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藁の楯 わらのたて [映画【やらわ】]

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三池崇史監督と第66回カンヌ映画祭(5月15日開幕)のコンペ部門に選出され話題の「藁の楯 わらのたて」を観てきました。

2011年の「一命」も同様にカンヌに選出され面白かったですし、先に観に行った友人から絶賛メールが来たので期待度は大でした。

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原作は『ビー・バップ・ハイスクール』シリーズの漫画家、木内一裕の小説。
小説家としてのデビュー作品らしいですね。
原作を読んでいませんが読んでいた方は比較しながら楽しめるんじゃないでしょうか。映画なりの変更があるようです。

一人の幼い少女の暴行殺人事件から物語は始まる。
被害者少女は政財界の大物・蜷川(山崎努)の孫娘。
犯人は7年前に同様の事件を起こして服役し最近出所したばかりの清丸国秀(藤原竜也)だった。

蜷川による「この男を殺してほしい、御礼として10億円お支払いします」という犯人殺害を依頼する新聞の全面広告が掲載されると日本中が殺気立つ。
その記事のせいでそれまで逃亡の手助けをしていた身内による暴行事件が起こり、清丸国秀は福岡県警に自首。
福岡から東京までの移送を警察は警視庁警備部の銘苅一基(大沢たかお)、白岩篤子(松嶋菜々子)に命令。
日本中を敵に回して精鋭5人のSP(岸谷五朗・伊武雅刀・永山絢斗)達は犯人を守れるのか。

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藤原竜也演じる清丸は幼い少女を暴行し殺害する常習犯でどうしようもない人間のクズ。
こういう役が最近多いです。

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一方大沢たかおは妻を数年前に事故で無くし犯人に対する憎悪を胸に秘めているが警察官として職務を全う、あらゆる場面で犯人清丸の楯となり銃弾をも体に受けるという役どころ。

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ポスターを見たときこれは誰?と思った銃を構える女性は松嶋菜々子。
シングルマザーで優秀な警察官役、紅一点。(あ、余貴美子さんも出てたけど。)
原作では男性だったのを変更しているらしいです。髪型でかなりイメージが変わっていてました。

 

一人を守る為に大勢の人が犠牲になるという矛盾ストーリーは他にも沢山ありますので新鮮さは感じませんでしたが、今回は極悪人を守らなければならない葛藤があります。
なのでもっと面白くなるのかと思っていましたが新幹線で移動するあたりからストーリーは失速。
SPという仕事の危険さが身に染みる反面、こんな行き当たりばったりの警護で日本の警察はいいのかと思わせちゃうのです。 

新幹線シーンは台湾ロケ。台湾高速鉄道を8日間貸し切っての撮影だったとか。

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金さえあれば憎い相手を殺してと言い切ってよいのか。(蜷川)
金さえもらえれば知らない人でも殺せるのか。(一般人)
自分が死んでお金を母にあげたとしても親はその金をありがたいと思うのか。(清丸)

映画はフィクションだと分っていますが物語の世界に引き込まれないと感情移入出来ませんよね。
もう少し登場人物の説明も欲しかった。
タクシーの運転手に語らせるだけでしたから。

ラスト近く、大沢演じるSP銘苅が富豪蜷川に「死んだお孫さんはこんな事を本当に喜びますか?」と諭す台詞がありました。
蜷川はそれに対して「・・・死んだ子は何も喋れないんだ。」と言い、孫娘を想い後悔する素振りをみせます。

でも犯人に乱暴されて殺された幼い子ならどう答えるのか。私なら・・・?

