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ヘイトフル・エイト [映画【は行】]

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今回はタランティーノ監督の8回目の監督作品、西部劇。

時代は南北戦争終結後のアメリカ。
季節は冬。
雪の中、ワイオミング州の山中で自分の馬が死んでしまったため立往生している男(サミュエル・L・ジャクソン)が近づいてくる駅馬車を止める。
その男ウォーレンは賞金風ぎで元北軍少佐だった。

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ウォーレンは3体の賞金首の遺体をレッドロックという町に運ぼうとしていた。
駅馬車の御者オービー(ジェームズ・パークス)は馬車に乗せるには依頼主の許可を取れと言う。

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依頼主とは同じ賞金稼ぎのジョン・ルース(カート・ラッセル)。
デイジー(ジェニファー・ジェイソン・リー)というお尋ね者の女の手首を自分の手首に手錠でつないで乗っている。
この女には賞金が1万ドルかかっているという。
嫌がるルースを説得して馬車に乗り込むウォーレン。

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さらにレッドロックの新保安官のクリス(ウォルトン・ゴギンズ)という男も途中で同乗してくるが、雪はどんどん強くなり馬車は停車場の「ミニーの店」で吹雪を避けることになる。

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しかし、店主のミニーとディブはなぜか不在。

かわりに店にいたのは、
ミニーからしばらく店を任されたというメキシコ人ボブ(デミアン・ビチル)、
レッドロックで絞首刑執行人をしているというイギリス紳士風のオズワルド(ティム・ロス)、
クリスマスで故郷に帰る予定のカウボーイ・ジョー(マイケル・マドセン)、
元南軍の将軍の無口な老人スミザーズ(ブルース・ダーン)。

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偶然吹雪で店に閉じ込められた8人の男女の長い一夜が始まる・・・・。
ってことですが168分でホントに長め。3時間近いです。

前半は馬車の中での会話が多くて人物紹介になっているんですけどとにかく退屈。
ですがそこを超えてミニーの店に集まった男たちが一人、また一人と死んでいくあたりからようやくお話は動き出します。

タランティーノ監督の脚本ですからね、そりゃもうお下品でグロくて差別用語もバンバン。
どこか非現実的ですがとにかく死ぬわ、死ぬわ。

デート・ムービーには向きませんし、そうでなくても一緒にお誘いする方にはエロ、グロ、血しぶきだよとお伝えしてからにしてくださいね、取り扱いにはお気をつけください。
いくらある男を怒らせるためだとしてもこのシーン必要?と思ってしまう、さすがのR18指定。
この映画を観た後にご飯なんか食べたくないと思います。

元南軍対元北軍、白人対黒人、アメリカ人対メキシコ人、盗賊対賞金稼ぎ。
憎しみ合いの要因はたくさん。
ここに集まった男たちが実は意外な知り合いだったりして名探偵コナンテイスト、舞台を観ているような後半。
でもま、コナンみたいな探偵さんがいる訳じゃなく、殺し屋だらけですからすぐにドンパチで片が付きます。
死に方があまりに簡単すぎて謎解きに重みがない感じですけどそれより別の隠し玉が飛び出すので。
これは秘密にしときましょ。

見どころはサミュエル・L・ジャクソンのすごさですね。
バンバン殺してた側が殺されそうになった時の驚きと恐怖の演技でラストはドッキドキ。
タランティーノ映画の常連ですが主演は初とのこと。
『ジャンゴ』の時より今回の方が演技が冴えててすごく楽しそうでした。

サミュエルが今回のアカデミー主演男優賞にノミネートされてたら白人至上主義と言われたアカデミー賞ですけど、ボイコット運動なんかにならなかっただろうにな~とも思いました。 ★★★★

 

この映画の鍵になる女を演じたジェニファー・ジョンソン・リーは助演女優賞候補でしたが受賞はならず。
作曲賞に見事、エンニオ・モリコーネが受賞しました。


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第88回アカデミー賞授賞式 (WOWOW)

