ダーウィンの悪夢 [映画【た行】]
この映画はアフリカのタンザニア、ヴィクトリア湖周辺を4年間撮影したドキュメンタリー。 インタビュー形式で進んでいく。
多様な生物が住むために“ダーウィンの箱庭”と呼ばれ、淡水湖では世界第2の大きさを誇る湖であったヴィクトリア湖。 しかし今は半世紀前から湖に放流された外来魚、グロテスクな「ナイルパーチ」があらゆる在来魚を食いつくして生態系を破壊してしまっている。
しかしこの魚が白身魚としてヨーロッパや日本に加工され輸出されることで新しい経済を生み出しているのも事実なのである。村を捨て湖の周りには猟師が集まり、輸出や加工で裕福になる人がいる反面、増えていく貧困、売春、暴力、、麻薬、ストリートチルドレンたち。 親は子供達を捨て、エイズで死んでいく。食べ物も無い救いようのない現地の悲惨な人々の生活実態が映し出される。エイズを予防する術も教えられない。薬もない。麻薬は小さな子供達も現実を忘れるために日常的に使われるている。
ではこの魚が悪なのか?この魚がいなければこの貧困は起こらなかったのか? これから私達はスーパーに並ぶ白身魚を魚を買わないようにすれば、ファミレスに並ぶ白身魚のフライを食べなければアフリカの人々が救われるのだろうか?(実際そういうボイコット運動が起こり、それがタンザニアという国のボイコット運動にもなってしまいまったそうです。)
そして現地の人は高くて買えないその魚を輸入する遠い裕福な国の私達が、物資を送ったり募金をしたら救われるのであろうか。送ったとしても物資は困っている人々には届いていないし、彼らが本当に必要なのものは教育であろうと思われる。 ここに映し出されるのは一部の事実でタンザニアの全ての人がそうなのではない。 白身魚の生まれた湖周辺の、今日も起こっているであろう普通の日々を少しだけ垣間見ただけである。
余談だがナイルバーチを1954年に放流したのは英国植民地時代のイギリス人の水産技官であったこと、それは湖に生息する淡水魚の乱獲によって漁獲量が激減したための窮地の策だったということ、今もアフリカに武器を輸出する国もイギリスであるらしいこと。 そして湖の名前もイギリスの女王の名前である「ヴィクトリア」である。
去年観た「ナイロビの蜂」での、あのアフリカの貧困の悲惨さが少し理解できたような気がしたので[★★★☆]です。
監督;フーベルト・ザウパー
こんばんは~。
今の近代的な国際社会において、「侵略」とか「植民地」なんて野蛮な言葉、欧米の先進民主国が嫌悪しそうな言葉ですが、ちょっと前まではアフリカで植民地をたくさん持ってたのはヨーロッパなんですよね。日本もかつてはそうでしたが…。そんなことをふと思いました。
by しまうま (2007-01-14 00:49)
こんにちは。やっと観てきました。
いつもniceとコメントありがとうございます。
スーパーに並ぶ魚達の漁獲国や加工日付をみて買うことは出来ても全ての過去?を知ることなんて出来ませんよね。
ですが、こういう事実を知るということは大切だと思います。
このドキュメンタリーは、アフリカの人々の飢餓の現状を考える“きっかけ”だと私も思いながら観ました。
by キキ (2007-01-14 11:54)
おじゃまします。この映画、絶対観たいと思っているんです。
早く行かないと終わってしまうかな・・・。
それから私も去年「ナイロビの蜂」を観ています。
ふだん、日本で生活しているとアフリカはいろいろな意味で「遠い」ですものね。知らないことが多いです。
by エッコ・ミ (2007-01-15 22:13)
こんばんは。エッコ・ミさん。
niceとコメントありがとうございます。
この映画、インタビュー形式のドキュメンタリーなのでわかり難く、証拠もない部分も多く 好き嫌いは分かれるみたいです。
でもいろんな何故?が沸いてくる映画でした。
by キキ (2007-01-15 22:24)