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バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) [映画【は行】]

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第87回アカデミー賞では9部門でノミネートされ、作品賞、監督賞、撮影賞、脚本賞を受賞。
「バベル」「21グラム」などのアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督作品。
この監督、私ちょっと苦手かも…と思って観たのですが、これがなかなか深い映画でした。

まるでワンカットで撮影されたかのようなカメラワークが話題となってました。
とても長い不思議なタイトルの意味もラスト近くでわかるようになっています。

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色んな解釈が出来る映画ですが、私の解釈です。
思うに主人公のリーガン(マイケル・キートン)は精神が病んでいます。
触ってもいないものが動かせたり、壊したり、体が宙に浮いたり。
かつて自分が演じた『バードマン』の声が聞こえてきたりの幻覚、幻聴があるのです。
でも幻聴も幻影も、本人にしてみればそれは真実。

リーガンはかつてヒーロー映画『バードマン』で一世を風靡した俳優。
今でも外を歩けば「バードマンじゃないか!」と写メられたりもするのです。

人々から忘れら去られたわけじゃない、でもこのまま落ち目の俳優のままでも終われない。
自分がかつて俳優を目指すきっかけになった小説を脚色をして、無謀にも舞台でもう一回再起するつもりなのです。
今はプレビュー公演に向けての準備をしているところで、評判もまずまずと言われているのですが彼の心は不安でいっぱい。

〝ブロードウェイってところは舞台より映画を下にみている。
 落ちぶれたハリウッド俳優なんかが来るところなんかじゃないんだよって思っている。”

ブロードウェイには有名な舞台評論家がいて、プレビュー公演を観て彼女が面白いって書けばその舞台は大当たり。
でも彼女にこき下ろされたら最後、いくら頑張ってもそこでオシマイ。
そんな裏事情も描かれていくのです。

脇役の下手くそな俳優が怪我をして(リーガンの超能力で怪我をさせて?)、代役に有名舞台俳優マイク(エドワード・ノートン)がやってきます。
そしたらマイクは主役のリーガンをくってしまう演技をするのです。
とにかく人生は思った通りにはいかない事ばかり起きるのです。

身勝手な共演者に手を焼き、娘のサム(エマ・ストーン)との不仲に悩み、評論家の酷い言葉に傷つき、どんどん落ち込んでいくリーマンはバードマンと共に空に舞い上がり空を飛び…。
でも実はタクシーに乗っていたんだよ…なんてオチに笑わされるのですけれど。

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監督はとてもブラックに落ちぶれた俳優を追い詰めていきます。
今のアメコミ映画ばかりのハリウッドにもチクリと釘を刺しているようです。

こんなにもユーモラスに、そして残酷に描けるのは監督がアメリカ人じゃなくてメキシコ人監督だというお蔭かもしれないと思うのです。
アメリカにはかつての栄光を引きずる俳優は沢山いるはずですものね。

他人事じゃない、とハリウッドのアカデミー会員たちはこの病んだ男の姿に笑って共感して、そしてよくぞ描いてくれたと喝采したのだと思うのです。

「セッション」よりドラムが効いた映画でした。面白かったです。★★★★★


はじまりのうた [映画【は行】]

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第80回アカデミー賞歌曲賞を受賞した『ONCE ダブリンの街角で』のジョン・カーニー監督の最新作。
やっと観てきました。

恋人のディヴ(アダム・レヴィーン)に裏切られて、小さな酒場で弾き語りで歌い出すグレタ(キーラ・ナイトレイ)。
すると偶然その酒場にいた音楽プロデューサーを名乗るダン(マーク・ラファロ)がアルバムを作ろうと持ち掛ける。

彼女の才能を見出すダンだったがダンは自分が作った音楽会社を追い出されたばかりだった。

妻や娘とも上手くいかないダン、しかも今は無職。
一方恋人と別れて住む場所もなく友人の家に転がり込んでいるグレタ。

二人の出会いはお互いの再生のチャンスと変わっていく…。

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どんな役にも挑戦しているキーラ・ナイトレイ。
本年度のアカデミー賞助演女優賞でノミネート「イミテーション・ゲーム」では数学者役でした。