2月28日にアメリカ・ハリウッドのドルビーシアターで第88回アカデミー賞発表・受賞式が行われ、WOWOWで生中継されました。

司会は今回が2回目のクリス・ロック。

★発表順です★

脚本賞 「スポットライト 世紀のスクープ」

脚色賞 「マネー・ショート 華麗なる大逆転」

助演女優賞 マリシア・ヴィカンダー 「リリーのすべて」

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衣装デザイン賞 「マッドマックス 怒りのデス・ロード」

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美術賞 「マッドマックス 怒りのデス・ロード」

メイク・ヘアスタイリング賞 「マッドマックス 怒りのデス・ロード」

撮影賞 「レヴェナント:蘇りし者」

編集賞 「マッドマックス 怒りのデス・ロード」

音響編集賞 「マッドマックス 怒りのデス・ロード」

録音賞 「マッドマックス 怒りのデス・ロード」

視覚効果賞 「エクス・マキナ(原題)」

短編アニメ賞 「ベア・ストーリー(原題)」

長編アニメ賞 「インサイド・ヘッド」

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助演男優賞 マーク・ライランス 「ブリッジ・オブ・スパイ」

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短編ドキュメンタリー賞 「ア・ガール・イン・ザ・リヴァー(原題)」

長編ドキュメンタリー賞 「AMY エイミー」

短編実写映画賞 「スタッタラ―(原題)」

外国語映画賞 「サウルの息子」 制作国:ハンガリー

作曲賞 「ヘイトフル・エイト」

歌曲賞 〝Writing's On The Wall" 「007スペクター」

監督賞 アレハンドロ・G・イニャリトゥ 「レヴェナント:蘇えりし者」

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主演女優賞 ブリー・ラーソン 「ルーム」

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主演男優賞 レオナルド・ディカプリオ 「レヴェナント:蘇れりし者」

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作品賞  「スポットライト 世紀のスクープ」

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主演男優賞のディカプリオが今度こそ受賞出来るか?が今回のみどころでした。
会場中の俳優、関係者たちもディカプリオの名前が呼ばれた途端に一斉に立ち上がり拍手。
皆さんの想いは一つという感じでした。
レオは今頃はお祝いの真っ最中でしょう。良かったです。

作品賞も「レヴェナント:蘇えりし者」になるかと思いましたが、意外でしたが「スポットライト 世紀のスクープ」の受賞となり今年の授賞式も終了しました。


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キャロル [映画【か行】]

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本年度アカデミー賞ノミネート作品が続きます。

ケイト・ブランシェットが主演女優賞、ルーニー・マーラが助演女優賞でアカデミー賞ノミネートされてます。
もしかすると女優賞のダブル受賞もあるかもしれません。
演技派女優の美女二人が静かに火花を散らす、大人の映画です。

禁断の同性愛をテーマにしたストーリーなので、好き嫌いが分かれるところです。
原作は「太陽がいっぱい」などで知られるアメリカの女流作家、パトリシア・ハイスミスが1952年に発表したベストセラー小説。

当時アメリカでクレア・モーガンという別名で発表されましたが、昨年の2015年、この映画に併せてパトリシア・ハイスミスの名義で日本でも刊行されたようです。
別名たったのは同性愛が法律で禁止されていた時代での発表だったからでしょうか。
しかしながらアメリカでは100万部を超える大ベストセラーだったとのことです。

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「まるで天使。貴女は天から落ちてきた天使。」
この言葉を恋人のリチャードが先に言ってたら?

それでもテレーズ(ルーニー・マーラ)はキャロル(ケイト・ブランシェット)にひと目で恋に落ちたんでしょう。
じりじりと熱い視線が二人の間で行ったり来たり。

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1952年、ニューヨーク。
カメラマンになることを夢見てデパートで臨時社員として働くテレーズ。

そこで娘のクリスマスプレゼントを買いに来たキャロルと出会います。
金髪の美しい髪、毛皮のコート、皮の手袋、香水の香り。
自分とは正反対のキャロルの完璧さに釘付けになるテレーズ。
キャロルの忘れ物を届けたことが縁でそのお礼にとランチに誘われてしまいます。

