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サラの鍵 [映画【さ行】]

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ナチス占領下のパリで行われたユダヤ人迫害、ヴェルディヴ事件を題材にしたフランス映画です。

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ナチス占領下の1942年、フランス・パリ。
フランス県警があるユダヤ人家族のアパートに押し入る。
母と警察との異様な会話を耳にしたサラ(メリュジーヌ・マヤンス)はとっさに秘密の小部屋に弟を隠し、鍵をかける。
出る事ができない小さな部屋に幼い弟だけを残しそのままヴェルディブ(冬季競輪場)に収容されてしまった一家、驚いた事にそこには沢山のユダヤ人が収容されていた。

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まさか連行後収容所送りになりそのまま部屋に帰れなくなるとは思っていなかったサラ。
「弟を助けて、このままだと死んでしまう。」と頼むサラの願いは誰にも聞き入れられず、両親にもお前のせいだと罵られる。
この小部屋の小さな鍵がその後のサラの人生を変えていく。

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独・ナチスによるユダヤ人迫害は有名ですが、フランスでもフランス県警が行ったユダヤ人迫害があり、その時の様子を60年後の2009年、アメリカ人ジャーナリストのジュリアが解き明かしていくというお話でした。

過去と現在が交互に映し出され、ジュリアの視線でサラのその後が段々わかっていきます。

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ジュリア(クリスティン・スコット・トーマス)はパリでフランス人の夫と娘と幸せに暮らしています。
祖父母が所有するアパートを譲り受けることとなり大喜びの夫。
ジュリアのお腹には新しい命も芽生えていました。
ところがそのアパートに祖父母が住み始めた時期と、自分が調べていたヴェルディヴ事件の時期が一致する事に疑問を持ち始めます。
やがて義父の話によってそのアパートは罪もないユダヤ人家族が収容所に送られたあとに住む事になったものである事を確信します。

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過去と現在が少しづつつながっていきます。
夫に「そんなことを今更調べてどうなる」と責められてもジュリアは真実を追い続けます。

サラは弟を助けたい一心で収容所から友人と共に逃げ出します。
偶然助けてくれた老夫婦と共に弟が待つパリのアパートに戻って鍵を開きますが、弟を助けるにはあまりにも時間は経ちすぎていました。
収容所を一緒に逃げた友人も病に倒れ亡くなり、ヴェルディブで別の収容所に送られた両親とも生涯あうことは出来ませんでした。

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わかりやすくドキドキする見事なストーリー展開で引き込まれていきました。
ユダヤ人迫害の悲惨な事実だけを追うだけではなく、サラを助けた老夫婦のその後、
弟を死なせてしまったトラウマに押しつぶされるサラの生涯とサラの夫と息子の今、
サラのアパートに住んでいた夫の祖父母と義父の気持ち。

夫が言うように「今それを知っても何の徳もない」過去。
あの時代に生きていたら自分はどんな選択をしたのかなんて誰も答えられないそんな時代。
しかし人々はそれぞれ残酷な過去と戦いながら今を生きているという真実を知るジュリア。

真実の代償にジュリアの実生活は壊れて心に深い傷を負ってしまいます。
しかし彼女とサラが時の壁を越えて確実に関わっていき、助からなかったかもしれない命を助け繋いでいく、じんわり暖かい涙に包まれるラストに安心しました。   

       ★★★★☆ 

シネ・リーブル梅田にて上映中。
小さい劇場ですが午前中は立ち見になっていました。

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監督はジル・パケ=ブランネール。原作は世界中で300万部を売り上げたタチアナ・ド・ロネ。

サラを演じた少女、メリュジーヌ・マヤンスの演技がうまいです。
去年公開のフランソワ・オゾン監督「Ricky リッキー」という作品でもその魅力を感じました。

ジュリアを演じるのは『イングリッシュ・ペイシェント』でアカデミー主演賞にノミネートされたクリスティン・スコット・トーマス。実生活でも夫はフランス人医師とのこと。


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コメント 8

クローヴ

予告編観ましたが、ユダヤ人迫害が背景にあるということで
観る勇気がありませんでした。
でもキキさんの記事を読んで、観ようかな…と。
クリスティン・スコット・トーマスも見たいので。
by クローヴ (2012-01-31 13:04) 

キキ

クローヴさんこんにちは。
残酷なシーンは殆ど出ません。
大切な弟を自分が最善の処置だと思った行為で死なせてしまう少女の人生を追っていくジャーナリスト女性の話…です。
交互に現在と過去が語られていきますがそれがいい感じに進むのでラストにはジュリアと共に涙出来ると思います。
機会があれば是非観てきて下さいね。

by キキ (2012-02-04 08:10) 

non_0101

こんばんは。
サラの運命には衝撃を受けてしまったのですけど、
この映画で初めてパリでこういう事件があったことを知りました。
ラストのジュリアの姿に希望を感じられて本当にほっとしました。
この映画は本当に観て良かったです☆
by non_0101 (2012-02-06 20:36) 

キキ

non_0101さん、こんにちは。
フランスでもこの事件の事は長い間隠されていたらしいですね。
映画を通じて知る世界史が多い私です。
サラを演じたメリュジーヌ・マヤンスちゃんが魅力的でした。



by キキ (2012-02-06 22:27) 

月夜のうずのしゅげ

11日にこの映画を見ました。
見に行った後、偶然キキさんのブログで紹介があったことを知り、内容の深さに感嘆しました。
by 月夜のうずのしゅげ (2012-02-11 23:17) 

キキ

月夜のうずのしゅげさん、こんにちは。
大阪で公開して直ぐに観たんですが、立ち見も出来る映画館の為、チケット売り場の方と話したら午前中の上映では立ち見でみた方も多かった模様です。
フランス映画は公開される映画館が少ないですね。
重い内容でしたが暖かいラストに涙でした。
by キキ (2012-02-12 10:50) 

キキ

ゆきママさん、こんにちは。
niceありがとうございました。



by キキ (2012-02-19 00:49) 

キキ

alba0101さん、niceありがとうございます。


by キキ (2012-03-14 19:30) 

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