕福な夫と離婚訴訟中で、幼い娘の親権を争っていました。
夫の不満はキャロルが幼馴染の女友達と不適切な関係を持っているのではないかという疑惑。

キャロルが夫と言い争う姿を目の前にしても、キャロルに強く惹かれる続けるテレーズ。
恋人リチャードと喧嘩してまでキャロルとの小旅行に出かけてしまうのです。

テレーズはそれまで自分が何かを決めるということが苦手。
相手に合せて返事をすることが多いのですが、それも若さなんでしょう。

でも、キャロルとの恋愛は彼女の親権問題でのいざこざで旅の途中で一方的に別れを告げられてしまうのです。

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キャロルとの辛い別れを経て、念願の新聞社で働く自分の考えで動ける女性になっていたテレーズ。
このあとふたりはどうなっていくのでしょう。
テレーズ、ダメよ、引き返して、とラストまでドキドキが止まらない心理劇。
最初のシーンに話は戻り、テレーズが選ぶ運命は・・・。   ★★★★

監督はトッド・ヘインズ。
アカデミー賞は脚色賞、撮影賞、衣装デザイン賞、作曲賞にもノミネート。
50年代の衣装や風景はかつて日本人が憧れたであろうアメリカの豊かさと美しさを見事に再現しています。


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コードネーム U.N.C.L.E. [映画【か行】]

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最近ちょこっと更新をサボっておりました。
皆さまお変わりございませんか。
ソネットってしばらく更新を怠ると最初のページにでっかい広告が出てるんですよね~。
映画はぼちぼち観てまして「愛と哀しみのボレロ デジタルリマスター版」がなかなか感動的でした。
しばらくボレロのあの曲が頭をぐるぐる回ってました。
またそのうち書こうかと思っています。

ところでこの映画はすご~く楽しかったです。
お隣の席に誰もいなかったものですから久しぶりに「アッハッハ」と(かなり小さい声でですけど)何回か笑ってしまいました。
こんなに笑えたのは松山ケンイチ主演の「デトロイトメタルシティ」以来かな。
時代設定が古いので全てががレトロ。
カーチェイスもクラシックカーでお洒落です。

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60年代のTVシリーズで4シーズンを制作・放送された『0011 ナポレオン・ソロ』をリメイク。

映画の舞台もTVシリーズと同じく60年代。
その頃の米ソは冷戦真っ只中です。
白黒テレビに映るのはジョン・F・ケネディ大統領のお顔。
ベルリンの壁の前には銃を持った監視の兵がいます。
暗い東ドイツに向かうのはCIA工作員、ナポレオン・ソロです。
ソロは金庫破りや芸術品をブラックマーケットに売りさばいていた犯罪者なんですが、その天才的な犯罪技をむざむざ牢屋に入れておくのはもったいないってことで、投獄しない代わりにCIAで働けってスパイをやらされているんですね。CIAさん、さすがです。

そんな元犯罪者のスパイを演じるのは「マン・オブ・スティール」で主役のスーパーマンのヘンリー・カビル。
スーパーマンも同じ七三の髪型だけど眉間に筋が入ってるヒーローと違って女好きで金庫破りの名人を飄々と好演。好感度は上がります。
びしっと着こなすスーツはパンパンなんです~。

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ソロの今回の任務は東ドイツに住むある女性を連れ出すこと。
元ナチスの天才科学者を父の持つギャビー(アリシア・ビカンダー)です。
この超美人、アリシアは2015年のルイ・ヴィトンのモデルさんなんですって。
彼女が着こなす60年代フアッションも注目ですね。
  
ソロはギャビーに協力を頼み行方不明の天才科学者の行方を追うつもりです。
ですがそこに現れたのが金髪のソ連のKGBスーパースパイ、イリヤ・クリヤキン(アーミー・ハマー)。
イリヤのトレードマークはタートルネックのセーターって…どんな設定?ソ連寒いから?
アーミー・ハマーって「ソーシャル・ネットワーク」で双子を一人で演じてた人ですね。
この映画でみてるとスーパーマンが小さく見えるほどすごいでっかいです。
身長196㎝なんですって。
 