手袋を忘れたのはわざとだったのでしょうか。
それから何度もテレーズに「会いましょう」と誘うキャロル。

キャロルは裕福な夫と離婚訴訟中で、幼い娘の親権を争っていました。
夫の不満はキャロルが幼馴染の女友達と不適切な関係を持っているのではないかという疑惑。

キャロルが夫と言い争う姿を目の前にしても、キャロルに強く惹かれる続けるテレーズ。
恋人リチャードと喧嘩してまでキャロルとの小旅行に出かけてしまうのです。

テレーズはそれまで自分が何かを決めるということが苦手。
相手に合せて返事をすることが多いのですが、それも若さなんでしょう。

でも、キャロルとの恋愛は彼女の親権問題でのいざこざで旅の途中で一方的に別れを告げられてしまうのです。

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キャロルとの辛い別れを経て、念願の新聞社で働く自分の考えで動ける女性になっていたテレーズ。
このあとふたりはどうなっていくのでしょう。
テレーズ、ダメよ、引き返して、とラストまでドキドキが止まらない心理劇。
最初のシーンに話は戻り、テレーズが選ぶ運命は・・・。   ★★★★

監督はトッド・ヘインズ。
アカデミー賞は脚色賞、撮影賞、衣装デザイン賞、作曲賞にもノミネート。
50年代の衣装や風景はかつて日本人が憧れたであろうアメリカの豊かさと美しさを見事に再現しています。


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マッドマックス 怒りのデス・ロード [映画【ま行】]

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第88回アカデミー賞授賞式も目前となりました。
ジョージ・ミラー監督の『マッドマックス 怒りのデス・ロード』も作品賞・監督賞など10部門でノミネートされ、すでに上映は終わってましたがノミネート記念の再上映になっております。

ちょっと邦題の『怒りのデス・ロード』・・・ってとこが引っかかり、二の足を踏んでいるうちに去年の上映期間に見逃しておりましたが、再上映が始まったのでチャンスと出かけて大正解、皆さん絶賛の通りものすごい映画でした。

敵が味方になっていく、こりゃまるで少年ジャンプでしょうか。
漫画の世界がそのまま映像化されたよう。
時々こんなすごい映画をありがとうっていうのに出会いますが、この映画もそう、映画館で観る映画でした。

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もお、何が凄いかってそれは音響、音の洪水です。
エンジン音はもちろん、ビヨ~ンって火を噴くエレキギターをかき鳴らし、ドンドコドン、ドンドコドンと太鼓を叩く男たちがいる車まで行軍するのですよ、ボスのイモータン・ジョ―(ヒュー・キース=バーン)の一団の後ろには!

それでジョーは何をそんなに怒っているのか。
自分の5人の花嫁を、信頼していた女戦士フュリオサ(シャーリーズ・セロン)が連れ出して逃げちゃったからなんです。

この花嫁たちがもう美しいのなんのって。
フュリオサの故郷の「緑の地」に向かってトレーラーで大爆走。逃げる、逃げる。

それをドンドコドンと追いかけるジョー一団。他の砦のボスにまで声をかけて追いかけるんです。
砦を牛耳るボスは自らハンドルを握り、ウォー・ボーイズと呼ばれる戦闘集団の白塗り男たちを従えてフュリオサとの追いかけっこ、っていうとストーリーがなさそうなんだけど、これがちゃんとあるんですね。おのおのが抱える哀しみとか悲しい過去とか、ほんのつかの間の恋だとか。

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大群で爆走する映像が本当にすごいんですが、どうやって撮ったんだろう?
今跳ね飛ばされた男はどうなっちゃったんだろう?
車が故障すると車は走っているままなのに這って車の下を修理してるし、そうしてるうちにブンブンオートバイが飛び跳ねて、上から棒に掴まった男たちが爆薬投げてきたりするし、きゃーっていう間もないくらい次から次に色んな事が起るのです。

で、主人公のマックス(トム・ハーディ)はどこにいるのかというと、ボスのジョーの支配する砦の奴らに掴まって、フュリオサを追いかけるボス達の後ろ~の方にいるウオー・ボーイズの白塗りの男の車の前にくくり付けられているんです、輸血袋として。

