SSブログ

フライト [映画【は行】]

916-1.jpg

今回の第85回アカデミー賞では主演男優賞と脚本賞でノミネート。
残念ながら3度目の男優賞受賞は逃しましたが観てきました。

343694view002.jpg

監督はロバート・ゼメキス監督。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『フォレスト・ガンプ/一期一会』の監督と言えば誰でも「ああ」と思うはず。
最近はアニメーションの仕事ばかりだったので実写は12年ぶり。
その12年前の作品はなんだったかというと『キャスト・アウェイ』。
今回アカデミー賞監督賞を受賞したアン・リー監督が受賞前に今回の映画『ライフ・オブ・パイ』の事を聞かれた時“3Dにしたのは僕の映画にはトム・ハンクスは出てこないから・・・”とジョークを交えて語っていました。
その映画は『キャスト・アウェイ』のことです。
この映画は飛行機事故で無人島に流された男のお話で名優トムには相棒のトラはいなかったのでバレーボールに顔を書いてウィルソンと名前を付けてました(ウィルソンはまんまメーカー名)。
私は当時試写会でみたんですけどそのバレーボールとの別れの場面ではどっと笑いが起こったのを記憶しています。
虫歯になって歯を自分で抜いたりと確かに一人で凄い演技でした。

343694view006.jpg

さて、映画のストーリーはシンプルです。
ウィップ・ウィトカー(デンゼル・ワシントン)は天才的な技術を持つパイロットですが重度のアルコール依存症。
毎日飲んで、同僚のCAと過ごしたその日も出勤前に朝から飲んで、別れた妻からは息子の学費の催促の電話。生活かなり乱れています。

でも、フライトは快調で悪天候も難なく切り抜け乗客からは拍手ももらっちゃう。
一息ついたら飛行中にもかかわらずこっそりまた飲んで、操縦は副機長に任せてちゃっかり仮眠。
きっと毎日そんな調子で勤務していたんでしょうね。
でもこの日違った事は高度3万フィートで起きる不慮のエンジントラブル。
背面飛行をとっさの判断で行い不時着に成功させます。
乗客4人、乗務員2名は死亡者が出ました他のパイロットなら墜落して全員死亡の事態でした。

多くのマスコミは「奇跡のパイロット」「ヒーロー」として取材に押し掛けます。
墜落の原因は操縦ミスではなく整備の問題でした。
でも怪我で入院中のウィップの尿や血液からはアルコールや薬物が検出されてしまいます。
薬中のパイロットが操縦していたとばれたら本人も会社もとんでもないことに・・・。
そりゃあれだけ飲めば出ますよね。そんな訳で誰からも隠れて逃げ回るウィップ。

343694view004.jpg

やばい、やばい。
マスコミに追われ始めてからはずっとこんな重苦しい感じで進んでいきます。
本人にしてみれば俺の事は放っておいてくれってとこです。
まあ、マスコミにしてみればヒーローでも犯罪者でも話題になれば美味しいんですけど。

弁護士(ドン・チードル)や航空会社の旧友ら事故担当のメンバーはウィップのアルコール中毒を隠してなんとか彼が立ち直れるように、復職出来るようにと頑張ってくれるんですけどなんといっても本人がダメ男ですからアルコールが断ち切れません。
観てる方はいらいらが増していきます。
もう飲んじゃダメ、このままじゃアルコールのことがばれて服役刑になっちゃうって言ってるじゃない、聞いてないのかい!?

病院で偶然出会った麻薬中毒のニコール(ケリー・ライリー)。
彼女と父の残したセスナで高跳びしようかと考えるけどそれもかなわず。
でも彼女に連れられ一緒に出掛けたアルコール依存症の会で聞いた患者の言葉に何かを見出していくのです。

343694view003.jpg

多くの人命を救った機長に与えられる公聴会。
誰かに責任を問われる墜落事故だがここを切り抜けたら彼は救われる。
半身不随になった副機長や親しいCAも命を救われた事には充分感謝してアルコールの事は黙っていてくれている。
そんな友人たちの苦労をまたもや裏切るダメ男・・・でもあの冷蔵庫の中身って何故?
そしてそんな彼をしゃっきりさせる為の最終手段がこれって!?えええ?