まあ、米ソで考えることは同じでソ連もギャビーを追っていたんですね。
素手で車を壊しかねないほどの怪力・イリアをどうにか振り切って逃げてきたソロ。

なのになのに。今度はお上の命令でKGBのイリアとコンビを組めってなんでやねん。
共通の敵が相手の為とはいえ、初対面も最悪だったクソ真面目なイリアとは全くそりが合わないソロ。
だけど仕事だからしょうがない。イリアの事はいつ殺してもいいって言われてるしね。
ギャビーを伴いお互いが相手をけん制しつつ変装してイタリアへ向かいます。


ソロとイリアが接触を図る相手も超美女(エリザベス・デビッキ)です。
ソロは盗みのお手並みを披露して近づいていくのですがうまくいきそうだったのにやっぱりそうなるのかって展開。

謎の紳士も現れますが演じるのはヒュー・グラント。
え、ヒューったらなんでこんなに老けたの??と二度観するほどおっさん化。
別の新作の予告ではそこまででも感じなかったので役作りで老けてるのかしら…きっとそうよそうに違いないと思うことに致します。

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それにしてもスパイ映画が最近続いていますよね。
8月に「ミッション:インポッシブル」、9月は「キングスマン」。
来月の12月には「007スペクター」も公開されるし、来年1月にはスピルバーグの新作も「ブリッジ・オブ・スパイ」とスパイ映画だらけ。
かぶってるやんけとスピルバーグ監督が思ったか思わなかったかはわかりませんがなんといっても主演がトム・ハンクス。これは行きたいですね。来年も観たい映画が控えていると思うと楽しみです。

で、この映画、60年代のTVシリーズのリメイクで日本でも超人気のドラマだったこともありオリジナルを知る世代も再放送でファンになった方も懐かしさのあまり足を運ぶ人も多いでしょう。
興行成績もかなりよさそうです。
オリジナルを知らなくてももちろん、楽しめることは間違いありません。
ストーリーは洗練されててスピーディ。
何か国語も自在に操るスーパースパイなのに拷問してる相手が燃えてるのに気づかないわけないでしょうと心の中で突っ込みを入れつつ小さい声でアッハッハと笑ってきてくださいね~。

監督はガイ・リッチー。 

 **追記**
興行成績ですが日本でのオープニング興行収入で約1億3千万円ほどだったらしく海外でもニュースとなったらしいです。
なぜかというと世界的興行成績としては大ゴケであったようです。
「Hollywood PEPORTER」電子版では〝この夏のアメリカで不本意な興行成績に終わった大作映画”を5本リストアップ。
その中に本作もありました。
その5本とは
『トゥモローランド』 予算1億9000万ドル・世界興行収入2億840万ドル・予想損益1億2000万ドル~1億5000万ドル
『ファンタスティック・フォー』 予算1億2500万ドル・世界興行収入1億4670万ドル・予想損益8000万ドル~1億ドル
『ピクセル』 予算8800万ドル強・世界興行収入1億8640万ドル・予想損益7500万ドル強
『コードネームU.N.C.L.E.』予算7500万ドル強・世界興行収入7210万ドル・予想損益8000万ドル強
『アロハ』  予算3700万ドル強・世界興行収入2620万ドル・予想損益6500万ドル

米国で9月4日付けでの記事で『ツゥモローランド』以外は日本公開前です。
『アロハ』は海外公開は中止となっています。

次回作はあるのか?ということは今後の日本などのアジア圏の興行収入にかかってくるのかも・・・。

  


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キングスマン [映画【か行】]

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舞台はロンドン。
サヴィル・ロウの高級テーラー『キングスマン』は実はスパイの本拠地。
彼らはどこの国にも属さず、秘密裏に活動し、数々の難事件やテロを解決していた。

そのキングスマンの凄腕スパイ、ハリー(コリン・フアース)はある日殉職した同僚の息子であり元海兵隊員のエグジー(タロン・エガートン)を助けることとなる。
エグジーは義父に虐げられ不幸な生活を送る毎日、警察のご厄介にもなっている。
ハリーの勧めでキングスマンの選考試験に参加したエグジーは過酷な試練を経験しながら他の高学歴エリート候補者たちと競り合い成長していく。