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この輸血袋っていう役割がよくわからなかったけど、放射線障害で短命なウォー・ボーイズには新鮮な血が必要で生け捕りにされてしまっているようです。

砂嵐に突っ込んで一時はジョー達をまいたフュリオサ。
そこに同じく砂嵐で車が大破したお蔭で助かったマックスが加わり、緑の地を目指します。

砂嵐の去った後、水を浴びながらトレーラーから美女たちが現れる静かなシーンがあるんですけど、そこで耳がジンジンするくらい今までの音響がいかにすごかったのかを実感。
やがてまた戦いの連続になっていくんですけど怒涛の展開に時間もあっという間でした。

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とにかくまだ観てない方はお近くの映画館でやってるなら観に行ってください。
私は2D観てから3Dでも観ましたが2Dでもじゅうぶんだと思いました。

最初のマックスが捕まって追いかけられるシーンはとってもスピーディですがすごい早回しで撮られてますね。
全体がそんな感じで、ぎゅっと詰まっているアクション映画でした。

彼らはお腹空いたとか、水が飲みたいとか、眠いとか、疲れたとかっていう生活感が全くないんですけど、まあそれは少年漫画の世界だからね。  ★★★★★

アカデミー賞は音響編集賞は絶対この映画だと思います。作品賞、監督賞もいけるかな~。


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ザ・ウォーク [映画【さ行】]

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高所恐怖症です。
高い所から下をみるのも嫌いですしジェットコースターも絶対に乗りません。
だからこそ、映画でしか体験できない風景が見てみたい。

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1974年のニューヨーク。
フランスのパリの大道芸人・フィリップ(ジョセフ・ゴードン=レヴィッド)が完成間近のワールドトレードセンターの間にワイヤーロープを渡し、綱渡りを実行した実話です。

気も遠くなるような高所での綱渡り、命綱も無し。
しかもパリからニューヨークにまでわざわざやってきてです。
報酬も無し、ただ歩きたかったから。

勝手に許可なくそんなことを試みるのは犯罪なわけで、この無謀な計画は密かに進められていきます。

なんでこんな事に憧れるのかは私にはさっぱりですけどやっぱり若さって事かしら。
25歳の綱渡りの青年の情熱。
地上411メートルにはどんな風景が広がっているのかを見てみたい、それだけ。

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ストーリーは少年期から。
パリのサーカス一座 パパ・ルディ(ベン・キングスレイ)に弟子入りしたころから始まります。
ある日、完成間近のワールドトレードセンターの記事をみつけるフィリップ。

タワーに取り憑かれたフィリップはパパ・ルディからロープの貼り方を学び、計画の協力者を集めてやがて渡米、ニューヨークでも仲間を集めて詳細にビルの情報収集し侵入の実行計画を立てていきます。

そんないきさつを、自由の女神の上からフィリップ自身が語る・・・という形式でお話は語られていくのですけれど、見どころはやはり実行の8月6日のシーンです。

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ビルの間に綱を張るのにも予定外のアクシデントでハラハラは続きますが、息を飲む綱渡りシーンは圧倒的です。
やっと終わったかと思ったら後ろに引き返し、今度は警官が駆け付けているのを避けてまた後ろに引き返すこと数回・・・。
こんなこと本当にやったの?
全てのものに感謝するためにロープの上でひざまずくフィリップの姿にくらくらです。

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今は911でのあの悲劇で姿を消してしまったワールドトレードセンター。
崩壊の瞬間は何度もニュースで流れ、映画にもなり、誰の脳裏にも負のイメージで残っていますが、建築中にはこんなことがあったのだということに驚きました。

3Dで観たかったんですが時間が合わずに2Dで鑑賞。
ストーリーより映像を楽しむ映画です。
3Dの為に作らていると思いますが、でも2Dでもじゅうぶんに震えましたよ。

主役のジョセフ・ゴードン=レヴィッドの魅力で魅せる映画かなとも思いました。  ★★★☆ 

監督は「バック・トゥ・ザ・フュ―チャー」「フォレスト・ガンプ」などの ロバート・ゼメキス。

 


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パディントン [映画【は行】]