今回はミュージシャンで、才能があって彼に曲も提供しているけど、彼だけが売れていってどんどん変わってその彼に浮気までされてしまうんです。

浮気する彼役はアダム・レビーン(マルーン5)でさすがの歌声です。

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彼女をデビューさせたいならまずデモテープを持って来いと言われてしまうダン。
そこでニューヨークのあちこちで路上ライブで録音したCDを制作することを考え出します。
演じるは「フォックスキャッチャー」でアカデミー賞助演男優賞のノミネートのマーク・ラファロ。

やがてダンとグレタとの関係はどうなっていくのか、ですね。
別れた彼の留守電に自分の想いを歌にして録音するグレタ。
その曲を聞いた彼にライブに呼び出されるのですが…。

音楽でつながっている人たちの物語。
鑑賞後は前向きになれそうです。

キーラがキュートで音楽があふれ出す映画でした。  ★★★☆


博士と彼女のセオリー [映画【は行】]

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天才物理学者、スティーヴン・ホーキング博士の実話を元に作られた映画です。
若くして難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症。
来日もしていらっしゃるので車いす姿を記憶している方も多いはず。
著書の『ホーキング、宇宙を語る』は発行部数は全世界で1000万部、日本でも110万部のベストセラーとなっています。

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英国・ケンブリッジ大学大学院生のスティーヴン・ホーキング(エディ・レッドメイン)は文学を学ぶジェーン(フェリシティ・ジョーンズ)と出会い、恋に落ちます。

女の子をダンスパーティに誘っといて「僕は踊らないんだ」ってどういうこと?
でもそこは理系男子。
踊っている男性のシャツが光って見えるのは何故か、洗濯用洗剤が衣類を白く見せる紫外線のトリックなどをしっかりちゃっかり説明したりします。
そしてパーティ会場じゃなくて二人っきりで打ち上げられる花火を見ながらのダンス…素敵です~。
ですがそんな幸せな日々は続きません。

ある日倒れたスティーヴンは筋肉の委縮と筋肉低下をきたす神経変性疾患、ALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症していると医者から告げられます。
しかも余命は2年だというのです。
驚くステーヴン、そんなスティーヴンを支えることを選ぶジェーンは周りの反対を押し切り結婚式を挙げるのでした。1965年の頃です。

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やがて少しづつ少しづつ、でも確実に筋肉が弱ってくるスティーヴンの姿。
車いすも必要になってきます。

子供も生まれ友人にも恵まれ仕事も順調…あれ、2人目の子どもも生まれています。
子供の大きさから2年の余命はとうに超えているはず…ケンブリッジ大学でのキャリアも捨てて献身的に妻として生きるジェーンでしたが先も見えない子育てと介護に彼女の限界を超えてきたのではと思う頃、一人の男性が現れます。
この男性はスティーヴンの介護にも力を貸してくれてジェーンを精神的に支えることにもなるのですが、ジェーンの3人目の妊娠がわかるとこの不思議な三角関係は終わりを迎えます。
家族や周りから子供の父親が誰かを疑われたのでした。

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美しい青春の出会いと献身的な支えで成功した物理学者夫婦の話ではありませんでした。
脚本のアンソニー・マッカーテンは何度もジェーン本人を取材してきちんと描いているようですし、出来上がった映画を観てホーキング博士は涙を流したということです。
夫の介護と3人の子どもの育児で疲れ果てる妻、その後お二人は離婚されて、それぞれ再婚されています。

難病と戦いながら、前向きに、ユーモアも忘れずに生きる博士の姿には感動させられます。
そして何よりも奥様の苦労やその時々の重大な選択にも感情移入出来る映画になっていました。

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スティーブン役のレッドメインは「レ・ミゼラブル」のマリウス役で有名になりました。
名門イートン・カレッジでウィリアム王子とは同級生という超サラブレット。
今回のホーキング博士にしか見えない演技で見事アカデミー賞主演男優賞を受賞。
授賞式で名前を呼ばれた時のレッドメインは本当に素直で若者らしい喜び方、観ている方が嬉しくなるような受賞でした。  ★★★★☆