一方、ハリーはキングスマンの仲間の死にリッチモンド・ヴァレンタイン(サミュエル・L・ジャクソン)というアメリカ人IT企業の実業家が絡んでいることを突き止める。
バレンタインは人類の存亡を脅かす恐ろしい計画を企てており、ハリーにもヴァレンタインの魔の手が忍び寄ってくるのだった。

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冴えない青年がエージェントに育てられ成長していくお話です。

どこかで似たような映画を観たけど…??
あれは謎の美女・アンジェリーナ・ジョリーが、毎日をだらしなく生きている青年のジェームズ・マカヴォイの前に突然現れて立派な伝説の殺し屋に育てていく『ウォンテッド』(2008)じゃなかったかしら。

そう思ってちょっと調べたら同じ作者マーク・ミラーのコミックが原作でした。
ふーん、なるほど。
ついでに『キック・アス』の原作もマーク・ミラー。
この映画もアメコミ原作だったんですね。

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キングスマン達は「アーサー王と円卓の騎士」の名前がコードネーム。
うーん、イギリスっぽいね。

イギリスの紳士らしくダブルのスーツをびしっと着こなし、仕込み傘・時計・靴にライターなど「昔の」007の映画の様な秘密兵器を武器に戦う姿には懐かしさで笑ってしまします。

そういえば「昔の」007の映画は、今度はどんなボンドカーが出てくるのかなんてお楽しみがあったはずなのにね。今はボタン押したら羽が生えて飛んでく車とか出てこないのよね。

英国王でアカデミー賞主演男優賞のコリン・フアースにアクションやらせるなんてさすがです。
それだけでも感服しちゃいますが、もう何百人死んじゃうんだろうというくらい死人のオンパレード。
教会にいる罪なき人たちが全部吹っ飛んだときはこりゃやりすぎじゃ?
某王国の王女の扱いもどうかと思ったんですけど、威風堂々と頭が花火になって飛び散るころにはもう笑うしかないかな~、ってことで。

ところで、あのマーク・ハミルが出演していたの、わかりましたか?
『スター・ウォーズ』シリーズのルーク・スカイウォーカー役のマーク・ハミルですよ。

最初のほうに出ていたアーノルド教授です。
懐かしくもあり、驚きもあり。
すっかりおっちゃんやなと思ったり。
新作の『スター・ウォーズ』にも出演してるそうですよ。

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『キングスマン』も既に続編が決まっていて、舞台が日本になるとのこと。
日本の悪者もダブルのスーツできめたスパイたちと戦って大変なことになるんでしょうか。
サミュエル・L・ジャクソンが怪演の大富豪はモデルはいないそうですがあえてといわれるとスティーブ・ジョブズ、なんだそうです。
コリン・フアースはやってこないですよね、そこが残念です。 ★★★☆

監督 マシュー・ボーン


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間奏曲はパリで [映画【か行】]

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フランス映画、ノルマンディーで農場を営む夫婦のお話です。

ブリジット(イザベル・ユペール)は長男も巣立ち、グザヴィエ(ジャン=ピエール・ダルッサン)と二人暮らしの中年主婦。

頑固ものの夫はいつも牛の事で頭がいっぱい。
夫の牛は品評会で優勝するほどの立派な牛たちなのです。
幸せだけど何の変化もない生活が続くある日、燐家でパーティが開かれます。

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パーティに参加してみると若い女の子が沢山いるのになぜか自分にだけ優しくしてくれるイケメン、パリジャンのスタン(ピオ・マルマイ)が現れます。
彼は彼に恋する女の子を振ってまでブリジットに優しくしてくれるのです。
やだ、これってどういうこと?
平凡で物足りない日々にちょっとした事件ですよね。

以前よりブリジットは胸に出来た大きな湿疹があり、何度もお医者には通ったようなのですが原因不明で治らずにそのままになっていました。
そうだ、これを口実にイケメンの住むパリに出かけてみよう。
「パリの病院に行く」という口実で夫には嘘をついて2日間のプチ家出を計画するのです。