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ポスターによると「ハリー・ポッターのプロデューサーが贈る全世界300億円超えの大ヒット作!」
って事ですが、2014年の制作映画のようですから日本ではちょっと遅れての上映なんでしょうね。

友人に誘われて観てきました。
「パディントン」ってよく見るけどなんのキャラクターなんだっけ?
まったく知らなかったんですけど今回の映画でよくわかりました。

この赤い帽子に青いダッフルコートのクマさんはイギリスの作家マイケル・ボンドの児童文学作品のクマでした。
イギリスでは1958年に出版され、日本では1967年に福音館書店から出版されています。

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ペルーからイギリスに密航船でやって来た赤い帽子の子クマ(声:ベン・ウィショー)。
クマはロンドンのパディントン駅でスーツケースに座って待っていました。

クマは礼儀正しく道行く人に尋ねます。
彼におうちをくれる人がどこかにいるはずなのです。
でも誰も返事をしてくれません。だって彼はクマなんですもの。

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そこに偶然通りかかったブラウン一家。

お父さんのブラウンさん(ヒュー・ボネヴィル)は関わり合いになるのを嫌がりますが
お母さんのブラウン婦人(サリー・ホーキンス)はしばらくクマを家に泊めてあげることにします。

クマ語の名前は発音が誰にもわからなかったので、
座っていた駅の名前と同じ「パディントン」と改名、
ブラウン婦人はぺディントンの為にペルーに昔やってきたという
イギリスの探検家を探しだすことを思いつきます。

パディントンはブラウンさんちでお風呂を壊したり、歯ブラシで耳掃除をしたり、
外に出たら親切心から偶然スリを捕まえて感謝されたり。

問題を抱えたブラウン家の子ども達とも仲良くなっていきます。

いろんな騒動を起こしながら探検家を探すパディントンでしたが、
博物館のはく製師・ミリセント(ニコール・キッドマン)にある日誘拐されてしまいます。

ミリセントはパディントンを前から狙っていたのですが、実はそれには深いわけがありました。 

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誘拐されたパディントンの運命やいかに。
このままはく製にされて博物館に飾られてしまうのでしょうか。

いやいや、そんな訳にはいかないですよね。
ぷぷっと笑うような逃げ方で脱出するんですよ。
それまではパディントンにはちょっと冷たかったブラウンさんや
親戚の家政婦ミセスバード(ジェリー・ウォルターズ)も大活躍です。

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お話は子供向きで予想どおりなのですけど、CGのパディントンはなかなかの可愛さです。
大人も楽しめるほっこりとした笑える映画です。

でもはく製にしちゃうなんて児童文学にしてはちょっと怖いですね。
美しき悪役をニコール・キッドマンが真顔で演じていました。
礼儀正しい英国紳士、パディントン。
でもほんとはペルー出身だったんですね。

マーマレードが大好物のパディントンなんですけど、
イギリスまでの密航中にもマーマレードを食べまくります。
映画のはじめではペルーでの生活が楽しく語られるんですけど、
このマーマレードはすごいハイテクで3頭のクマが瓶詰めしてるんですよ。 

声は最近この名前を聞かないことはないベン・ウィショー。
あんまり子クマ感はないんですけどね。
お母さん役は「ブルージャスミン(13)」でケイト・ブランシェットの妹を演じて
アカデミー助演女優賞にノミネートしたサリー・ホーキンス。 
監督・脚本:ポール・キング  ★★★☆

 


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戦場のメリークリスマス (NHKBSプレミアムシネマ) [映画【さ行】]

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イギリスのロックシンガー、デビッド・ボウイさんが1月10日に亡くなりました。69歳でした。
その追悼番組の一つでNHKBS、プレミアムシネマで放送された映画です。
監督の大島監督も2013年1月に既にお亡くなりになっています。

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 『戦場のクリスマス』(英:Merry Christmas,Mr.Lawrence)は大島渚監督の監督・脚本した映画で1983年5月の公開の映画です。英国アカデミー賞作曲賞を受賞。

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原作はサー・ローレンス・ヴァン・デル・ポストの『影の獄にて』。
作者自身のインドネシアジャワ島での日本軍捕虜収容所体験を基に書かれたものです。 