少し前に見た「ストロベリー・ナイト」で大沢演じるヤクザに、同じように暴行事件の被害者だった過去を持つ主人公の警官・竹内結子がいう台詞、「あいつ(犯人)を、殺して。」
私はこちらの方にぐっときてしまうんです。

   ★★★  

監督;三池崇史


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ヨンガシ 変種増殖 [映画【やらわ】]

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シネマート心斎橋 『韓国映画セレクション 2013春』より2本目。

1本目からは想像もつかないほど悲惨なパニック映画でした。

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虫は苦手です。特にカマキリが嫌い。
ハリガネムシってそのカマキリなどの昆虫のお腹に寄生するにょろんとした細長い虫。
その形状から針金の名前がついてるんでしょうね。
もしそのハリガネムシが人間に寄生したら?っていう映画でした。ヨンガシとはハリガネムシの事らしいです。

製薬会社の営業のジェヒョク(キム・ミョンミン)。
株で失敗して借金を抱え、仕事に忙しく家族を顧みない生活が続いている。

そんな彼の周りで川辺での変死体が発見される事件が続く。
ジェヒョクの弟の刑事ジェピル(キム・ドンワン)は事件の担当となり捜査に参加。
やがて、一連の変死事件の原因が寄生虫のヨンガシ(ハリガネムシ)が突然変異して川遊びをした人間の体内に入ったことが原因と発表される。
ハリガネムシは体内で育ち成虫になって外に出るときに人間の脳を操り水辺へと向かわせ水死させていたのだ。
政府は緊急対策本部設置などの事態収拾に当たるが変死体の数は増え、救えそうな患者たちを収容所に監禁し始める。

やがて自分の妻と子供たちもヨンガシに感染していることを知るジェヒョク。
収容所に送られた家族を救うため、自分の勤める会社で作る薬が唯一の特効薬であることを聞いて薬局に向かうが何故か薬はどこにも売られていなかった。
そして大勢の患者の家族もまたパニック状態になっていた。

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特効薬があるとわかってから父は走り廻ります。
その間にも収容所の妻がおかしくなって命が危なくなって、父は方々を走り廻りコネを使ったりで薬を見つけますが奪われてしまって「ああなんてことを・・・」が何度か繰り返されます。
父と家族を結ぶのは携帯電話だけですがやがてその携帯も収容所でパニックが起こるからと回収されてしまいます。
必死に走り廻っても報われない父を観てるのと、ハリガネムシは気持ち悪いのとで疲れてしまいました。

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家族を顧みず働き、遊園地に連れても行かなかったんでお手軽な川遊びに出かけて感染させちゃったと後悔バリバリの父。
奥さんは収容所で自分も子供も死にそうなのに文句一つ言わないの。
家族の為に頑張ってるとわかっていても一言くらい助けてって言わないのかしら。出来た妻だわ。

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結局この感染の裏にあるのは欲にかられた一部の悪い奴らのせいでした。
それが製薬会社の研究員ってとこが「猿の惑星:創世記ジェネシス」でもそうだったので新しい驚きはなかったです。

ものすごい数のエキストラ、患者や水に浮かぶ死体もあり、見つけられない薬に右往左往される緊張感の続く映画でしたけど虫嫌いには辛すぎる映画でした。
劇中の患者は水を絶えずがぶ飲みしているのでこの映画観ている時はジュースは飲みたくなくなるはずです。

 ★★★☆

監督:パク・ジョンウ

 


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奪命金 [映画【やらわ】]

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香港映画です。

香港ノワールの名手、ジョニー・トー監督作品。
ト―監督の映画は初めてだったのですが、この映画はギリシャ債務危機がもたらした金融危機で人生が変わる3人の男女を中心に描くサスペンスでした。

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刑事チョン(リッチー・レン)は、妻にせがまれているマンション購入の対応に苦慮している。
金策で妻が通う銀行では銀行員テレサ(デニス・ホー)がリスクの高い金融商品の販売に苦しんでいる。
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テレサは成績不振。
このままではクビになるかもしれず、どうしてもハイリスクな商品を誰かに売りつけねばならない。

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性格はよいのでなんでヤクザやってるのかはよく分からないパンサー(ラウ・チンワン)は、兄貴分の保釈金の工面に悩んでる。
保釈金は苦労して工面して払っても釈放された途端、違う管轄の警察が兄貴をしょっ引いていくので埒があかないのだ。

