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愛、アムール [映画【あ行】]

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第65回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞。第85回アカデミー賞外国語映画賞受賞。

フランス・ドイツ・オーストリア映画です。

妻・アンヌを演じたエマニュエル・リヴァは史上最年長のアカデミー賞主演女優賞候補として話題になりました。

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パリに住む裕福な元ピアノ教師の老夫婦。

教え子のアレクサンドル(アレクサンドル・タロー)を世界的なピアニストに育てあげ、彼のコンサートを聞きに行った幸せな夜・・・その日を最後にジョルジュ(ジャン=ルイ・トランティニャン)とアンヌ(エマニュエル・リヴァ)の生活は一変する。
アンヌは病に倒れ、手術も失敗に終わり、半身不随で車いすの生活となってしまったのだ。
病院を嫌う彼女の願いを受け入れるジョルジュ、妻の介護を自宅で行うことに。

一人娘のエヴァ(イザベル・ユペール)や、階下の管理人夫妻には献身的な夫として尊敬されるような介護の日々。
看護師を雇い、医師にも来てもらい、ヘルパーも雇って介護を続ける。
しかし妻は体だけではなく心も少しづつ壊れ始め、支えていたジョルジュの負担は大きくなっていく。
一日のほとんどを眠り続け、目が覚めると「痛い、痛い・・」とうなり声を上げる妻の手のひらを撫でながら優しく自分の子供のころの思い出を語り始めるジョルジュだった。

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静かで重い映画でした。
前回観た「マリーゴールドホテルで会いましょう」はインドの明るい空と原色の景色、賑やかな音楽、新しい恋。
生きる喜びの映画でしたが正反対の映画です。

始めのシーンで演奏会から帰ってきた時に妻のコートを当たり前のように脱がしてハンガーにかける夫。
ラストにも妻に促され二人でコートを着て部屋から出ていくシーンがあります。
なんてお互いをいたわり分かり合っている夫婦なんだろう、素敵なご主人に愛され幸せな生活を続けてきた妻。
そんな二人の終焉。

老夫だけで老妻を介護するということ。
「もう終わりにしたい」と嘆く妻に夫が「これが逆だったらどうするんだ?」
「想像と現実は違うわ、どうするかなんかわからない」と妻。
そんな会話も出来ていたうちはまだ良かったんですが、やがて動けなくなり、ベッドにお漏らしをしてしまいショックで苦しむ妻をも残酷に映し出していきます。

この状態はどうにかならないのだろうか。
どこまでが夢なのか現実なのか。
ヘルパーがアンヌにしたクビになるような世話とは何だったんだろう。
ヘルパーをクビにした後、頑なに水を飲まぬアンヌの頬を平手で殴るジョルジュ。
二回目に部屋に入ってくる鳩は本当にいたのか、捕えた後胸に布にくるんで抱き上げて、逃がした様子は映し出されなかったような。私が見逃してしまったのか。
正気に見えるジョルジュもだんだんと夢のような精神状態に入ってしまっているのではと思わせていく。

愛する妻、美しかった妻。
最後まで彼女を看取る責任感。
そしてだれもいなくなった部屋に残された父がいつも座っていた椅子に座る娘。
真面目な夫を誰も責められないラストに、二人の命の解放を感じました。

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ミヒャエル・ハネケ監督作品。

  ★★★★


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coco030705

こんばんは。
本当に色々と考えさせられる作品でしたね。最後に救いがあったのがよかったです。
エマニュエル・リヴァをみて、女優業とはなんといい仕事なんだろうと思いました。いくつになっても続けられるんですもの。それも脇役の人がいいですよね。美しく主役級でやってきた女優さんは、美貌が衰えると、なんかうまく乗り切れない人が多いですよね。「マリーゴールドホテル……」を観ても思うんですが、色々な役を演じてきた人ほど、芸も磨かれ生き残れるのかもしれませんね。
by coco030705 (2013-04-08 00:02) 

キキ

coco030705さん、こんにちは。
シネ・リーブル梅田にてやっと観てきました。
この映画の後、上の階に駆け上がって「シュガーマン」も観てきました。
主演のお二人の演技はまるでドキュメンタリーのように自然な演技で驚かされます。
歳を重ねて磨きがかかっていますよね。
エマニュエル・リヴァは介護される側ですのでより大変であったとおもいます。
by キキ (2013-04-08 20:40) 

クローヴ

予告編を観ただけでも心が押しつぶされそうです。。。
by クローヴ (2013-04-11 23:14) 

キキ

クローヴさん、niceをありがとうございます。
まったくです。
わが身の先を案じてしまいます・・・。


by キキ (2013-04-12 23:04) 

キキ

こたろう35ukさん、niceありがとうございます。
by キキ (2013-04-21 18:54) 

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