パリに着くと一目散、病院なんか予約してませんからイケメンの職場をあちこち探して見つけ出します。
そしてバレバレですが彼には偶然を装い夕食の約束を取り付けます。

でもね、人生そう上手くはいかないもので、彼って自分が思い描いていた王子様じゃなかったのです。
その日は慌てて逃げ出して、でも携帯電話を忘れてしまったものだから仕方なく次の日に取に行くのですが奴はもう厭味ったらしい最低男でした。

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ですが。
さすがここは恋の街パリ。

そこで現れる新たな渋めのイケメン男。
同じホテルに偶然泊まっているデンマーク人歯科医(ミカエル・ニクヴィスト)です。
彼はさっきの若僧と違ってそれはもうすっっごく魅力的な男なのです。

そんな渋い男に誘われてパリでデートをすることになるブリジット。
しかし彼と並んで楽しく歩いているところを遠くから見つめるのはなんと夫・グザヴィエでした。

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グザヴィエは妻の嘘に気づいて急いでパリまで追いかけてきたのですけど妻に声をかけることが出来ません。
悩んだグザヴィエはオルセー美術館に立ち寄り、妻に重ね合わせた羊飼いの女の絵を眺め、サーカスの学校に通う息子のところに寄り道して牧場に帰るのです。
うう、切ない。
妻は帰ってくるのだろうか、一緒に歩いていた男は誰なのか。
牧場を手伝ってくれる男についついこぼしてしまうのです。

若い夫婦ならここで「別れる」とか「妻を問い詰める」とかドロドロな展開になるところですがね。
こんなお話の終わりはいったいどうなっていくのかと予想がつきません。

胸に広がる湿疹は彼女の心に詰まったストレスの象徴だったのでしょうか。
医者に診せたところで治ることのできない病気なのです。

夫婦のお互いを想う心には色んな形があります。
過ちを許し合ってお二人の長い歴史が刻まれていくのでしょうか。
大人の恋のドラマで、美しいシーンが沢山です。

それにしてもフランスの牛は大きいんですね。
それに真っ白。
よく見る牡牛座の絵ってこんな牛の姿なんだなと思いました。
それは綺麗な牛なんです。
なんと牛の出産シーンも観ることが出来ますよ。 ★★★★☆

夫とイケメン、外国人歯科医の三人の男の心を惑わせる可愛い主婦を演じるのはフランスの国宝級女優イザベル・ユペール。
夫は『画家と庭師とカンパーニュ』『サン・ジャックへの道』などのジャン=ピエール・ダルッサン。

脚本・監督はマルク・フィトゥシ。


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KANO ~1931海の向こうの甲子園~ [映画【か行】]

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台湾映画です。

タイトルの「カノ」っていうのは大日本帝国統治時代下甲子園に台湾代表で出場した嘉義農林学校(現在の国立嘉義大学)の略称「嘉農」の日本語読み。
ユニホームの胸に書かれてる「KANO」の事です。

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台湾映画ですがほとんどが日本語で、主演の野球部監督に永瀬正敏、その妻は坂井真紀、昭和5年に竣工した台湾最大規模の農水施設の嘉南大圳(かなんたいしゅう)建設の水利技術者八田与一として大沢たかおも出演してますし台湾映画と観ているという感じがありません。

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ストーリーは…
1929年、のんびりとした嘉義農林学校・野球部は1勝も出来ないチームでしたが、新任監督に日本人の近藤兵太郎を迎えて徹底的な甲子園出場の夢を植え付けられ夢を現実にするために頑張っていくことになります。

当時の甲子園出場校枠は台湾全島で1校のみ。
甲子園を目指すには台湾大会で優勝しなければなりません。
日本人だけで構成された野球部しか出場校じゃなかった時代に、近藤監督は守備に長けた日本人、打撃に長けた台湾人(台湾で生まれ育った漢人)、韋駄天の如く足の速い高砂族(台湾の先住民族)の選手という混合民族チームでその厚い壁に挑みます。

そして1931年(昭和6年)に台湾南部の学校として初めての台湾代表校として甲子園に出場。
キャプテンで4番・ピッチャーの呉 明捷・ご めいしょう(=曹佑寧)の活躍を中心に初出場にして夏の甲子園大会決勝戦までたどり着くのです。

