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一命 [映画【あ行】]

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邦画時代劇初の3D 映画となった映画です。
9月29日~10月2日に米カリフォルニア州バルアルト市で開催された『第1回バロアルト国際映画祭』で3D技術を称えるPAIFF&Dolby3D賞を受賞しています。
日本の美しい風景や荘厳な武家屋敷などの奥行き感を繊細に表現したことが評価されたようです。

残念ながら私は2Dで観ましたが、降り続く雨や燃えるような紅葉、そしてラストシーンでの舞い散る雪が3Dなら美しいのではないかと思いました。でも3D上映してる館はなんで少ないんだろう?

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戦国の世が終わり、太平が訪れた江戸時代初頭。
一人の浪人が名門・井伊家の屋敷に現れる。浪人の名は津雲半四郎(市川海老蔵)。
半四郎は井伊家の家老である斎藤勘解由(役所広司)に、「仕官先もままならず生活も苦しくなったので武士らしく切腹したい、こちらの庭先をお貸し願えないか」と申し出る。

当時は将軍徳川家による大名へのお家取り潰しが相次ぎ、町には浪人があふれていた。
そして食い詰めた浪人たちの間では“狂言切腹”が大流行。
それは裕福な大名屋敷に「庭先で切腹させて欲しい」と願い出て、
面倒を嫌う屋敷側から職や金品をもらうという“ゆすり”だった。

勘解由は半四郎に「狂言切腹など当家では通用せぬ、辞めるように」と諭し、
「二月前にも同じように若い浪人が訪ねてきて狂言切腹を申し出たが、屋敷の庭先で切腹した」と
その時の様子を語りだす。
その若い浪人の名は千々岩求女(瑛太)。

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勘解由が語る求女の最後は悲惨だった。
屋敷の者たちは求女が狂言切腹(ゆすり)に来た事に怒ったがそれを逆手にとり、武士に二言は無いはずと追い詰め、妻子の為に武士の命である刀までも売り竹光に変えたその少年に切れるはずのない竹光で見せしめのように切腹をさせていたのだった。
静かにその話を聞く半四郎。
半四郎が井伊家に切腹を願いでた真の目的は何だったのか。
今度は半四郎が勘解由に求女の話を語りだした。

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リストラ・倒産・病気・怪我、社会保障制度もない江戸時代に豊臣側だったからという理由で仕事を失った武士たちは武士らしく生きたいと願ってもどうやって生きていけばよかったのやら。
大きなお屋敷で今のんびり暮らしてるアンタ達と俺たちとは立場が逆転していてもおかしくなかったんだよ!
相手を憐れむ心を無くした武士に武家の格式や精神を語れるのか?という半四郎の怒りと叫び。

海老蔵さんが好きか嫌いかもこの映画を鑑賞するポイントではありますが、彼の眼力は凄かったです。さすが歌舞伎役者と言う感じ。眼も大きいしね。

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対するのは役所家老、静かに終わるわけもなく、後半の殺陣も1人対50人くらい?で戦います。
どうみてもそりゃ無理でしょって思うんですが、海老様は仇打ちに来たんじゃない、死ににきたんです。
でも死ぬ前に事の真実を話さなきゃ死ねなかったんですね。
でも孫までいるという初老役にしては海老蔵さんは若すぎたんじゃないでしょうか。
お肌つるつるだし・・・。食い詰め浪人なのにめちゃ強い。

そして竹光で切腹をする瑛太さんのシーンは演技だと解っていてもそりゃ痛そう。
お腹がえぐられる迫真の演技は観ていられません。愛する人と一緒になっても貧乏って辛い。
武士らしい生活をした事がいはずの彼に最後にやってきた武士の試練、結果守りたい命を守れずに死んでゆく求女には涙です。

その妻に今はあちこちで引っ張り凧の満島ひかりさん。生まれてからずっと貧乏です。

求女に切腹を笑いながら迫る血も涙もない沢潟という武士を青木崇高さんという役者さんが演じてましたがこれがまた本当に憎たらしい。
彼はNHKの朝のテレビ小説「ちりとてちん」、大河ドラマ「龍馬伝」等に出てるらしいけど知りませんでした。これからちょっと注目です。(一番右のお方)