監督:ジェームズ・マーシュ


ビッグ・アイズ [映画【は行】]

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実話をベースに現在も存命の女性画家のスキャンダルをティム・バートン監督が描いています。

アニメーションでもなく常連のジョニー・デップもヘレナ・ボナム=カーターも出てないバートン監督の映画は久しぶりです。
ヘレナとバートン監督は破局したという話ですものね。
今回の主演はエイミー・アダムスとクリストフ・ヴァルツです。

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1960年代にブームとなった「大きな目の子ども」の絵画の作者が実はゴーストライターだったというお話です。

夫・ウォルター(クリストフ・ヴァルツ)は口が上手く商才の才能はあるけど絵の才能はなし。
妻・マーガレット(エイミー・アダムス)の才能を認めて自分の描いた絵として売り込みを始めます。
マーガレットは美大出身でバツイチ、知り合ってすぐに結婚したふたりでした。

最初はマーガレットもあの絵は自分の描いたものだ、と夫に抵抗はするのですが女性がまだ世間に認められにくい時代ということもあり夫に言いくるめられてゴーストライターとして次々に作品を発表し続けます。
プール付きの豪邸もお金も手に入れたマーガレットですが破たんがやってきます。
夫のひどい仕打ちに逃げ出すマーガレット。
やがてマーガレットは絵は自分が描いたものだとラジオで告白、大騒ぎとなるのです。

法廷ではお互いが「自分が描いた」と言い張ったため裁判長は「大きな目の子ども」を同時にふたりに描かぜるという手段をとっていくのですが…。

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なんとも嫌な男をクリストフ・ヴァルツが演じていました。
タランティーノ監督作品で2度のアカデミー賞助演男優賞に輝いたヴァルツですが他の監督だと光らない感じがします。
今回も嫌なだけな男でちょっと残念。
実在のご主人の方はすでに亡くなっているそうです。

アカデミー賞ノミネートの常連、エイミー・アダムスも男運が悪い女性を演じてます。
2度の結婚で2回も夫から逃げださなきゃならないなんて辛いですね。
最後に実在のマーガレットとエイミー・アダムスが並んで撮ったツーショットが映し出されます。

マーガレットの絵が無ければウォルターの栄光は勿論無かったのですが、逆にウォルターの売込みが無かったらこの奇妙な絵も注目されてなかったんじゃないかと思われますし…複雑な関係の芸術家夫妻のお話です。

こんな事がアメリカでも本当にあったんだと驚きましたが鬼才と言われるバートン監督の映画としては『ビッグ・フィッシュ』みたいなファンタジー色も無く、事実を元にした普通な映画だったと思いました。
   ★★★☆


ベイマックス [映画【は行】]

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1月1日に鑑賞、今年はこの映画から。

兄を亡くした少年がケアロボットの力で心の傷をいやしていく…。
そんなほのぼのストーリーを想像していたら全く違った展開。
なんと!戦隊ヒーロー物でした。(*_*;

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ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ長編作品です。
そしてマーベルコミックの登場人物を主人公とする初めてのディズニーアニメ映画だとのことで、後半のベイマックスは戦いにも参加してロケットパ~ンチ!

空を飛んで地上に着地するそのお姿はアイアンマンそっくりなの。
 ↓ こんな感じね。

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原案の『ビック・ヒーロー・シックス』では6人の日本人ヒーローが日本を舞台に戦うお話であったらしいのですがかなり脚色されて舞台も日本から架空の都市、サンフランソウキョウとなり、メンバーも日本人を含む多民族構成になっています。

【ストーリー】
今より少し未来。サンフランソウキョウに住む14歳のヒロ・ハマダ(本城雄太郎)は3歳で両親を亡くし兄のタダシ(小泉孝太郎)と共に叔母(菅野美穂)の家で暮らしていた。

ヒロは天才少年であったが自分の才能の使い方がわからず非合法のロボットファイトに夢中になっていた。
そんなヒロを見かねた兄のタダシは自分が通う工科大学に連れていく。
大学の研究室でみたタダシやタダシの友人たちの発明や研究に刺激され、この大学に通いたいと強く願うようになる。