そんな金策で頭が痛い面々の前に起こったギリシャの債務危機。
たまたま来行していたテレサの顧客の闇金融業者のオッサン。
「銀行は手数料を取るだけで自分たちは損をしないじゃないか」とテレサを責めていたのにその後誰かに殴り殺されてしまう。

パンサーは金策に走っていたが頼りの友人は刺されて死にそうなのに金の心配ばかり。
どうみても心臓に刺されてるのに病院に行かないのか??
このパンサーってヤクザ、喋り方が独特な抑揚があって不思議な感じです。
刑事のチョンも事件が起こってエレベーターに閉じ込められ命の危険が。
時間軸が少し戻って実は殴り殺される闇金のオッサンの車にはパンサーが乗っていたり、あの時の電話はこの人からだったのかと後でわかる「なるほど」が織り込まれていきます。

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しかし金融危機はチャンスでもあるというラスト。玄人の方が儲けるとは限りません。

去年見たウディ・アレン監督の『恋のロンドン狂騒曲』は恋の為に右往左往する男女の群像劇でしたけど、ロンドンと違い香港ではこのタイトル通り金、金、金。
あげく金に命を奪われるお話です。

誰が最後に得をするのか。

『恋のロンドン協奏曲』同様、得をしたかに思われる人物にもこれから危うい事が起こるのではないのかなという含みを持たせつつ終わります。

人生、楽して儲けようなんて考えず地道が一番って事かな。そして葉巻は金持ちの象徴?
   ★★★☆

 


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ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 [映画【やらわ】]

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~IMAX 3Dで鑑賞~

アン・リー監督の『ライフ・オブ・パイ』を観てきました。
期待以上のストーリーと画像の美しさでしたが終わるころにはすっかり船酔いしてしまいました。^.^;;
映画館でこんなことは初めてです。
個人的な意見ですが出来れば後ろの席で観る事をお勧めします。

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原作はヤン・マーテルのベストセラー小説「パイの物語」。
『ブロークバック・マウンテン』でアカデミー賞監督となったアン・リー監督での映画化です。
脚本はデヴイッド・マギー。
リー監督に決まるまでは他の監督や脚本家に声がかかっており、例えば当初のM・ナイト・ジャマラン監督、次にアルフォンソ・キュアロン監督などでしたが最終的に2009年にリー監督に決まっています。

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前半はパイ少年(スラジュ・シャルマ)の生い立ちです。
漂流した時16歳のパイは4人の役者さん(少年期3人、成人1人)で演じられています。

動物園を営む両親と兄と共にインドで暮らすパイ。
一家でカナダに移住することとなり、売却予定の動物達と一緒に日本の貨物船に乗り込みます。
やがて太平洋を航行している夜中に嵐がやってきます。
少年らしい好奇心で嵐を見たいと甲板に上がったパイは船で爆発が起こるのを目撃。
クルー達によって救命ボートに移されますが、目の前では船室に眠っているはずの両親と兄が乗った貨物船が沈没していく様を見守るのみ。

一人取り残されたパイのボートには足をくじいたシマウマとハイエナが同乗。
そこに海のどこからかオラウータンが流れ着きますがハイエナによって2匹は殺されてしまいます。
しかし、ボートのシートからベンガルドラの”リチャード・パーカー”が飛び出しハイエナを殺し・・・、
パイは獰猛なトラと漂流することとなります。

このトラの“リチャード・パーカー”という名前ですが、エドガー・アラン・ポーの1837年発表の小説で漂流中に他の3人から食べられてしまう哀れな男と、そして1884年に実際に起こった船の難破で仲間3人から食べられてしまった少年の名前もリチャード・パーカーだったのだとか。
偶然にも一致しているのですが意味があってこの名前だったのでしょうか。
映画では食べられるより食べる側でしたが・・・。

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前半でしっかり描かれているパイの少年時代、彼が信じる神の存在、両親からの教え、虎に対する愛情と恐れなどが後半の漂流シーンへとつながり、やがて現在カナダで暮らす成人のパイの話に戻っていきます。