1942年のジャワ島。日本軍捕虜収容所。
戦争シーンが全く出てこない戦争映画で、男性俳優だけでお話は進みます。

収容所には約600人ほどの外国人捕虜がいるようで、日本に暮らしたこともある親日家で日本語も堪能な捕虜・ロレンス英軍陸軍中佐(トム・コンティ)をハラ軍曹(ビートたけし)が呼びつけます。

朝鮮人軍属カネモト(ジョニー大倉)がオランダ人男性兵デ・ヨンに不祥事を行ったので自分が処理をする、ロレンスには証人になってもらうというのです。

デ・ヨンに性的行為を行なった罪で切腹をいいつけるハラ。
そこにハラの上司、ヨノイ陸軍大将(坂本龍一)がやってきて切腹は一旦中止となります。
ヨノイはこの収容所では一番の責任者、彼の命令は絶対です。

その後、裁判に出席したヨノイは日本軍の輸送隊を襲撃して捕虜になった英国陸軍少佐・ジャック・セリアズ(デビット・ボウイ)をひと目みて魅せられてしまいます。
銃殺刑を言い渡されたセリアズの命を助け、自分の収容所に収容させるのです。

やがてセリアズは収容所で厄介な存在になっていきます。
一番はヨノイの態度が日本軍の部下がみてもおかしくなってきたこと。
ロレンスはセリアズの回復を手伝うようにと彼の収容された集団収容所に移動させられますが「ヨノイは君の事が好きなんだな」と笑うほどです。

やがてカネモトはヨノイの命令で切腹させられます。
それをみせられた被害者デ・ヨンが舌を噛み切り自殺するという事件が同時に起こり動揺する捕虜たち。
動揺を鎮めるためにヨノイは24時間の断食の『行』を行うように命令、不満を感じる捕虜たち。
日本人の精神論が西洋人に伝わる訳がありません。

それに逆らうセリアズは死んだデ・ヨンの為にと赤い花を摘んで、花の下に隠してまんじゅうを捕虜たちに分け与えます。
ことごとく逆らうセリアズに「お前は悪魔か」と怒るヨノイ。
そして収容所の病室からみつかった盗聴器の責任を押し付けられたロレンスが拷問のあげくに処刑されることとなるのですが・・・。

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その後セリアズとロレンスは独房に入れられ、壁を挟んでお互いの過去を思い出していきます。
セリアズが戦争に志願した理由がここで語られ、やがて乾いた戦場は美しい英国の庭とセリアズの愛する弟の歌声が印象的なシーンに変わります。 

セリアズは障がい者だった弟の心を守り切れなかった後悔で今も苦しんでいました。
一方、ヨノイは2・26事件の青年将校の生き残りで自分だけ生き残ってしまったという負い目を抱えて生きています。
ヨノイはセリアズを恋愛感情で好きというものではなく、思わず憧れてしまう綺麗な存在というように思えました。
ヨノイは結局セリアズにはなにも告げることが出来ませんでした。

セリアズは捕虜長をかばいヨノイの頬に敵をも愛すというキスをする有名なシーンのあと、生き埋めの処刑にされてしまいます。 

そしてこの映画には2回切腹シーンも出てきます。
最初のカネモトの不祥事の処刑と、ヨノイを惑わすセリアズの命を狙った日本人軍人の2人です。

「切腹を見ずして本当の日本人をみた事にはならない」というハラ軍曹のセリフにも象徴されるように日本軍人は自分たちを侍だと思って奮い立たせていたのだと、最近の戦争映画にはみない武骨な展開には感心してしまいます。

西洋人の捕虜たちと日本軍人。
ロレンス中佐は宗教観、道徳観、 組織観が全く違う双方のなくてはならない解説者という存在です。

死ぬことは怖くない、自分はお国に命を捧げているというハラ軍曹。
お前はなぜ捕虜になったのか、恥を知らないのかとロレンスに尋ねます。
ロレンスは捕虜になるのは恥ではないと答えますし、のちに同じ捕虜のヒックリー捕虜長(ジャック・トンプソン)には「日本人は個人ではなにも出来ず集団で発狂した」と話します。