タダシの勧めでヒロは大学主催の会場で指先ほどのサイズの「マイクロボット」を発表する。
マイクロボットは一つ一つは小さい部品だが頭部に装着した神経トランスミッターでコントロールすることにより色々な形に変化させることが出来、力は無限大という画期的な発明。
この大成功でタダシの恩師であるキャラハン教授から直々に飛び入り入学を許可される。
喜ぶヒロとダダシ。

しかしその直後、会場が突然の火事となり逃げ遅れたキャラハン教授を助けようと火の中に飛び込んだタダシは教授と共に帰らぬ人となってしまう。
最愛の兄を失ったヒロは大学に通う気力もなくし心を閉ざしてしまうのだが、タダシの残したケアロボット〝ベイマックス”(川島得愛)が起動して「あなたの心と体を守ります」と近づいてくる。

最初は迷惑だったヒロも自分を元気づけようと外に出ていくベイマックスを追いかける。
心優しいベイマックスは兄のポケットに1本だけ残されていたマイクロボットの反応する方向に向かっていたのだ。

兄と共に全部火災で焼失してしまったマイクロボットが反応するのはなぜなのか。
ふたりが導かれた古い倉庫には歌舞伎の仮面をつけた謎の男がマイクボットを大量生産していた。
現場を見られた仮面の男はマイクボットを使い襲い掛かってくる。

必死で逃げるヒロとベイマックスを助けたのはタダシの友人たち。
兄の死に疑問を持ったヒロは仮面の男と戦うためにベイマックスをバージョンアップし、タダシの友人たちと共に仮面の男を探すのだった。

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街並みがサンフランシスコですがチャイナタウンを日本仕様にしています。
坂の多いサンフランシスコの風景がとても素敵でゴルデンゲートブリッジが象徴的。
サンフランシスコ名物のケーブルカーには提灯がついててこれがすごく可愛い。
ヒロたちが犯人を捜して訪れる島はアルカトラズ島かな。

ヒロの日常が前半、仮面の男との戦いが後半です。
タダシの友人たちが研究していたものを各自バージョンアップしてヒーロチームが完成します。
特訓して力を試したり空を飛んでみたりももちろんあり。
実はメンバーの一人が大富豪の息子ってとこもヒーロー映画のお決まりね。

メンバーはレーザーカッターで何でも切っちゃうワサビ。
半重力を利用したパワードスーツで高速移動するゴー・ゴー。
化学反応で凝固するボールを操るハニー・レモン。
怪獣型着ぐるみを着て火炎放射で戦うフレッド。
それぞれの大学の研究を生かして戦います。

後半は初期イメージからどんどん離れていくわとも思いましたけど、最後のベイマックスとの別れも「ターミネーター2」みたいな展開で涙腺にぐっときます。

さて、タダシの死の真相と歌舞伎仮面の下に隠された正体は誰なんでしょうね。

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始まる前にワンちゃん主演のショートムービーあります。
ラストにはおまけ映像あり。最後まで座っててね。
セロハンテープで自分の体を補修するベイマックスの姿、可愛かったです。 ★★★★

監督:ドン・ホール、クリス・ウイリアムズ


ポイントブランク 標的にされた男 [映画【は行】]

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韓国映画です。
ERに搬送されてきた交通事故患者患者を治療したばかりに事件に関係のない医師が標的にされる巻き込まれ型のストーリー。

患者の方も実は巻き込まれちゃっていたので、わけわかんない同士が駆け引きを繰りひろげ事件はあらぬ方向へというノンストップアクションです。

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ある夜、交通事故で搬送されてきた患者・ヨフンを治療した医師・テジュンは、「お前の妻を誘拐した、その患者を連れてこなければ命は無いぞ」という脅迫電話を受ける。

患者には銃で撃たれた傷があったため不信には思っていたテジュンだったが、何故妻を誘拐されるのかが理解できない。
犯人の要求通りに病院の外に運び出したところで意識が戻ったヨフンに逃げられてしまう。
仕方なく一人で指定の場所に向かうテジュン。