この不思議な体験は本当だったのか、まさか作り話だったのか、なんて二つの解釈が残るラストですがそれは観た方それぞれが考えること。

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とにかく空と海が一つになりクラゲもクジラもトビウオも夕焼けも虹も美しい。
映画でしか味わえない不思議な体験です。
大画面で観て欲しい、出来れば3Dで。そして何かを感じて欲しいです。
  ★★★★★

ほとんどCGで作られているというベンガルトラ。
飛び出てくるたびに身を引いてしまうほどリアルな視覚効果に圧倒されます。


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レ・ミゼラブル [映画【やらわ】]

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明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願い致します。

今年最初は『レ・ミゼラブル』観てきました。
ヴィクトル・ユーゴーが1862年発表の小説「ああ無情」を基にした名作ミュージカルを映画化したもので貧困ゆえに罪びととなった男が聖人として亡くなるまでの一生の物語です。

時は1815年。主人公は姪の為に1個のパンを盗んだ罪で投獄されていたジャン・バルジャン(ヒュー・ジャックマン)。何度も脱獄を繰り返すごとに罪が増えて19年もの長期間刑務所にいた彼は遂に仮釈放となるが、外の世界に出ても世間の冷遇続き、彼を暖かく迎えてくれた教会で盗みを働いてしまう。

しかし大切にしていた銀の食器を盗まれた老司教は、「彼にあげたもので盗まれてはいない」とジャン・バルジャンを捕えた憲兵に話す。
更に二本の銀の燭台を差し出し、「正しい人になるために使いなさい」という司教の慈悲に触れ、それまでの人間不信から改心するジャン・バルジャン。

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時が過ぎ、名前を変え、罪人である事を隠し、工場主として成功を収め市長になった彼は自分の工場で働いていた女工ファンテーヌ(アン・ハサウェイ)と知り合う。
彼女は幼い娘の為に美しい髪を売り、歯をも売り、養母の元へ仕送りを続けるが、実は養母が娘を冷遇し、仕送りのお金を使ってしまっている事は知らない。
やがて売春婦にまで身を落とし病で亡くなってしまう彼女の最後の願いをききコゼットを自分の娘として引き取るジャン・バルジャン。

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ジャン・バルジャンを罪人として追うのはジャヴェール警部(ラッセル・クロウ)。彼は法の番人。

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時は過ぎ美しく成長したコゼット。
ジャン・バルジャンが警察から追われる身だとは知らず、養父からの愛を一心に浴びて美しく成長する。
そしてそのコゼット(アマンダ・セイフライド)に恋する若者マリユス(エディ・レッドメイン)が現れ、ジャン・バルジャンも時代の暴動の中に巻き込まれていくのだった。

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世界43カ国で上演される名作ミュージカルの映画化という事で、終了直後後ろの席から拍手が起こりました。
舞台なら全員が立ちあがって拍手をするタイミングです。

台詞がほとんど歌で綴られて、しかも全員がライブで歌ったという今回の映画は舞台の良い所と映画ならでは美しい映像が合わさったものになっていました。
豪華キャストでしたが私はエボニーヌが歌う「オン・マイ・オウン」に感動しました。
片思いのマリユスには幸せになってもらいたいがコゼットに渡すのも哀しい。
乙女の複雑な恋心を圧倒的な歌唱力で歌いあげていました。
演じていたサマンサ・バークスはこれから活躍する女優さんになるんじゃないかしら。

題名の「レ・ミゼラブル」は「悲惨な人々」という意味で銀の蜀台のエピソードが特に有名ですね。
19世紀のフランス革命後と言いますが1815年からの18年の物語は、時代は日本でいうと江戸時代、11代将軍の徳川家斉の頃となります。

監督は『英国王のスピーチ』でオスカーを受賞したトム・フーパー監督。

ミュージカルの方も観たくなりますね。

  ★★★★★


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ワンドゥギ [映画【やらわ】]

