桜田門外ノ変 [映画【さ行】]
観たかった映画の待ち時間があったので観てみました。時代劇は黒澤映画では観るんですが、それ以外は殆ど観ていない気がします。邦画が苦手だからかも。今年は時代劇ブームなんですね、「雷桜」「十三人の刺客」「大奥」と時代劇が並んで上映されています。
ご存知、桜田門外の変は幕末の安政7年3月3日、江戸城桜田門外で大老・井伊直弼が水戸藩浪士に襲撃され暗殺された事件です。丁度今年が150年目にあたるので映画化されたのかと思います。観客の年齢、高し。
教科書通りに「黒船」「日米修好通商条約」「安政の大獄」と一緒に覚えてはいるけど、なんでテロリストが御三家の水戸藩の浪士だったのか・・・、その後の水戸藩浪士の運命は・・・なんて考えてもみませんでした。大事件であったにもかかわらずこの辺りが漠然としてるのは水戸藩浪士達の中に坂本龍馬や新撰組みたいなスターがいなかったからかも知れません。
史実に忠実に描かれています。思いっきり前半にクライマックスの井伊直弼暗殺が実行されてしまうので、後半は逃げる水戸藩浪人たちと実行部隊の指揮官だった関鉄之介(大沢たかお)のその後が中心になっていき、日本史が好きじゃないと苦しいかもね。
水戸藩の下級武士、関鉄之介(大沢たかお)は妻・ふさ(長谷川京子)と、長男の誠一郎(加藤清史郎)と共に穏やかな暮らしを送っていた。何故そんな彼がテロリストの指揮官になっていったのか。奥さんのふさは農家の出らしいけど、畑でクワを持つ長谷川京子の姿はあまりのへっぴり腰で残念。
ここで簡単に<歴史のおさらい>を。
当時、病弱だった13代将軍・徳川家定。男子を儲ける見込みが無い事で将軍継嗣問題が浮上。
水戸藩主の徳川斉昭(北大路欣也)の子;慶喜を推す斉昭や阿部正弘と薩摩藩主・島津斉彬ら『一橋派』と、紀州藩主;徳川慶福を推す彦根藩主で大老の井伊直弼や大奥本寿院を初めとする『南紀派』が対立。
『一橋派』は阿部正弘、島津斉彬が相次いで亡くなると勢いを失い、結局14代将軍は安政6年『南紀派』井伊直弼が推す徳川慶福(改名し家茂)と決まる。
そして同年、井伊直弼は勅許を得ずに“日米修好通商条約”に調印。慶喜は斉昭、福井藩主・松平慶永らと共に登城し直弼を詰問するが、翌・安政6年に井伊直弼により隠居謹慎処分となる。
幕政是正のためには「井伊直弼の排除が必要不可欠!」とする水戸浪士たちは、関東における挙義を単独でも実行する方針を決意、薩摩との合流のため、高橋多一郎(生瀬勝久)金子孫二郎(柄本明)らは京へ上り、関東では関鉄之助率いる実行部隊17人が井伊直弼を襲撃をするために江戸へと分かれ、薩摩藩からは有村次衛門(坂東巳之助)が参加する。
季節には不似合いな雪の3月3日、桜田門外での暗殺シーンは白い雪の上に血しぶきが舞い、井伊大老(伊武雅刀)の首が飛ぶ。ここのシーンは見ごたえあり。でも映画はまだ前半・・・・。
井伊に反発していた薩摩藩主・島津斉彬は、藩兵5000人を率いて上洛することを約束していたが、同年7月に鹿児島で急死した為出兵は頓挫。薩摩藩は動かない。
薩摩に裏切られた水戸藩浪士はテロリストとなり、逃げる場所も無く、一人、また一人と死んでいく。幕府から藩の関与を疑われない為に、水戸藩からの厳しい捜索は続き各地に潜伏していた関鉄之介らの浪人たちは残らず捕えられ、同僚たちに斬首される運命となる。
井伊直弼、享年46歳没(満44歳)ということで61歳の伊武雅刀さんより、42歳の大沢たかおの方が近い年齢。(関は39歳没=襲撃時は37歳)