実は妻を誘拐していたのはヨフンの弟であり、ヨフンとテジュンが向かった指定の場所は同じだったがそこにはヨフンの弟の死体があった。
妻は警察に連れ去られており、今度は理由もわからず警察に追われることとなる二人だった。

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ストーリー構成が上手く、最初は牽制しあうふたりが事件の内容を知ることにより近づいていき共に戦い始めます。
患者のヨフンは元傭兵って役なので強い強い。
お腹に撃たれたすごい傷があるのに動けるのね、ってくらい。
韓国映画の交通事故シーンっていつも思うのですがパーン!とすごい衝撃ではねられるのでどうやって撮られてるんだろうって思います。そしてよく雨が降ってるのよね。

最初は余計な台詞がほとんどないのでスピーディー。
中盤から意外な人が黒幕だったという犯人の正体が明かされ、兄弟愛あり、夫婦愛あり、腐敗した組織と金にまみれた裏組織とのつながりありの展開に。

女性刑事が二人出てきますが男性との格闘では女性は不利なんじゃと思いますが、事件解決の鍵となっていくお二人でした。

標的にされた二人の男、ヨフンとテジュンが行き着くラストとは…。

元のお話はハリウッドでのリメイク企画も進行しているフレッド・カバイエ監督の「この愛のために撃て」(2010)。
フランス映画のリメイクです。
韓国風に変わっているらしいのですが元の映画も観てみたくなります。  ★★★★

監督:チャン


フューリー [映画【は行】]

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1945年、4月。第二次世界大戦中のドイツが舞台。

連合軍はナチス・ドイツとの戦いで最後の総攻撃をかけようとしていた。
第2機甲師団第66機甲連隊に所属する「フューリー」号は副操縦士を前の戦いで失い、新兵のノーマン(ローガン・ラーマン)を新しい副操縦士として迎える。

〝激しい怒り”を意味する「フュ―リー」号搭乗員はリーダーのドン・コリアー(ブラット・ピット)、砲手のボイド・スワン(シャイア・ラブーフ)、装填手のグレイディ(ジョン・バーンサル)、操縦手のトリニ(マイケル・ペーニャ)。北アフリカ戦から同じチームで戦い、生き残ってきた猛者たちであった。

戦車を見ることも戦争に参加することも初めてのノーマン。
ドイツ少年兵への攻撃をためらったせいで先頭を走るパーカー中尉の戦車が破壊されてしまう。
ドンは怖気づくノーマンに無理やりドイツ兵を銃殺させるのだった。

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司令官がブラピでその相棒になんとシャイア・ラブーフ、通称〝バイブル”
クリスチャンでありながら冷酷な殺し屋という役です。

かつてスピルバーグの秘蔵っことも言われたシャイア・ラブーフ、久しぶりに映画館でみた気がします。『トランスフォーマー』も新作は彼はじゃなかったし。

最近は奇行やトラブルメーカーの話題ばかり目立っていたジャイア。
この映画を観る限りでは風貌はちょっと大人になってました。
でも役作りのために歯を抜いたり顔をナイフで切りつけたりシャワーも浴びなかったので共演者に嫌がられたり…ということはあったみたいです。

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ティーガーIというドイツの戦車との戦いがこのウリ。
世界に7台現存しているティーガーのうちイギリスのボービントン戦車博物館に保管されていた唯一稼働するものを使って撮影が行われました。

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他の戦争映画と比べても戦闘シーンが多めです。
しかもかなりリアルな映像で見慣れない方はキツイかも。特に女性にはちょっとね。

戦車戦が中心の映画というのも珍しいのですが、この映画を観ている間、松本零士さんの「戦場漫画シリーズ」の「この世には無敵の戦車などはない、あるのは鉄の棺桶だけだ…」という台詞が思い出されていました。
この映画に関してもそう、まさに鉄の棺桶。
フュ―リーは終盤動けなくなりますから300人のナチス兵 VS 連合軍5人(+動かない戦車)の戦いとなっていきます。

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旧約聖書の比喩表現が多様されるので知識がないとわかり難い部分も多いです。