この映画、デビッド・ボウイが美しい、でもラストのビートたけしのアップとセリフの意味がよくわからない・・・という感想しか頭に残ってなかったんですが、歳を重ねて改めて今見ると死ぬことに対する双方の考え方の違いと、戦争時に正しい考え方を持つことの難しさが迫ってきました。

ラスト、4年の年月を経て、立場は変わり日本が戦争に負けた後に逮捕されたであろうハラ元軍曹に会うロレンス中佐。

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明日処刑されるというハラ軍曹に涙がこぼれてしましました。

ハラは自分が過去にクリスマスプレゼントで命を助けた時と同じで今回は「ロレンス、俺を助けてくれよ」と命乞いをしているのか。
「メリークリスマス、ミスターローレンス、メリークリスマス・・・」と笑うハラのアップに、前半これでもかと語られた日本軍軍人の中に宿っていた武士道精神の崩壊が感じられてしまうのです。


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スターウォーズ『フォースの覚醒』  4DX3D [映画【さ行】]

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新しいスターウォーズ、やっと観てきました。

「フォースの覚醒」ってサブタイトル通り、新しい主人公がフォースの使い手になっていく物語。
実は私、スターウォーズはあまり詳しくはありません、というより初心者並の知識です。

どのくらいわかってないかというと、観終わって
「あれ?なんでヨーダ出てこないの?」(注:お亡くなりになっています)
「ダース―ベーダ―ってどうなっちゃったんだっけ?」(注:お亡くなりになりました)
と頭をひねってしまうレベルです。ファンに投げ飛ばされそうですね。

なので「スターウォーズは今まで観たことも無いけど今回は観たい、でも話についていけなかったらどうしよう?」とお悩みの方にも声を大にして言いたい「大丈夫よ」、と。
初心者にもとってもわかりやすく作られています。

ただ「あ、ハン・ソロ出た~!」
「おお、この宇宙船はミレニアム・フアルコンじゃないかぁ?」
「レイア姫、やだ老けたわね・・」
という懐かしさと興奮が欲しければ4.5.6を観ていった方がいいです。(私もこのくらいはわかるのです)

今回のスターウオーズの面白エピソードとしましては東京新聞の昨年末の12月20日朝刊(公開2日後ですね)に登場人物の相関図が載せられていたそうで、それをみたファンが「やめろ、ネタバレだ!!」と怒って炎上したそうです。

血縁関係も登場人物も長いシリーズになるとかなり複雑ですし少しでもわかりやすくなればと良かれと思って東京新聞さんは企画したんでしょうね。
でも余計な人の名前も書いちゃったんです、東京新聞。
確かにそれ書いたらネタバレですけど、悪気はなかったとおもいます。
ただきっと書いた人はファンじゃなかったって事でしょう。

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さて、そんなことも話題となってしまうスターウォーズシリーズなんですがジョージ・ルーカス監督の制作総指揮、ルーカスフィルム社の制作で、ルークが主人公の3部作(4・5・6)が最初に作られて、その後アナキン(=ダース・ベーダ―)主人公3部作(1・2・3)が作られ、完結しておりました。

昨年の2015年、完結して10年後になるんですけど、新ヒロイン・レイを主人公とした新シリーズ3部作が始まりました。
最初に作られた「4」が1977年ですから今から38年前、「6」(=ジェダイの帰還)からだと32年前となっています。
今回は「6」の30年後。
ハン・ソロやルーク達を演じる俳優さんには同じ時間が経過しています。
年齢を感じる主人公たちにも長い歴史が流れているのね、その間なにが起っていたのかしらと興味が湧いてきます。

今作からルーカスフィルムはウオルト・ディズニー・カンパニーに買収され、監督は世紀のヒットメーカーと呼ばれるJ.J.エイブラムス監督に変わりました。
なので前の6本とは制作も監督も違うというわけです。

旧作フアンもいかに満足させられるかがシリーズの鍵なんですけど下りたルーカス監督本人が本作を「ファンを喜ばせるために懐古趣味をアピールしている、嫌いだ」と批判した上、「私はスターウォーズを奴隷業者に売り渡してしまった・・・」と発言したことも話題となりました。