デンゼル・ワシントンのしゃっきりした男とダメ男の切り替え、立派です。
こんなとこがアカデミー俳優ですよね。

343694view008.jpg

良くも悪くもアメリカっぽい映画でした。

この映画、パニック映画じゃありません。
事故後に直面する事態をどう収拾していくか、切り抜けるために主人公が苦悩する心理ドラマなので派手なアクションを期待する人は観ないでね。
予告やコピーの印象とは違いますよ。

宗教的な、そう、神の存在や道徳感もテーマだと思います。
癌になるのも人が出会うのも事故に遭うのも神の意志だとしたら貴方はどう生きていくのか。
嘘で固めた人生でも上手く渡っていけばそれが幸せなのか。

デンゼル・ワシントンが好きな私ですがあまりに重苦しくてもうこの映画を2度観ることは無理、と思うくらいの追い詰められ感いっぱいの演技でした。   ★★★★


nice!(9)  コメント(13)  トラックバック(0) 

nice! 9

コメント 13

coco030705

こんばんは。
デンゼル・ワシントンといえば、やはりアクション系の俳優さんというイメージがありますよね。それがそんなに重い作品だなんて、ちょっと想像できないですね。だからこそ、アカデミー賞にノミネートされたのかもですね。
by coco030705 (2013-03-10 00:15) 

キキ

coco030705さん、こんにちは。
始まってしばらくすると飛行機が墜落するのでそのあたりはアクション?座ってるけど逆さまになったりです。
飛行機会社での健康診断はないのかって疑うとこの映画は無くなっちゃいそうですが、観終わったらどんよりしちゃいます。
次は明るい映画を観たいと思いつつ…。
by キキ (2013-03-10 08:20) 

pom405

はじめまして。私もアクション映画だと思ってました。

面白そうですね。心理的な演技が必要な映画大好きです。

ところで、アイコンにつられて来ました。
今のうちの猫がキキという名前です。
よろしくお願いします。
by pom405 (2013-03-10 18:44) 

クローヴ

アカデミー賞授賞式で、背面飛行シーンをパロってましたよね。
しかし、そんなに重いとは…予想してなかったです。
追い詰められ感いっぱいかぁ…(^^;

とても気になってた作品なので、一応観るつもりではいます(^^)
by クローヴ (2013-03-10 23:13) 

キキ

pom405さん、こんにちは。
キキちゃんという名前の猫ちゃんなんですね。
うちのはエドといいます。
性格と目つきの悪い猫ですが可愛いので全て許せます(笑
宜しくお願い致します。
by キキ (2013-03-11 19:04) 

キキ

クローヴさん、こんにちは。
アカデミー賞授賞式では靴下?パペットで笑いました。
あのパロディってホントに良く出来てます。
まさにあんな感じの内容です。^.^;
by キキ (2013-03-11 19:09) 

キキ

マンチ軍団さん、niceありがとうございます。
by キキ (2013-03-12 07:52) 

月夜のうずのしゅげ

念には念を入れて、弁護士や仲間が冷蔵庫の中のアルコール類を点検するのではないかと思っていましたが、信用していたのでしょうね。
by 月夜のうずのしゅげ (2013-03-12 11:38) 

キキ

月夜のうずのしゅげさん、こんにちは。
猫にカツオ節、いやマタタビでしたね。
信用したらいけません。
だいたい一人にしとくのもいけないですよね。
by キキ (2013-03-12 21:23) 

バラサ☆バラサ

ウィルソンの場面は感動シーンの筈なのですが・・・。劇場で笑っている奴一人もいませんでしたよ。

「テッド」とか「人生ブラボー!」とか、ダメ男が活躍する映画が、最近多いのですが、ワシントン機長は徹頭徹尾ダメでした。息子があんなに簡単にオヤジを許した理由がわかりません。

ミニボトルは、隣りの部屋のですね。
隣接の部屋とドアで仕切られているのですが、ガタガタ煩いので、自分の部屋のドアを開けてみると、隣り部屋のドアが閉まっていない。ドアを開けて潜入してみると、窓が開いていた。それで、ドアがガタガタいっていたのですね。窓を閉めて、そう言えば、俺の部屋にはジュースしか無かったが、さてこちらはと点検したら、ビンゴ!だった訳です。
ドン・チードルが隣りに部屋を取っていれば、問題なかったのでしょう。隣が空室で窓が開いていて、ドアも閉めていないという状況にも無理があります。

by バラサ☆バラサ (2013-03-15 02:29) 

キキ

バラサ☆バラサさん、こんにちは。
なるほど隣の部屋の冷蔵庫、
でもびっしり並んでいたのを全部飲んじゃってました。
ドン・チードルは見張ってなきゃダメです。
by キキ (2013-03-15 22:12) 

キキ

YaCoHaさん、niceありがとうございます。
by キキ (2013-03-21 18:25) 

キキ

non_0101さん、niceありがとうございます。

by キキ (2013-03-25 17:44) 

トラックバック 0

奪命金ジャンゴ 繋がれざる者 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。