新兵のノーマンが戦いを通じ兵士として成長していく様が描かれていきます。
攻略した村のドイツ女性との恋?がノーマンの成長の引き金となる展開ですがこれがまあ、女性が観たら全く共感出来ないエピソードです。
ピアノが上手くらいで一瞬で敵兵を好きになるものでしょうか。

ブラピをフュ―リーのクルーがとても信頼しているエピソードが少ないし、クルーの命を一番に大切にしている設定にも関わらすあのラストの命を懸けた決断になるのは共感出来ませんでした。

戦車好きな方は劇場で。  ★★★
それ以外の方はレンタルショップでいいかも。
戦争映画ではお勧めはやはりアメリカ映画では「プライベートライアン」。
スピルバーグ監督製作総指揮の「ザ・パシフィック」(全10章)というTVドラマも最後の沖縄戦では震えます。

監督はデヴィッド・エアー。
17歳でアメリカ海軍に入隊し潜水艦の乗組員としての勤務をした後脚本家を経て映画監督になったそうです。


ぼくを探しに [映画【は行】]

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フランス映画です。

2004年第76回アカデミー長編アニメーション賞を受賞した「ベルヴィル・ランデブー」。
ジャック・タチの遺稿をもとに映画化した「イリュージョニスト」。
ジブリの高畑勲監督が天才と讃えて日本にも知られるフランス・アニメーション作家、シルバン・ショメが初めて手がけた実写長編作です。

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「ベルヴィル・ランデブー」のサントラで使われた楽曲「アッティラ・マルセル」に着想を得て、仏文豪マルセル・プルーストの小説「失われた時を求めて」のエッセンスも織り交ぜながら、孤独な主人公が不思議な女性との出会いから失われた過去の記憶が呼び覚まされ、少しずつ変化していく人生を描いたファンタジックな物語・・・ということですが。

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主人公ポール(ギョーム・グイ)は幼い頃に両親が亡くなる事故を目撃したためにショックで言葉が話せなくなった青年。

成長した今、双子のようないつも同じ服を着た伯母二人(ベルナデット・ラフォン)(エレーヌ・バンサン)とアパルトマンで暮らしています。
歴史がありそうなアパルトマンには古くて大きなピアノが置かれポールは伯母たちに世界一のピアニストになるよう育てらています。
でも伯母との会話は玄関近くのボードに書くその日の予定だけ、好きなものはピアノを弾く合間に食べるお菓子シューケットくらい。

ポールの両親の死の原因はなんだったのか。
幼い頃の記憶がないポールは母の死を乗り越えることが出来ずいつも孤独です。

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ポールはある日、同じアパルトマンに住む謎めいた女性マダム・プルースト(アンヌ・ル・ニ)と出会います。
彼女の部屋で無理やり飲まされる苦いハーブティー、するとあ~ら不思議。
忘れ去られていた幼い頃の記憶が戻ってきて、そこでは若く美しい母と父が2歳のポールに向かって語りかけてきます。
愛された過去と寂しい今を行ったり来たり、両親の思い出に浸るポール。
でも過去は楽しい思い出だけではありませんでした。

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いやあもう、さすがフランス映画。
お洒落な上に想像もできない両親の死の事実!!
ついでに両親の職業も。
そんなバカな?とひっくり返りました。

ポールの日常やマダムの部屋を訪れるお客の様子をのんびり映し出す、何がなんだかわからず眠くなりそうな中盤からまさかの終盤の展開。
でもアジア映画のような壮絶さは感じないのはなぜ?その死すらお洒落です。
やっと両親の死をしっかり受け止めたポールの人生が動き出していきます。

先に観たインド映画の「マダム・イン・ニューヨーク」では自信喪失の主人公マダムに恋愛感情を示して勇気を与えるのはフランス人のイケメン青年でした。
かたやこのフランス映画ではポールにお茶を飲ませるマダム・プルーストはインドに行ったことで不思議な力?を持つ人です。インドに行ったから仏教徒になれる訳でも不思議なおハーブが手に入る訳でもなかろうと日本人としては思うのだけど・・・二人のマダムのお蔭でフランス→お洒落、インド→不思議っていうイメージで面白く映画を観ることが出来た気がします。