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この映画は1962年の小林正樹監督作『切腹』をリメイクしたもの。
『切腹』とは滝口康彦原作の小説「異聞浪人記」の映画化で1963年のカンヌ国際映画祭で審査員特別賞をするなど国内外での評価も高い映画でした。

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役所広司演じるご家老が悪家老だったわけじゃないし、それどころか時々情け深さをちらりと見せるので海老蔵演じる半四郎に感情移入が出来ないで終わりました。
切腹は日本人独特の美学で、でもそんな日本人が観ても眼を背けたくなる長いシーンがこれでもかと続く冒頭。心が疲れますので苦手な方は気をつけて。

世界公開を念頭に置いて作られ、実際これから公開される映画ですが、武士の面目や美学がどこまで理解され伝わるのかなと思います。 ★★★★

監督;三池崇史  音楽;坂本龍一
あのでっかい屋敷は西本願寺かもと勝手に思ってたらエンドロールにも協力に西本願寺の表記がありました。やっぱりそうなのかしら。


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バラサ☆バラサ

三池らしからぬ真面目な演出でしたが、竹光での切腹は三池らしい粘着質で、見ていて辛かったですね。スプラッタよりエグイ。

海老蔵のキャラは、武士の風上にも置けぬという感じで、役所の方に感情移入してしまいました。
by バラサ☆バラサ (2011-10-20 18:30) 

キキ

バラサ☆バラサさん、こんにちは。
三池監督の映画を映画館で観たのは初めてでした。

竹光切腹痛そうで・・・・。
韓国映画を見慣れてるとはいえ、耐えられませんでした。
友人に時代劇初の3Dなんだと話したら
切腹シーンが3Dなのか?などど不謹慎なことを。 (`ε´
ご家老様はいい人っぽかったので、
もっと意地悪で悪い奴なら盛り上がったかもしれませんね。
by キキ (2011-10-20 20:42) 

non_0101

こんばんは。
この作品、とても気になっているのですけど、
あまりにも痛そうでどうしても観に行けません~
三池監督は「十三人の刺客」は観たのですけど…
やっぱり、かなり覚悟が必要そうですね^_^;
by non_0101 (2011-10-20 22:50) 

キキ

non_0101さん、こんにちは。
はい、痛そうです、とっても。
しかも時間も長いので視線逸らしながらちらちら観てました。
最後にも切腹シーンがあるんですがそちらはさらりとしてます。
私は「十三人の刺客」の方を観てないんです。
覚悟を決めたら是非・・・(^.^;;
by キキ (2011-10-21 21:08) 

クローヴ

三池監督、時代劇が続いていますね。
かつての名作に再度スポットライトを当てる…嫌いじゃないです。
ただ、例のシーンと物語の内容とキキさんのコメント。。。
腰引けます(^^;
前々作(?)の『十三人の刺客』は興奮もしたけど、かなり怖かったので、
この作品はすごく元気な時に観たいと思います(笑)
by クローヴ (2011-10-22 00:45) 

キキ

クローヴさん、こんにちは。
オリジナルの『切腹』に興味があり、
でもオリジナル未見だったのでリメイクで上映ありと聞き観たんですけど
とっても痛い映画でした。(>.<
瑛太さんの演技も良かったです。
海老蔵さんのあの事件でお蔵入りかともいわれたそうなんですけど
武士の憐れみを問う、こんな役やってるんだから
監督その他、映画に関わっている人たちに迷惑かけちゃいけないです。
『十三人の刺客』は観てないので今度レンタルで観たいと思います。
by キキ (2011-10-22 13:10) 

キキ

alba0101さん、niceをありがとうございます。
by キキ (2011-10-22 13:23) 

キキ

くらいふさん、niceありがとうございます。
by キキ (2011-10-22 15:57) 

キキ

マチャさん、niceありがとうございます。

by キキ (2011-10-24 00:20) 

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