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『トキメキ☆成均館スキャンダル』のコロ先輩で最近人気のユ・アインと『チェイサー』『哀しき獣』のキム・ユンソク主演の韓国映画です。

ユ・アインはよしながふみさんの人気漫画『西洋骨董洋菓子店』を韓国で実写映画化した『アンティーク~西洋骨董洋菓子店~』にも出演していましたね。
イケメン4人で並んだポスターでは一番小さい(若い?)。

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『ワンドゥギ』は韓国のベストセラー小説を原作に、2011年韓国で映画化。
韓国では公開されると530万人を動員した大ヒット映画。

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高校生のワンドゥク(ユ・アイン)は低身長の障害をもつ父と、その父を慕う風変わりな叔父と貧しい3人暮らし。
父がタップダンスで稼いだ収入で暮らしていたが職場のキャバレーも閉店になってしまう。

そんな不遇な環境で育ったワンドゥクはなるべく他人とは関わらず、出来ればずっと隠れて生きていきたいとさえ思っていたのに担任教師のドンジュ(キム・ユンソク)だけはワンドゥクにあれこれ干渉してくるのだ。
しかもドンジュは自宅も隣に住んでいるので学校でも家でもワンドゥクの名前を大声でよんでは口汚く命令するまさに天敵。
教会に行ってワンドゥクが真剣に神に祈る言葉は「神様、お願いです。どうかクソドンジュを殺してください…。」

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そんなある日、生まれてから一度も会った事がない母親の消息をドンジュから聞かされるワンドゥク。
生きていることも知らなかった母。しかもフィリピン人だというのだ。

韓国の社会福祉がよく理解出来ていないのですが、高校で本人に収入の低い家庭への支援物資(食料)を渡すんですね。
なので絶対知られたくない家庭の事情や私生活を平気でクラスのみんなの前でばらしてしまう担任教師に子供なら「なんで!?」と思ってしまうのは至極当然。

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でも「貧しいのはお前のせいか?胸を張って生きろ!」というのがその破天荒な先生の持論。
障害者の父とも仲良く酒を酌み交わし、御近所トラブルも助けてくれる意外といいやつ。

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そんな悩める高校生ワンドゥクと担任教師ドンジュの毎日が学校での話やご近所とのもめごとなどを中心に進んでいきます。

全く退屈しないストーリー展開で主人公とクラスで一番の秀才のガールフレンドとのエピソート、担任の恨みをぶちまけに教会に通っていたらキックボクシングとも出会い、徐々に他人と関わることを憶えていく行程が丁寧に描かれて上手いなあと思いました。
(それにしてもキックボクシングって痛そうなスポーツですね。)

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父に気遣い全く会う気も無かった母に再会し母の汚れた靴を見て新しい靴を買ってあげたり、障害者の父がお酒を飲んでいたら迎えに行っておんぶしてあげたり。日本じゃ見ない光景。
主人公ワンドゥクがとってもいい子なんで心が温まります。

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担任役のキム・ユンソクの存在が大きい映画です。
彼が出てると聞くとその映画は見たくなる私ではあるんですが、夢も将来に希望も無く不良になってもおかしくないと自分で思っている喧嘩だけが取り柄の教え子に、嫌がられながらもその子の心を開かせようと不器用に接する担任教師のお話を2時間じっくり魅せてくれます。

貧困、障害者、外国人労働者、差別、恋愛、スポ根、親子、夫婦関係…など沢山の要素が盛りだくさんと煮込まれてますがどれも丁度良い塩梅で最後はほのぼのとした味が残る良作映画でした。

『チェイサー』好きもコロ先輩好きな貴方も、是非どうぞ。 ★★★★

監督;イ・ハン  原作;キム・リョリョン


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ロボット [映画【やらわ】]