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実話に少しフィクションを混ぜてます、みたいな字幕が最初に出てきます。
それは大沢たかおが野球部員を励ますシーンなのか…(野球自体にはほとんど関係なしです)。
野球部の練習場に永瀬正敏が風呂桶片手にふらりと現れ飛んできたボールをハッシと掴み、実は彼が鬼監督だったというスポ根お決まりの登場なのか。
それとも甲子園の対戦校だった札幌商業高校の野球部主将でピッチャーの錠者博美(青木健)のサイドストーリーなのか。

錠者博美のお話は最初と甲子園での対戦と彼が嘉義農林学校野球部のグランドを訪ねるラスト。
嘉義農林学校の「優勝だけが自分たち目指す野球じゃない」って姿に感動させられる一人として語られています。

台湾人俳優が話す日本語がわかり難いので字幕があればいいのにとも思いましたがそれにしてもとても親日的な映画でちょっとびっくり。
鑑賞後は相手を思いやる気持ちが湧いてくる素敵な映画だと思いました。 ★★★★

台湾映画最大規模の製作費がかけられたそうで、台湾では公開後60日で3億台湾ドル(約10億円)を超える大ヒットを記録したそうです。

監督:マー・ジーシアン


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ゴーン・ガール [映画【か行】]

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サイコサスペンスです。


予告でお話を大筋ばらしてしまう映画も多いのですがこの映画はそれは無し。
想像していた結末とは全く違ってました。
さすが『セブン』や『ファイト・クラブ』『ゾディアック』『ドラゴン・タトゥーの女』のデビット・フィンチャー監督です。
前半は謎解きで後半は恐怖の連続、
途中でがらっと変わるのでお楽しみに。

そうきたかっていう結末は知らずに観たほうがいいですよ。

 

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ニック(ベン・アフレック)とエイミー(ロザムンド・パイク)は誰もがうらやむ夫婦。
でもニューヨークでのお互いの仕事がうまくいかなくなり、ニックの母の看病の為にニックの実家の田舎に転居したあたりから関係がギクシャクしだしていく。

ニックは若い女と浮気をしだして、それをエイミーは目撃してしまう。

やがて謎のヒントを残し、結婚5周年の記念日当日に突然失踪、警察に通報するニック。

警察の調べで失踪後の自宅は細工をしたように荒らされいること、大量の血が拭き取られたあとが残っていたことなど不信な点が沢山あることが判明。

警察も辻褄が合わないニックの言動からエイミーを殺しどこかに死体を隠しているのではと徐々に疑い始める。

近所のエイミーと親しくしていた主婦らが告発した事でメディアが騒ぎはじめ、連日の過熱報道で「誠実で美しい妻を殺した疑惑の夫」と追い詰められていくニック。

しかしエイミーの死体は見つからない。

このままニックによる死体無き殺人事件となっていくのか?
やがて夫の知らない妻の秘密が解き明かされていく。

 

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原作者ギリアン・フリンが脚本を担当しています。
これでもかって怖いシーンが長いです。

結婚5周年記念日のその日に妻エイミーが行方不明となり、元ライターで今は酒場を経営する夫ニックが失踪した妻を探すうちに妻殺しの犯人に疑われていくのです。
最初の美人妻の頭を優しき撫でるシーンがラストにもう一度流れ、全く同じシーンなのに違うものに見えてしまう。
だまし絵の世界のような映画を見せてもらった気分です。

 

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主演のベン・アフレックは完全復活ですね。
イケメンだけじゃなくてこんなちょっとお腹ぷっくりダメ亭主役も似合ってきています。

エイミー役のロザムンド・パイクはまさに体を張った演技でした。

これから結婚するつもりのカップルで観に行ったら…。
「結婚とは努力と忍耐」だって事がしみじみかも。
将来この映画のような最悪な状況とまでにはならなくても似たような境遇にならないような戒めとしてくださいね。

あることないことを面白おかしく報道するワイドショーもその報道を全部信じてしまう聴衆もホントに怖い。
これは日常の私たちへの戒め。


こんな人いるのかしらってくらいオーバーな演出ともっと方法があるんじゃないのかなと苦笑しちゃうラストでした。
血だらけシーンも出てきますので苦手な方はご注意を。

監督:デビット・フィンチャー  ★★★★

 


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