「アメリ」プロデューサー・クローディー・オサールが関わっているせいか「アメリ」の雰囲気ぷんぷん。
色彩も美しく音楽が溢れだす不思議映画です。 ★★★☆
いや~私、何回不思議って書いたかしら。

監督;シルバン・ショメ


パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間 [映画【は行】]

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ザプルーダー・フィルムと呼ばれる記録映像をご存じだろうか。

それは1963年11月22日、アメリカ合衆国、テキサス州のダラスに遊説のため訪れたアメリカ合衆国第35代大統領ジョン・F・ケネディ大統領が狙撃される決定的瞬間を映した8mmフィルム。

撮影していたのはダラスに住む婦人服メーカーの経営者・エイブラハム・ザプルーダー。

民主党支持者でケネディ大統領の崇拝者だったザプルーダーは、ケネディがすぐ近くのディーレイ・プラザにやって来ることを知り8mmを構えた。

やがて大統領夫妻を乗せたオープンカーがザプルーダーの視界に入る12時38分、3発の銃声と共に惨事は起こる。
この大統領暗殺の決定的瞬間を映した8mmがザプルーダー・フイルムである。

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大統領暗殺の様子をもっとも近くから撮ってしまったザプルーダー(ポール・ジアマッティ)。

彼はショックを受けつつ、事件後すぐにシークレットサービスに伴われフィルム現像所を探し歩くこととなる。現像後、コピーは3本作られシークレットサービスにも提供される。
次の日にはザプルーダーと「ライフ」誌の記者との間に報道の契約が結ばれていくのだった。

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一方、狙撃された大統領はダラスのパークランド病院に運び込まれる。
オープンカーに同乗していた妻のジャクリーン夫人、シークレットサービスが伴っていた。

若い外科医ジム・カリコ医師(ザック・エフロン)はその日もいつもと同じ眠い朝を迎えていたが、お昼過ぎに突然大統領が運び込まれると病院は殺気立っていくのだった。

必死の医師たちの処置もむなしく死亡が告げられた大統領。
急いでワシントンに連れ帰る為の専用機に向かうが、専用機の入口が小さく棺を通すためにドアを打ち破るエピソードが悲しい。

やがて逮捕される暗殺の容疑者、リー・ハーヴェイ・オズワルド。
しかしその容疑者も逮捕から2日後の11月24日午前11時20分ごろ、郡刑務所へ移送される途中で銃殺されるのだ。
その時オズワルドが運び込まれた病院もまた、ケネディ大統領が運び込まれた同じパークランド病院、驚く医師たち。

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大統領を守りきれなかったシークレットサービス。

大統領とオズワルドの死を見届けるパークランド病院の医師。

オズワルドと以前から接触していたというダラスのFBI捜査官。

ある日突然弟が国の敵となったオズワルドの兄。

当時のパニックの様子が事件から50年たったこの映画でもビンビン伝わってきます。

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この事件は今も謎に包まれる事件。アメリカ最大のタブーと言われています。
でもその謎を探る映画ではなく、偶然事件に関わることになってしまった人々の驚きや嘆きの様子が描かれています。

射殺されたオズワルドはケネディ大統領の国葬が行われていた同じ日の11月25日、ダラスの郊外に埋葬されて4日間を追った映画も終わります。

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綿密な取材に基づいて描かれた4日間です。
監督・脚本はジャーナリストとして長年活動してきたピーター・ランデズマン、初監督作品。
製作者にトム・ハンクスの名前がありました。
トム・ハンクスはスピルバーグ監督のTVドラマ「ザ・パシフィック」などもプロデュースしています。

事件に興味がある方には目が離せない映画となっています。 
ザプルーダー・フイルムは映画の中では鮮明には流れません。
製作者側の大統領への配慮の表れだと思います。    ★★★★☆


はじまりは5つ星ホテルから [映画【は行】]

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イタリア映画です。
誰もが一生に一度は泊まりたいと憧れる5つ星ホテルの格付チェックをする覆面調査員のお話。 
見逃していましたが近くの映画館で再上映してました。