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工学博士のバシー博士(ラジニカーント)は、10年の時を費やし高性能のロボットを作り上げる。
チッティ(ラジニカーント=二役)と名付けられたロボットは人間の感情を理解し博士の恋人・サナ(アイシュワリヤー・ラーイ)に恋心を抱いてしまう。
しかしサナはロボットとは恋愛は出来ないとチッティを振ってしまい、博士もチッティの数々の強引な所業に怒りを感じバラバラにして廃棄処分に・・・。
しかし廃棄現場からボーラ博士によってチッティの残骸が回収され、チッティは強力な殺人兵器としてよみがえる。
博士を恨むチッティはサナをさらい、自分のレプリカを大量に作り反撃に出るのだった。

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有名なインド映画といえば『ムトゥ踊るマハラジャ』(1995)ですがその主演のラジニカーントが博士とロボットの二役を演じる映画でした。
『ムトゥ踊るマハラジャ』もなんだが不思議な映画でしたが後半に入り怒涛の展開でとっても面白かった覚えがあり(もうちょっと忘れてますが)今回もすごいおバカ映画だろうと楽しみに行ってきました。
世界興業収入が100億円らしいです。

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「ターミネーター」や「アイアンマン」を手掛けたハリウッド最高峰のVFXスタッフが全面協力というのは間違いないです。ハリウッド映画のどっかで観たような映像ではありますがとってもすごい。
沢山のチッティは球体になったり集団で変幻自在、なんじゃこりゃ、これでもかと襲いかかってきて怖いんです。

でも・・・。

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私、ラスト近くでスカスカ寝てしまいました・・・。

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前半は面白かったんだけどチッティが悪役になってからが長くてもう、いいよって感じかな。
VFX好きな方なら眼を見張るとは思います。
私としては靴を脱いで冷たいとこ捜して知覚神経を刺激してみたり、お菓子食べてお腹に刺激を与えてみたりと睡魔にはとっっても戦ったんですけどチッティの悪行の数々にはストーリーが無いので睡魔に負けてしまいました。^.^;
(過去トランスフォーマーでも寝てまいました)

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今作は踊りが少なかった気がしましたが、3時間のインド版を139分に日本版として特別編集しているみたいですね。やっぱり踊りはカットされているんでしょう、壮観なダンス、あれが観たかったのに残念。

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主演のお二人は顔の濃い族でした。
ラジニカーント氏は1949年生まれの御歳63歳。
なんであんなに軽やかに動けるんでしょ。
そして博士の髪多っ!ってびっくりしたけどきっとカツラなのね。

アイシュワリヤー・ラーイのまつ毛は本物なんでしょうか。
バサッと長いです。  

 ★★★☆

監督;シャンカール

 


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わが母の記 [映画【やらわ】]

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GWに観てきました。
実は私はあまり映画館で邦画は観ないんですが予告を観て劇場で観たくなった作品です。
この映画は文豪・井上靖氏が実母・八重について書いた晩年の短編三部作、『花の下』、『月光』、『雪の面』を元に映画化したものです。
私も義母が2月に亡くなったので母親を語る映画が観たかったのだと思います。
ちょっとネタバレで感想書きます。

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昭和39年から主人公の母が認知症を発症し亡くなるまでの10年間のお話。
小説家・伊上洪作(役所広司)は東京に住んでいるが、実家の伊豆に住む父が病死したころから実母八重(樹木希林)の様子がおかしくなり始める。

幼少期に実母と離れて暮らした為に“自分は母に捨てられた”という想いを今も引きずる洪作。
それまでは母との関係に距離を置いていた洪作であったが、恨みがいくら深くても息子の顔さえ忘れてしまった母にもはや恨みごとも言えはしない。

しかし今まで聞けなかった「何故自分を捨てて曽祖父の妾で自分とは血の繋がらないおぬいばあさんに預けたのか」を素直に母に尋ねることが出来るようになるのである。

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樹木希林対役所耕司の演技が迫ってくる映画でした。

老女役を若いころから演じてきた希林さんは今や演じる役と実年齢が合致して、見事の一言。
目の前にいる息子、洪作に語る少し頓珍漢な話や悪態に劇場からは何回も笑い声が湧きあがりました。

