ブライト・ライツ(アマゾン・プライムビデオでの鑑賞です) [映画【は行】]
スリー・ビルボード [映画【さ行】]
作品賞、脚本賞、主演女優賞、助演男優賞(2人)、作曲賞、編集賞のノミネート作品です。
脚本賞は絶対受賞しそうな今まで観たことがない展開でした。
3枚のビルボード(野外広告看板)が建ったことから始まる物語です。
ミルトレッドの住む狭い町では名指しをされた警察署長(ウディ・ハレルソン)はなかなかの人格者であるようです。
しかも癌を患っていて余命がわずかであることも町中の人が知っているという環境です。
署長を慕っている部下や、病気に同情している住民も多くそんな署長を名指しで攻撃するような看板を建てたミルトレッドは一夜にして町中の嫌われ者になってしまいます。
事情を聴きに来た署長は犯人の手掛かりが全くない事件であったことと実は自分は癌なのだと打ち明けますが、そんなことは町中の人が知っているから関係ない、早く犯人を捕まえろと言い放ちます。
そんな彼女が被害者の母で可哀想な人かと思うと実はそうでもないのです。
ストーリーが進むと彼女と娘の関係も良好じゃなかったこと、あの日の事件を避けることもできたんじゃないかと思えるシーンも出てきます。
憎しみと愛とが渦巻き、どの人が善人で悪人なのかもなく、どんなラストへと向かうのか。
町で起こるたくさんの事件も解決される様子もなく、ラストのディクソンとミルトレッドの会話にもまた、銃規制がなかなか認められないアメリカの「自分は自分で守るしかない」という現実がみえてくる映画でした。
ベネチア国際映画祭では脚本賞を、トロント国際映画祭では観客賞を受賞。
主演のフランシス・マークドーマンドは「ファーゴ」でオスカーに輝いている女優さんですがすごい威圧感です。
グランド・イリュ―ジョンにも出演の署長役のウディ・ハレルソンとその部下役のサム・ロックウェルが二人で助演男優賞にノミネートされていることでもこの映画の面白さが伝わってきますよね、一人なんか選べないってとこでしょう。
ぜひご覧になってください。おすすめです。
勝手にふるえてろ [映画【か行】]
大変評判がいい映画ですよね。
映画館のパンフもこの映画だけは売り切れていました。
内容にやや触れてますのでこれからの方は読まないでね。
芥川賞作家・綿矢りさの同名小説の映画化です。
地味で引っ込み思案の彼女はいままで誰とも付き合ったことがなく、中学生時代から10年間同級生の「一」に脳内で片思い中。それは大事件だった。
それでも同僚のくるみに相談しつつ「二」と付き合おうかなと思い始めているのだが。
しかし、どうしてもどうしても「一」のことが諦めきれない。
自宅アパートでボヤを起こしてしまったのがきっかけで「死ぬ前にもう一度「一」に会いたい!」と他人の名前を借りて中学の同窓会を開催することに。
やっとの思いで10年間妄想でしか会っていなかった「一」とついに再会を果たすのだった。
学生の時の引っ込み思案が大人になったからってなおってるはずはないですものね。
会社を休んで引きこもるけど会社に出した休暇願いが産休届ってアリ?
逆に男子はこんな女は面倒くさいと引いちゃうのかな。
不器用な私の恋も絶滅した方がいいですか?と歌い出すヨシカ。
現実から逃げてばかりの主人公が現実に向き合っていくっていうのでハッピーエンド。
10年の片思いより、今支えてくれる心強い味方を手放すのはもったいないよね。
バーフバリ 王の凱旋 [映画【は行】]
インドでNO.1の興行成績となった大ヒット映画『バーフバリ 伝説誕生』の続編です。
私も観ていなかったけど、前編を5分で振り返るおさらいが流れるので安心ですよ。
(この一番最後に画像張りました)
でもレンタル等で予習していたらさらに楽しめそうですね。
辺境の村で育った青年シヴドゥ(プラバース)は、偶然知り合った者たちに自分と本当の両親の過去を聞かされます。
実はシヴドゥは王子マヘンドラ・バーフバリであり、25年前から今も幽閉されている母がいること。
怒りに燃えた兄バラーラディーバが策略をめぐらし弟も国母も殺していました。
そんなバラーラディーバを倒すため、シヴドゥはバーフバリとなって立ち上がる!