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小ぶりのスーツケースを引いて颯爽と高級ホテルを泊まり歩くイレーネ(マルゲリータ・ブイ)、40代、女性、独身。
彼女の仕事は世界を股にかける覆面調査員。
1年の9割を有名ホテルで過ごしています。

どのホテルも美しく目を見張るのですがイレーネの視線はそこを通り越して受付の態度・視線はどこを見ているのか、ボーイの応対、サービス。
部屋に着いたらスーツケースを開き白い手袋を出す。
そして手袋の指でツイーとひとなで、埃が付いてこないかを調べる目はまるで姑の意地悪チェックです。

更にベッドカバーを剥いで中を調べ、タオルの匂いを嗅ぎ、カーテンの汚れを調べ、ベッドの下を覗きます。
ルームサービスを頼んだらいきなり温度計が登場、スープやワインの温度を測り始めるのです。

「え~そんなところまで?」がたくさん。
ベテラン調査員のイレーネの手際は常にテキパキ。
味や雰囲気ももちろんその次にチェックされるんでしょうね。
そしてパソコンに800項目の点数を次々と書き込んでいく様子に感心。

ミシュランもそうだけど星が多けりゃお値段も相当のはず。
想像以上のおもてなしを期待してしまいますよね。
こんな仕事があればこそ、ホテル側も手を抜けないってことです。
こっそり調査しているイレーネにホテルの従業員が「実は覆面調査員が来ているらしいので朝から大変ですよ」
なんてうっかりこぼしてしまうエピソードも盛り込まれ笑いを誘います。

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イレーネは自分の仕事が好きで誇りを持っています。
今まではなんの不安も感じていなかったのですが、イタリアの自宅に戻った時、いつも話を聞いてくれる親友アンドレアに彼女が出来てしかも子供が生まれるらしいのです。
これからは少し、生活が変わっていきそうな嫌な予感がしてきます。

音楽家の妹(ここがイタリアっぽい♪)は結婚していて子供もいて、イレーネが帰るのを待っていてはくれますが反面自由きままな姉に嫉妬心もあるので心がすれ違って喧嘩もしてしまうのです。
姪っ子たちをいくら可愛がっても結局はママの方が好きだし、あんなことこんなことで寂しさを感じる事が増えてきたような気がしてくるのです。

そんな頃仕事のベルリンのホテルで知り合った熟年女性と意気投合したのもつかの間、彼女の突然死にショックが隠せないイレーネ。
もし自分がホテルで死んでしまった時、連絡先は誰にしたらいいんだろう?
自分の将来を重ねてしまう、40代は人生の曲がり角。


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人生一度きりですが自分がやりたい仕事をひたすら頑張るのも幸せだし、愛する人と家庭を持つのも幸せです。
独身でバリバリ仕事をしてきたイレーネ、仕事もあり結婚してご主人と子供に振り回され自由がないと感じるイレーネの妹、彼が結婚する気がなくても一人で働いて子供を産んで育てると彼に宣言するアンドレアの彼女。
結婚しててもしてなくても悩みはそれぞれあるようです。

そしてなんといっても5つ星ホテル。

ホテル・デゥ・クリヨン(仏・パリ)
グシュタード・パレス(スイス・グシュタート)
フォンテヴェルデ・タスカン・リゾート&スパ(イタリア、サンカシャーノ・デル・バーニ)
パレ・ナマスカ(モロッコ、マラケシュ)
ボルゴ・イグナシア(イタリア、サヴェッレトリ・ディ・フザーノ)
ホテル・アドロン・ケビンスキー(ドイツ・ベルリン)
ザ・プリ・アンド・スパ(中国・上海)

どのホテルもそれぞれと~っても素敵です。
私は海もある南イタリアのホテルが良かったかな。

40歳の女性がこれからの自分を迷っていく姿は同性の方が共感出来るかも。

仕事に疲れた方、旅行に行けない方、この連休はレンタルDVDの5つ星ホテルに行ってみませんか?
 ★★★★

監督はマリア・ソーレ・トニャッツィ

 


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