イリュージョニスト [映画【あ行】]
アニーション映画「ベルヴィル・ランデブー」でアカデミー賞ノミネートに輝いたフランスの鬼才、
シルヴァン・ショメ監督の7年ぶりとなる新作です。
配給はクロックワークス、三鷹の森ジブリ美術館。
この監督は高畑勲や大友克洋など、日本のアニメクリエイターからも絶大な人気を誇る人物。
懐かしくも美しいヨーロッパの風景が水彩画のように広がる映画でした。
お話は・・・時は1950年代のフランス。
昔ながらの手品を披露する売れない手品師タチシェフの相棒はシルクハットから出てくるうさぎだけ。
そんなドサ回りの彼が旅で流れ着いたスコットランドの離島は、やっと電気が開通したばかりの片田舎だった。そこで純粋な少女、アリスと出会う。
貧しい生活を送るアリスは、彼を“魔法使い”と誤解し島を出てついてきてしまう。
不器用な老手品師は彼女に生き別れた娘の面影をみてしまい、 2人は言葉が通じないながらも、
エジンバラの片隅で一緒に暮らし始める。
しかし彼は彼女の夢を何でも叶える事の出来る魔法は使えなかった・・・。
原作はジャック・タチ。
「ぼくの叔父さん」シリーズを手掛けたフランスの映画監督です。
彼が娘に遺した幻の脚本を基にシルヴァン・ショメ監督が映画化したアニメーションで、この主人公はタチの姿を投影し(ジャック・タチ監督の本名はジャック・タチシェフ)オマージュ映画として作られているそうです。
実際主人公が映画館に入ると、「ぼくの伯父さん」が上映されているシーンが出てきます。
アニメの中に実写が流れるのはなかなか印象的です。
1950年代はロックやTVが広がり始めた時代。
新しいものに夢中な人々にとって手品師なんて時代遅れ。
でもそんな彼でもアリスの前だけでは魔法使いでいられるのです。
しかし、都会の暮らしで彼女の欲しがる服や靴を次々に揃えることは無理、アリスは魔法だと思っているんですから。
タチシェフは売れない手品師である事を伝えようとするのですがアリスには通じません。
彼女の喜ぶ顔を見るために頑張るタチシェフでしたがやがて限界が訪れます。
そしてアリスにも新しい出会いが。
貧しい生活の中で同じく貧しく暮らす芸人仲間とのふれあいや挫折も語られていき、懐かしくも切ない物語が展開していくのです。
ほとんどセリフらしいセリフもありませんがそれだけにアニメーションの美しさを堪能できる作品でした。
うさぎのその後も気になります。 ★★★★
シネ・リーブル梅田にて上映中です。
こんばんは。
素朴で優しくてとても切ない作品でした。
あの手品師タチシェフには、いつか本当の幸せが訪れて欲しいです。
こういう作品がスクリーンで見られたのが嬉しかったです☆
by non_0101 (2011-05-22 23:12)
nonさん、こんにちは。
ストーリーは切なく、広がる風景は美しい映画でしたね。
日本のアニメとはまた違った雰囲気で楽しめました。
言葉が通じないもどかしさ。
あのうさぎちゃん、絶対食べられちゃったと思いませんでしたか?
タチシェフは勿論、アリスも腹話術のおじさんも
今後が幸せであって欲しいと思える作品でしたね。
by キキ (2011-05-23 00:56)