父の敵を討ち王国を取り戻すために。
戦士バーフバリはバラーラディーバに挑んでいくのです…が、それはラスト30分。(笑)
これ本当に人間の話よね?どんだけ力が強いのってくらい超人です。
髪はどこからか吹いてくる風になびかせるのが当たり前です。
でも大阪だと「なんばパークスシネマ」のみの上映でそれも1日1回。
上映館が少なすぎです。
親子3代に渡る壮大なドラマ、お近くで上映してたら是非観てね。
IT/イット “それ”が見えたら、終わり。 [映画【あ行】]
「スタンド・バイ・ミー」っぽいって聞いたんですけど、まさにその通り。
期待以上でした。
その頃、図書館からキングの原作を借りたら枕にするには高すぎるほど超ぶ厚い本でびっくりしました。
なにも一冊にまとめなくても分けたらいいのにって。
今回の映画は分けられていて子供の頃の部分だけです。
下水の下から覗くピエロの顔…。
ポスターの後ろ姿にもなってる幼いジョージはこの後ピエロに連れ去られ消えてしまします。
大人がほとんど出てこなくて(むしろ出てくる大人は子供の敵)子供たちは自分たちだけで問題を解決しないといけません。
こいつは地縛霊なんですかね。
その頃の「怖い」感覚が蘇るような恐怖がずっと味わえました。
ヒロインの少女がとても可愛い。
太っちょのベンの恋が切ない。
元々、少年時代と大人になってからので一つのお話。
次は27年後の大人になったビルたちとの戦いとなるんですが、少年少女の戦いがあまりに面白かったので続編もみたいです。
婚約者の友人 [映画【か行】]
私はオゾン監督の映画は赤ちゃんの背中に天使の様な羽が生える「リッキー」(09)以来です。
嘘もたくさん出てきます。
映画を観ている間は無意識に「次はこうなるんだろう」とか「本当は死んでいないんじゃないのか」なんて思いながら観てますよね。
ハリウッド映画だと大きくは違わないか又は違っても納得できるものも多いんですけどフランス映画は思いもつかない方向に突っ走ります。
この映画では「え?」「そうくるの?」と何回思ってしまったことでしょう。
ただ冷えついた心が温かくなった時だけ(ほんの少しの間だけですが)カラーに変わるんです。
身寄りがないアンナ(パウラ・ベーア)は兵役が終わって戻ってきたら結婚するはずだった婚約者のフランツ(アントン・フォン・ルケ)の家族と暮らしながら、フランツのお墓に行くことが日課でした。
近所の男性に求婚されてもフランツの事が忘れられないアンナは拒否を続けています。
ある日アンナはフランツの墓の前に佇み泣いているフランス人の男・アドリアン(ピエール・ニネ)を見かけます。
戦争前にフランスに留学していた時のフランツの友人だと思ったアンナ。
フランツが愛したフランス語で文通していたハンナはフランス語も流暢です。
やがてアドリアンにルーヴル美術館でのフランツが好きだった絵のこと、フランツに教えてたバイオリンの話などの思い出話を遠慮気味に話す彼に好意を抱きはじめます。
ドイツでは敵国だったフランス人への憎しみが満ちていました。
フランツの両親も大事な息子を殺した敵国フランス人のアドリアンとは会いたくないと言いますが徐々に打ち解けはじめ、夕食に何度も誘っては息子の残したバイオリンを弾いて欲しいと頼みます。
しかしフランツのバイオリンを弾きながら倒れてしまうアドリアン・・・どんどん情緒が不安定になっていきます。
実は彼には打ち明けるつもりでも打ち明けられない秘密があったのです。
ドイツに来たのもその為だったのですが、その秘密を一人打ち明けられたアンナの驚きは入水自殺を試みるほどでした。
逃げ帰るようにフランスに帰るフランツを探すために今度はアンナがフランスに向かいます。
「あなたが好きだ」と告げるために。でも彼の消息はなかなかつかめませんでした。
アンナはフランスに行くと、アドリアンがドイツで受けたと同じ人種迫害をうけます。
