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縞模様のパジャマの少年 [映画【さ行】]

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観終わった時につぶやいた言葉は「えらいこっちゃ・・・。」一緒に行った友人が鑑賞前に「この映画は衝撃のラストらしいわよ。」って言うので、「最近衝撃のラストって宣伝の映画が多いね~。」なんて軽く考えていたらまさに衝撃。いえ、最近見た映画の中でも一番気持の悪い終わり方でした。

第二次世界大戦下、8歳の少年ブルーノ(エイサ・バターフィールド)は、12歳の姉、母、ナチス将校の父(デヴィッド・シューリス)とベルリンで暮らしていた。父の転勤で住み慣れた家から郊外の殺風景な家に引っ越すことになったブルーノ。

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ベルリンでの学校の仲の良い友達とも別れ、怖い家庭教師と勉強するだけで学校にも行けない彼が見つけた友達・・・・それは両親が行ってはいけないと止めたはずの裏庭の森の奥・・・・、鉄条網で覆われた農場のような場所で、鉄格子の向こうにいる縞模様のパジャマを着た少年シュムエル(ジャック・スキャンロン)だった。

いつもお腹を減らしているシュムエルにこっそり食べ物を運んでは友情を育むブルーノ。でも両親に大切に育てられたブルーノには何故シュムエルが鉄格子の向こうの農場(ブルーノには農場に見える)に住んでいるのか、強制収容所の所長である優しい父の仕事がどんな仕事なのか、パジャマに見える奇妙な服を着たユダヤ人の運命、時々臭ってくる黒い煙突から噴き出す煙がなんであるのかを理解することが出来ない。

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ブルーノは「なぜ?」ってことを大人たちに質問する。姉やシュムエルにも。でもなぜの答えが導き出されることは無く、曖昧。

彼は少年らしい無邪気な青い瞳で総てをプラス思考の解釈で考え、何故母が裏庭の奥を嫌うのかなんてそんなことを考えるより、たいくつな毎日を楽しく友達とお喋りしたいし遊んでいたい。後半からその無邪気さで友人を想う行動がとんでもない悲劇となってゆくのです。男の子って何をしでかすのか分からない、そんな不安なドキドキが止まらなくなってしまいます。

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極秘任務に忠実な父、息子に誇りを持っている祖父。それに対して初めは夫の昇進に喜んでいた母もやがて今の仕事に疑問を持ち始め精神のバランスを崩し始め、息子の仕事を嫌う祖母の行動も子供の目にも奇妙に見えはじめるが、でもブルーノには真実が分からない。

二人の子役の演技が光ります。友達が欲しくて冒険好きな少年と、明日の希望を失った暗い瞳の縞模様のパジャマの少年。主人公の少年はロンドンの天才子役。ユダヤ人の少年は本作品で長編映画デビュー。 

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あんなに帰りたかった元の家よりシュムエルとの友情が大切になった頃、母の希望でまた引っ越しが決まるブルーノ・・・・。父親役のデヴィッド・シューリスは『ハリー・ポッターシリーズ』のルーピン先生。ナチスの軍服はかなり似合っています。

8歳って『ポニョ』の主人公の二人も確か8歳って設定でしたよね。今作では大人の理論では考えられない少年の無知な行動と戦争の悲劇を描いていました。この物語にもしも続きがあるのなら、その後も知りたくなるラストです。

かなり気分が下降しますので体調が良い時に見てください。★★★★☆

監督;、マーク・ハーマン『ブラス!』『リトル・ヴォイス』    制作国;英・米

原作;ジョン・ボイン


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コメント 7

キキ

きみなりさん、niceありがとうございます。
by キキ (2009-09-05 23:04) 

non_0101

こんにちは。
本当に衝撃的でしたね(T_T)
私も先に観た友達に衝撃的だといわれていたのですけど、ここまでとは…
> その後も知りたくなるラストです
その後、あの父に何か変化があったのか、ちょっと気になります。
by non_0101 (2009-09-06 19:49) 

クローヴ

非常に気になっている作品でしたが、
キキさんの「体調が良い時に見てください。」の一文で
思いました、私はたぶんだめです、観られません。
ナチスが出て来る映画はほんとに気持ちが落ち込みますので…。
しかしながら戦争の悲劇を伝えるため、このような作り手には
エールを送りたいです。
by クローヴ (2009-09-06 20:31) 

しまうま

 こんばんは。
 パンフも買ったし、レビュー上げようかと思ったんですけど、ちょっと過労につき、ここで失礼をば。

 悲しい裏切りを謝罪するために毎日友の姿を探すブルーノの姿。金網越しに交わす小さな手の握手。父親の会議をのぞき見た時に映っていた楽しい場所ではないと感じながら、親友を二度と裏切るまいと勇気を奮い起こすブルーノ。何か恐ろしいことが起きると分かって固く握りあう2人の小さな手…。鼻がズルズルになってる人が多かったです。

 どこにでもいる良き父、家庭人でありながら、「仕事」としてそれを淡々とこなす父親。良心の呵責に耐えられず心が壊れ始める母親…。戦争というのは何と愚かな行為なのだろうか、というのが厳しく描かれている良い映画だなあと思いました。
 ただ、寓話的なお話になってるからというのもあるでしょうが、「因果応報」みたいなオチはちょっとなあ…と。

 辛いお話だけに、どこかで少しでも救いとか癒しがあったら、もっと良い映画になったんじゃないかなあ、と少し惜しい気がしました。
 
by しまうま (2009-09-07 23:03) 

キキ

non_0101さん、こんにちは。
niceとコメントありがとうございます。

途中から主人公の少年の運命がわかるので
もう止めてって思うんですけど・・・・。
そしてここでエンドロールなのね、って思いますよね。
図書館で原作探そうかしらって思ってます。

by キキ (2009-09-07 23:06) 

キキ

グローヴさん、こんにちは。
niceとコメントありがとうございます。
グローヴさんの写真が変わりましたね。

イギリス映画なので英語です。
ちょっと違和感ありましたが少年たちの演技はさすがです。
気分は落ち込みます。立てなくなってたご婦人もいましたし・・・。

by キキ (2009-09-07 23:32) 

キキ

しまうまさん、こんにちは。
niceとコメントありがとうございます。
過労ですか?お体大丈夫ですか。

寓話的といえばそうですね。
主人公の少年は近くに学校がなくて
同じ年の友達もなく一人ぼっちって設定で話が進みますけど、
でもアウシュビッツ収容所に働く人たちは沢山いたはずだから
それは無いんじゃないかしらって友人と話しながら帰りました。
国の為の大切な仕事は愚かな行為であったことを身をもって知る父・・・
救いはなかったですね。
by キキ (2009-09-07 23:49) 

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