歴史は動いたけど、動かした水戸藩浪士は生き残る事が出来なかった、無念だったと思います。日本をどうにかしなければと考えたのは井伊にしても水戸藩浪人たちも同じでそれぞれの考えが違っていただけ。浪人全員が斬首というラストに、どうやって終わるのかと思ったら明治に桜田門外に来ることとなる西郷隆盛の一言と、現在の国会議事堂が映し出されました。
逃げる事が出来なくなった浪人たちが次々に自刀していくシーンを観ていると、日本人でなければわからない死に対する美学を見た思いです。
歴史の勉強になりました。 ★★★☆☆
監督;佐藤純彌 『男たちの大和/YAMATO』
原作;吉村昭
余談ですが井伊直弼はゆるきゃらで有名な「ひこにゃん」の彦根藩の15代藩主だったんですね~。
学生終了何年経ったのか、忘れてますね~
井伊さんが、ひこにゃん見てどんな感想をもつのか、聞いてみたいもんだ。
by みなみー (2010-10-24 19:45)
ジャニスカさん、はじめまして。
niceありがとうございます。
by キキ (2010-10-25 07:48)
みなみーさん、こんにちは。
TVドラマの「大奥」シリーズを真剣に見てたらわかるのかな~、
なんて復習しながら思いました。
その裏側ですものね。
歴史の勉強になりました。
by キキ (2010-10-25 07:52)
こんにちは。だいぶサボってましたが、また書き始めました。
以前東京へ行ったとき、「桜田門」を友人たちと見に行きました。
なるほど、ここで桜田門外の変が起こったんだと思って見学ました。
そのときはちょうど選挙の真っ最中で、偶然民主党の管さんと鳩山さんの
乗った選挙カーが通り過ぎ、二人に手を振ったのを覚えています。このときは、まだ自民党政権だったので、歴史は変わるんですね~。
ところで「長谷川京子の姿はあまりのへっぴり腰」というは、情けないですね。女優なんだから、そういう細かい演技をこなしていかなくちゃいけませんよね。監督も何も言わないのかしら。びっくりです。
by coco030705 (2010-10-30 11:50)
cocoさん、こんにちは。
桜田門って歴史の香りがしますよね。
長谷川京子さん、今までクワなんか持ったこと無かったと思います。(笑)
息子役の子供店・長加藤清史郎くんと一緒に畑を耕してましたけど
農家出身と何度も言って無かったら
気にもならなかったと思います。
この映画、いい役者さんを沢山使ってましたけど、
印象に残る人が少なく、ちょっともったいない気がしました。
by キキ (2010-10-30 14:42)
徳川斉昭には結構興味があったのと、千波湖畔に大掛かりなオープンロケセットを作って撮影したと聞いたので、観てみたいと思っていました。
島津斉彬が急死したのが、運命のいたずらか。。。
水戸藩にとっても彦根藩にとっても、悲しい事件の顛末ですね。
お家断絶にならなかったのが救いですが…。
by クローヴ (2010-11-09 21:27)
クローヴさん、なかなかの歴女ですね。^.^
島津斉彬が急死したのは毒殺説もあるらしいんですが
ここで確実に歴史は変わったんでしょうね。
徳川斉昭の北大路欣也さん、渋かったです。
by キキ (2010-11-09 22:15)
こんにちは。
> 史実に忠実に描かれています
本当に勉強になる作品でしたね。
途中、中学生気分になりました(^^ゞ
(学校の教材を見ているような気分!?)
でも、この歴史を知ることが出来て良かったです☆
by non_0101 (2010-11-11 12:51)
non_0101さん、こんにちは。
最初に襲撃シーンがあるので
この後どうなるかと思いましたよね。^.^
事件の詳細がわかる映画でした。
井伊大老の首一つに何人の命が必要だったんだ、という
台詞が印象的でした。
by キキ (2010-11-13 00:23)