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洪作は売れっ子小説家であり東京の家には妻子の他、仕事関係の編集者や運転手などの使用人が常にいて騒がしい。
小説のネタに私生活を書かれてしまう事で末娘の琴子(宮崎あおい)などは父親に反発している。
八重の誕生日にはホテルで大家族のお食事会と楽団の演奏。

そんな伊上家の暮らしを描きながら八重と洪作という母子の関係だけではなく洪作と琴子という父と娘の親子関係も同時に丁寧に語られていきます。

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八重の暮らしは伊豆に住んでいたり息子の住む東京にきたり、軽井沢の別荘に行ったり。
面倒を見てくれるのも孫の琴子であったり洪作の姉妹であったりで、今のようなせかせかした時間の流れで一人で親の認知症と向かい合っているのではなく、大家族の中で世話が出来る人が八重を世話していています。
使用人もいるので観る前に想像していたような悲痛な展開ではありませんでした。
経済的な心配も無く、家族にこんなに大切にされる老後は羨ましいとさえ思ったりもしました。
何かを絶えず捜し回っている本人にはわからないようでしたが。

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それにしても子供の頃の記憶とは実際のところどれだけ正確なんでしょう。
母が子供を捨てるなんてよほどのことがないと思うのですが洪作の記憶ではそうなってしまって他の考えは受け付けない。
なので後半で明かされる母が胸に秘めていた想いが自分が老年期になるまでわからない。
妻も母から聞いていた幼少期の事実はご主人には明かしていないしね。
小説家というものは少し不幸を背負ってるくらいがいいものが書けるのかもしれません。

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やっと母の想いを知ることができた時、母は自分を息子とはわからなくなってしまっている。
でも幼いころに書いた本人が思い出せないでいる詩を認知症が進んだ母がすらすらと口にするシーンは泣けますね。
母の息子への愛がにじみ出て、息子の心にあった恨みが消え去る瞬間でした。

  ★★★★

監督、脚本は「クライマーズ・ハイ」の原田眞人。
井上靖氏には息子さんがいますが、監督はあえて洪作の子供たちを女の子だけにしたらしいです。

第35回モントリオール世界映画祭ワールド・コンペティション部門、審査員特別グランプリ受賞作品。


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Ricky リッキー [映画【やらわ】]

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「しあわせの雨傘」に続いて梅田ガーデンシネマでオゾン監督作品の2作目を鑑賞。「リッキー」は「しあわせの雨傘」の前年に作られた作品で「しあわせ・・」のような明るい作品ではありませんでした。

カティ(アレクサンドラ・ラミー)は幼い娘リザ(メリュジーヌ・マヤンス)と二人で団地に暮らすシングルマザー。貧しくて単調な毎日はバイクで娘を学校に送り、工場で単調な仕事を繰り返す日々。そんなある日、スペインから出稼ぎにきたパコ(セルジ・ロペス)と恋に落ちる。

カティはやがて妊娠し男の子が生まれる。

カティはパコと付き合い始めると幼いリザを置いて食事に出掛けたり、バイクで送り迎えしていたのにスクールバスに替えたり、いきなり知らないおじさんを連れてきて、「これからはこの人がパパよ」と言ってしまう我儘な母。

しかしリッキーが生まれると今度はリッキーにかかりきりになり、夫のパコをもかまう事をしなくなり次第に険悪になる二人。それに反してパコに反発していたリザとの間は少し近づいていくのだが、始終機嫌が悪く泣きじゃくるリッキーの背中にあざが出来た時、カティはパコが怪我をさせたと疑ってしまう。そして疑われた事に怒ったパコは家を出てしまう。

再び子供を抱えて孤独になるカティだったが赤ちゃんのリッキーの傷はどんえどん悪くなりそこから骨が伸びたようなのような翼が生え始る。その翼はまるで手羽先のようなリアルな形。パタパタと薄気味悪く動く様子は決してフアンタジ―の世界ではない。血が滲み、徐々に伸び始め、茶色の羽が生え始めるのだ。