むしろフランス人の方の痛みが強いようにも描かれています。
「そんなひどい」「そんなこと言うか?」って仕打ちの連続でピエール・ニネが美しい顔で繰り出す天然のパンチをボコボコに食らってしまった気分。
いい男ってなに言ってもいいと思ってんやろか。
女は嘘をつき続けるしかないのでしょうか。
哀しいエンディング、でも現実的な終わり方っていうべきかもね。
シネマ歌舞伎 ヤマトタケル [映画【さ行】]
今年度も頑張って観ています。
「阿弖流為」は昨年2回観たのと「喜撰/棒しばり」は時間が無くてダメでしたが、「連獅子/らくだ」「東海道中膝栗毛(やじきた)」「四谷怪談」ときて今回は「スーパー歌舞伎ヤマトタケル」を観ることが出来ました。
三代目の甥である四代目市川猿之助が挑んだ2012年の公演の映像化です。
正直に言えばいいものを、父帝には兄への名誉のため本当のことを告げずに自分が兄を殺してバラバラにして捨てたとだけを話すのです。
「どうしても父は私に死ねというのか…」と嘆きつつも、叔母である伊勢の斎宮・倭比売命(やまとひめのみこと)のいる伊勢へ立ち寄って、草薙剣という宝刀と困ったときに使いなさいと布袋にいれられた何かをもらうのです。
優しい青年のそんな悲痛な想いが後半は特に叫びとなってもう本当に切なくて切なくて。
ラストの白い鳥はいうに及ばず、東国での火攻めにあった時の火の粉の舞いのアクロバティックな演出。
なによりも猿之助の悲痛な演技がもう見事過ぎです。
映像で観ていてもどうなって入れ替わっているのかがわからないほどのあざやかさ、前半の見せ場です。
10時から始まって2/3で12時半。あまりに面白くて時間が経つのを忘れてしまっていたけどこれはやはり歌舞伎同様弁当持参でこないとダメかしらと友人と笑っちゃいました。4時間ですものね。
ラストの総出者が並んだ挨拶では三代目猿之助改め二代目市川猿翁が真ん中に立ち、中車、4代目猿之助と手をつなぐ場面では過去にいろんなことがあった父と子・甥と叔父・従兄弟である三人の人生に鳴りやまぬ観客からの拍手。
親子の関係を問うこの舞台は最後の最後まで感動的でした。
僕のワンダフル・ライフ [映画【は行】]
車にとじ込められて死にそうになったゴールデンレトリバーの子犬は、8歳の少年イーサン(ブライス・ゲイサー)に助けられ、「ベイリー」と名付けられます。
イーサン(K・J・アパ)は高校生になると、アメフト部で大活躍。
ハンナ(ブリット・ロバートソン)というガールフレンドも出来て名門大学への進学も決まり絶好調。
イーサンを妬んだクラスメートが火事を起こすんです。
アメフトが出来ない体となって心身ともに深く傷ついたイーサンは大学も諦め、慰めるハンナとも別れてしまい、そして犬のベイリーも寿命が尽きてしまいます。
飼い主は孤独な警察官カルロス(ジョン・オーティス)。
警察犬の仕事を全うし、殉職したエリー。
飼い主は人見知りな女の子のハナ(カービー・ハウエル=バブティスト)。
ハナの恋のキューピットも果たして、次はミックス犬の「バディ」に生まれ変わるベイリー。
これはイ―サンの匂い。
走って走って懐かしいイーサン(デニス・クエイド)の家にたどり着くバディ。
やっと会えたイーサンなんですけど、イーサンはバディを見てもベイリーだとは気づかず、保健所に連れていっちゃうんです。
ずーっと犬の目線でお話が進むのでベイリーの心の声が聞こえています。
字幕版は「アナと雪の女王」のオラフ役のジョシュ・ギャッドが担当してます。
でも残念なことにすぐに次の犬に転生しちゃうからその涙をどうしたもんだか。
あのシーンはもっと長くしてもいいんじゃなかったかな。
ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦 [映画【は行】]
ヒトラーの後継者とも呼ばれたナチスの高官ラインハルト・ハイドリヒは別名「金髪の野獣」とあだ名される残忍な男でナチスではナンバー3の実力者。
