SSブログ

「道」  ~ La Strada  (1954) [映画【ま行】]

男子フィギュアスケートで高橋大輔選手の銅メダル、素敵でしたね。

日本中がテレビの前に釘付けになった頃、私は仕事でライブでは観れなかったんですが、丁度お昼休みの社員食堂で小塚選手のフリー演技だけは観ることが出来ました。ラッキー。

     20100219-00000120-jij_vanp-spo-view-000.jpg

帰ってから録画で皆さんの演技はきっちり観たんですけど、高橋選手がフリーで選んだ曲は『道』という映画の曲でした。
私はこの映画が数ある映画の中でも一番好きなんです。
で、またうちにあるDVDを見なおしてしまいました。
つい最近、NHKのBS2でも放送してましたからご覧になった方もいるかもですね。

4_8529.jpg

物悲しいニーノ・ロータ作曲のテーマ曲にのって演じられた高橋選手の演技。
~すべての“道”はバンクーバーに通じていた~とは実況のアナウンサーの言葉です。

高橋大輔ファンなら「じゃあ 『道』ってどんな映画なんだろ?」 なんて興味を持った方もいるはず。
ちょっとでも思ったら映画の方もご覧になってくださいね。
1954年の作品(なんと56年前!)で白黒なんですが素晴らしい作品です。
何度見なおしても後半から涙がこぼれてしまいます。
下にストーリーを全部書きますが、筋書きが解っていても泣けます。(絶対)

高橋選手の衣装はこの映画のイメージでピエロの扮装に見えました。

≪あらすじ≫

ある日イタリアの貧しい海辺の町に住むジェルソミーナ(ジュリエッタ・マシーナ)の元に一人の男がやってくる。
オートバイで旅まわりをする大道芸人のザンパノ(アンソニー・クイン)だ。

彼は貧しいジェルソミーナの母から1万リラで彼女を買う。
ちょっと頭が足りないが心の優しいジェルソミーナはザンパノの助手として、また道化師として旅周りを続けることになる。

  100221_1417~01.jpg 100221_1416~01.jpg

ザンパノの芸は胸の力で鉄の鎖を切ること。
ジェルソミーナは芸人の仕事は好きだが野蛮で女好きのザンパノが嫌で嫌でたまらない。
ついにある日、彼のもとを逃げ出してしまう。

逃げ出していた間、ジェルソミーナは天使の姿で高い空を一人で綱渡りをする青年の芸を観る。
その後、ザンパノに見つかり連れ戻されてしまうのだが、その時の綱渡りの青年(R・ベイスハート)とはローマのサーカス団に参加した時に再会する。

ザンパノを本能的に気にいらない綱渡りの青年は何かとザンパノをからかい彼の怒りをかう。
二人は以前からお互いを目の敵にしているようだった。

  100221_1516~01.jpg 100221_1514~01.jpg

しかし、ジェルソミーナは彼が奏でる美しいバイオリンの曲にひきつけられる。
彼もジェルソミーナには優しく、やがて親しくなる二人を見て激怒するザンパノ。
ナイフを出して青年を追い回す事件を起こし、二人の男は警察に連行され、逮捕者が出る騒ぎでサーカス団は解散することとなる。

ザンパノより拘置所から1日早く戻ってきた青年と一晩話し込むジェルソミーナ。

青年は「自分なんか何の役にも立たない」と話す彼女に「どんな物でも何かの役に立っている、例えば石ころでさえも。用のものなんかないんだ。そしてそれは神様だけが知っている。」と諭す。

彼は「僕と一緒に来ないか?」と誘うが、迷うジェルソミーナに「ザンパノは君を必要としているね、一緒にいてあげてくれ。」と語って二人は別れる。

その次の日の朝、拘置所を出たザンパノとまた旅に出るジェルソミーナ。
でも今までの嫌でたまらなかった気持ちとは違う。 ”私が彼についてあげてるのよ”と。

しかし、そんなジェルソミーナの優しい心もサンパノには通じない。
嵐の夜に泊めてくれた修道院で銀の十字架を盗もうとするザンパノに心を痛める。

そして、運悪く壊れた車を修理中の綱渡りの青年とまた出会ってしまう。
「あの時のお返しだ!」と青年を殴るザンパノは、勢いで青年を殺してしまう。

     100221_1533~01.jpg

そこは田舎道・・・誰も見ている者はいない。
ザンパノは青年の死体と車を川に投げ込み、その場を逃げ去ってしまう。
しかし、青年の死を見てしまったショックでジェルソミーナは心の平静を失い、毎日泣き暮らし、やがて体も精神も弱ってしまう。