パコが虐待したのではないと分かっても連絡出来ないカティ。他にシングルマザーには相談できる人も無く、リッキーの可愛さに翼を素直に受け入れ、娘と二人で秘密でリッキーを育てていたがロトに当たった賞金でクリスマスの買い物に出たスーパーでリッキーは店の中を飛び回り、「モンスター」としてメディアに追われる日がやってくるのだった。

赤ちゃんは天使か悪魔か。羽が生えた赤ちゃんのニュースを観たパコがカティの元に戻り、お金をもらうために、メディアに公開することに承諾するカティ。

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報道陣の前で紐をつけられたリッキーは羽を広げて大空に飛び立つ。しかし、その紐をうっかり放してしまう母を置いてリッキーは空の彼方に消えて行ってしまうのだった。

家族とは何か、子供とはなにか、親とは、幸せとは・・・、いくつもの疑問を投げかけられるようなラストです。多くは語らない監督のメッセージはこの夫婦に授けられた羽の生えた赤ちゃんは何かの象徴だったのかを考えさせられる結末なのです。

監督はフランソワ・オゾン


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リトル・ランボーズ [映画【やらわ】]

 かなり遅めですが、明けましておめでとうございます。(^.^; 

今年も私なりに慌てず急がず・・・・です。

TS3S00210001.jpg  キキ、遅すぎやで。

昨年末に10日ほどの予定でアメリカ西海岸に行ってきました。友人との個人旅行だったので自由な予定を組めたぶん、要領は悪くて、短時間にサクサクと回るような旅では無かったです。せっかく行くならハリウッドにも行きたいよね?と友人が気を使ってくれまして、アカデミー賞授賞式で有名なコダックシアターの隣のホテルに泊まり、近くを散策しました。が・・・生憎の半端じゃない大雨でびしょぬれのハリウッドでした(涙)。お土産にぱっちもんのオスカー像(税別7・99$)購入。これはちょっと素敵でしょ?

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さて、これまた今頃なんですが去年の年末に劇場で最後に見たのは「リトル・ランボーズ」という映画でした。

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この映画、とにかく主人公の二人の少年が可愛らしいのです。時は1982年イギリス。宗教上の理由でTVや映画などの娯楽を禁じられた家庭に育った11歳のウィル(ビル・ミルナー)。

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そんなウィルは学校で問題児と睨まれているカーター(ウィル・ポールター)に出会います。カーターの家で偶然、カーターが映画館で撮ってきた(よいこは真似しちゃ駄目よ)海賊版の映画『ランボー』を観てしまいます。たちまち映画の面白さとランボーのカッコよさに魅了されるウィル。

それからカーターと共に自分たちを主演にした"ランボーの息子たち”の冒険映画を作り始める事に。(だから題名も「リトル・ランボーズ」なのね。)

カーターの兄さんの家庭用カメラで撮り始める映画は順調に進んでいきます。同時に境遇が違う二人の少年の友情も芽生えていくのですが、映画撮影にも慣れてきたある日、フランスからやってきた交換留学生が二人の友情を引き裂いていくんです。

337480view007.jpg  フランスのイメージ?

なんでカーターが問題児になったのかやウィルの家の事情もきっちり語られ、そして二人の映画が無事に出来あがるのかにもハラハラ。ラストにやってくる感動の結末と二人の友情と家族への愛にちょっぴり涙しました。

監督のガース・ジェイニングス自身が影響をうけたという映画『ランボー』。監督が語りたかったのは自分が少年だった日々・・・“一日一日が長く、太陽は明るく、森は巨大で、学校の廊下はどこまでも続き、フランスからやってきた交換留学生はまるで宇宙人のようだった”そんな想いが充分に語られた映画で共感出来る映画でした。シルベスター・スタローンには監督自身から著作権の許可をもらったそうです。

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カーター役のウィル・ポールターは次回『ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島』に出演するみたいですね。劇場で予告で観た時はびっくり。今から楽しみです。

  ★★★★


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