ヨゼフたちはプラハの反ナチス組織や協力してくれる一般の家族に接触しますが、そんな計画は失敗しても成功してもプラハの市民の大虐殺につながると反ナチス組織も賛成しません。
前半はヨゼフら暗殺側の作戦の実行までの葛藤とほのかな恋、そしてついに実行される暗殺の様子です。
後半はハインリヒを失ったことに激怒したヒトラーがまったく関係ない人々や村ごと消滅させる報復に出た事。
結果1万3千人の人々が殺されることになります。
それでも実行の犯人は見つからないままだったのですが、宝生金目当での仲間の密告で追い詰められていくこととなるヨゼフたち。
主演は「ダンゲルク」にも謎の英国人役(船に助けられてある人を殺しちゃう彼ね)のキリアン・マーフィー。
牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 [映画【か行】]
1991年の台湾映画です。(公開は92年)
上演時間が188分版と236分版が存在するらしく、今回25年ぶりにデジタルリマスター版として公開されたのは236分版。
2007年に亡くなったエドワード・ヤン監督の生誕70周年・没後10年となる今年にあわせての公開。
台湾で実際に起こった未成年の少年による殺人事件がモチーフとなった映画です。
約4時間(!)で途中休憩もないのでとにかく長い映画。
必ずトイレに行ってから観てね。
それから登場人物が多いのと、呼び名が複雑で例えば小公園とか217ってなに?って迷う部分も多いので予備知識があったほうがお話に入れると思います。
1960年。台北。
主人公・小四(シャオス―)は外省人の両親と英語の堪能な長姉、クリスチャンの次姉、兄と妹の兄弟たちと暮らす次男で建国中学夜間部に通う中学生。外省人とは大陸から台湾に渡った移民のこと。
小四は最初は真面目な学生だったが段々と問題を起こしていく。
世の中は不公平でうまくいかないものとなっていくのだ。
不良少年グループの「小公園」のメンバー、王茂(小猫王)や飛機(フェイジー)が友達。
ある日、小明(シャオミン)という女の子と知り合い好意を持つ。
でも、彼女は小公園の伝説のリーダー・ハニ―の恋人。
その小公園と敵対するのは「217」というグループ。
小明は217の村出身なのに小公園のリーダーと付き合っていることでもめていた。
小四が彼女と知り合った時はハニーは行方不明中。
そんなハニーが突然街に帰ってくる。なんと、セーラー服姿。
ハニーは小明と小四が好き合ってることを見抜いて、でも小四を傍らに呼んでする話は小説「戦争と平和」のこと。
その後、ハニーは217に殺されてしまい、ハニーの替わりに小明を守って生きていくと誓う小四。
でも、小明はそんなことを求めてはいない。
小明が小四の親友小馬(シャオマー)と付き合っていることを聞いてしまった小四は懐に小刀を隠し持ち街に出る。
やがて一途な少年の愛は取り返しのつかない切ない行動に走ってしまうのだった。
当時の不良少年たちはエルビス・プレスリーに夢中。
少年らしい高い声で英語の歌をうたい、レコードを聞いて、オープンリールで録音したりと懐かしの風景。
小四の住む家も日本家屋。
ヒロインの少女はとにかくモテる。
どうみても普通の女の子なんだけど伝説のリーダーもお医者さんも小四もみんな小明に好意を抱くのね。
魔性の女というより、勝手にみんなが惚れちゃうみたい。
あの日彼と会わなければ、と思うラスト。
教育熱心の両親に育てられた小四、夜間中学で知り合うのは不良グループや金持ちの転校生。
話題は多岐に渡り、その時代や民族の背景がわからないのもあるので難解な部分も多く、一回観たところで全部をわかるのは無理かなと思いました。
もやもやしたわからない部分をどうにか知りたくなってくる、そんな映画です。
これはまた4時間観るしかないかな~。