それからは仕事にもならず困りはてるザンパノ。
しかし、青年を殺した事に後悔は無い。

「また二人で面白可笑しく旅を続けよう」というザンパノの言葉に再び様子がおかしくなるジェルソミーナ。
ザンパノはいつになく優しい言葉で実家に帰らせようとするのだが「一緒にいてあげる。彼がそうしろって言ったの。」と言う事をきいてはくれない。
そのうち外に眠りこむ彼女を見て、雪の残る山に置き去りにして逃げ去ってしまうのだった。

数年後、年老いたザンパノはまだ大道芸人を続けていた。
あの頃と同じ衣装で同じ鎖を切る芸を街で披露するザンパノはある海辺の街で、懐かしいメロディを耳にする。
それは綱渡りの青年がよくバイオリンで弾いていた物悲しい曲・・・それを聞いたジェルソミーナが好んでラッパで吹き鳴らしていた「あの曲」だった。

洗濯物を干しながら曲を口ずさむ若い娘にジェルソミーナの消息を尋ねるザンパノ。
しかし、ザンパノの淡い願いもむなしくジェルソミーナは数年前に病死していた。
この海辺の街で保護された彼女は誰にも自分の名前も告げず、言葉も話さず死んだのだという。
ただ、この曲を気分のいい日にラッパで吹くだけだった。

その夜、酒場で酔ったザンパノは、海岸で泣き続けた。
気楽に生き続けた粗野な男がはじめて知る喪失感と孤独の想いにいつまでも泣きつづけるのであった。

 

監督;フェデリコ・フェリーニ  元案・脚本;トゥリオ・ピネリ、フェデリコ・フェリーニ

ジェルソミーナ役のジュリエッタ・マシーナはフェリーニ監督の奥さん。

ザンパノ(イタリア語のZampa、悪の意。悪漢の象徴)

ジェルソミーナ(Gelsomina、イタリア語でジャスミンの意。花の名前、純粋さの象徴)

綱渡りの青年(The Fool、フランス語ではイル・マット=狂人の意味)

ヴェニス国際映画祭銀獅子賞(1954)・米アカデミー最優秀外国語賞(1956)受賞作品。

 


nice!(2)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 2

コメント 4

クローヴ

キキさんが一番好きな映画なんですね。
高橋選手のフリー演技を見ていて、すごく印象に残る曲…と
思いました。
衣装も映画の中からヒントを得ていたんですね。
とても似合っていました。
映画『道』、今度ぜひ観てみたいと思います(^^)
by クローヴ (2010-02-22 21:23) 

キキ

クローヴさん、こんにちは。
niceとコメントありがとうございます。
そうなんです、一番好きな映画なんです。
何度も同じ映画は見ないタイプなんですが
この映画は別格なんです。(^.^;)
古い映画で白黒だし
時代が今の価値観とは違うかもですが
いつか一度観てくださいね~。

by キキ (2010-02-24 01:46) 

しまうま

 こんにちは~。

 なるほど…。キキさんが紹介してくれたストーリーをなぞりながら高橋選手の演技を思い出すと、いかに練られた素晴らしい演技だったかが分かります。そういえば、演技の中で「綱渡り」のような動作もありましたね。

 フェリーニ監督って、凄く難解な映画を撮る人ってイメージがありましたけど、この作品は普通の映画ファンでも楽しめそうですね。高橋選手の銅メダルで、この作品を手に取ってみる人が増えそうですね。
by しまうま (2010-02-24 10:46) 

キキ

しまうまさん、こんにちは。
niceとコメントありがとうございます。
高橋選手のプログラムの演技や衣装はとってもこの曲のイメージに合っているなって思いました。

フェリーニ監督作品はものによると難解ですよね。
「8 2/1」は最後まで行きつかず宿題になってます。^.^;
でもこの作品は大丈夫ですよ。ハンカチ無しでは観れません。

ところでしまうまさん、東京に行っても沢山映画観てくださいね。


by キキ (2010-02-24 21:15) 

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。