売りとばしといてそりゃないやん、と思いますけどさすがにあとで発言は撤回。
スターウォーズの一番のファンはルーカス監督だと考えれば新作の出来上がりに満足できなかったんでしょうね。

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さてストーリーの詳しいレビューは他の方のレビューを読んでいただくとして、今回は初チャレンジしてみた4DX3Dの事を書いちゃおうと思います。

大阪・吹田市の万博公園に昨年11月にエキスポシティがオープンしました。
体感型水族館やレストラン、ショップなどを融合した大型複合施設なんですけど、そこに4DX3Dを備えた109シネマズ大阪エキスポシティもオープンしたのです。

行ってみたいとは思っていましたがいつも4DX3Dだけは売り切れ。
ですがついに体験してきました。

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4DX3Dとは3D眼鏡をかけることで飛び出してくるような立体感がある映像を楽しめる3D機能に加えて、座席が揺れたり水しぶきがかかったりという動きも体験できる、遊園地のアトラクションのような映画です。
遊園地なら20分くらいなんでしょうけど映画の上映時間2時間強をずっと飛び出した画像で揺れて観ることになります。 

料金ですが通常料金だと大人3200円。(通常料金1800円+1400円)
レィースデー(水曜)やファーストデー(1日)等割引日なら2500円。(1100円+1400円)まあまあなお値段ですがデートなら盛り上がって良さそうですね。

◆座席…かなり揺れます。たえずガタガタ動いています。
 上下、左右、前後に揺れるので急上昇する気分が味わえます。

◆風…両耳の後ろあたりからプシュ!と強い風がきます。
 私は髪が長いのですが風が来るたびに視界が自分の髪で邪魔になります。
 女性は観る前にゴムでくくるのをお勧めします。

◆水…水しぶきが顔にかかります。
 水は嫌よという方は止めるスイッチがあるらしいので初めに切っておけば大丈夫みたい。

◆香り…今回は感じられませんでした。
 緑の惑星タコダナでは草の匂いが感じられたらしいのですが・・・。

◆煙が発生するらしい…霧が出てました。これのことかな。

◆フラッシュ…劇場に時々閃光が走ります。

◆雪…雪のシーンがありましたのでその毎に数回降ってきました。これはなかなか綺麗です。
 スクリーンの前に降るのでスクリーンの大きさより広い範囲で降ってくるという感じです。

◆泡は今回はよくわかりませんでした。

観終わってから思うのはトイレには始まる前に必ず行っておいた方がいいです。
途中退席は難しいです。
それと絶えず揺れるのでポップコーンや飲み物は持ち込まない方がいいです、飲んでる暇もありません。

主人公レイとダース・ベーダ―後継者との思考を読みとり合うシーンなど、心の動きにも緊張感が体感できます。

背中にも仕掛けがあって座席がドンドンと後ろから押してくるのでこれはちょっとびっくり。
100㎝以下のお子さんは視聴できないのは頭殴られることになるからかな。
120㎝のお子さんは保護者と一緒なら鑑賞できます。膝にのせたりチャイルドシートは禁止です。

それと妊娠中の方、車いすの方、ご年配の方、体に疾患のある方、体調が悪い方、お酒を飲んでいる方、車酔いしやすい方、身体、精神に敏感な方もダメって最初に注意事項が出てきます。
料金にはちゃんとシニア料金もあるわけだしネットで席をとれるわけだし、どこからをご年配とするのか?とおもいました。結局は自己責任になるんでしょうかね~。

最後に、座席は前の席の方が雪も匂いも体験がよりよく出来そうです。
雪が落ちてくるのはスクリーンの前だけなので近い方か良さそう。
私も次があれば座席は一番前でにしたいと思います。

最後に疑問が一つ。球体ドロイド BB-8はなかなか可愛いんですけど、なんでレイだけBB-8の機械音の言葉がわかるのかしら?
次を観たらわかるのかな。楽しみに待つとしましょう。 ★★★★ 


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白鯨との闘い [映画【は行】]

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予告映像から『ジョーズ』みたいな映画を想像していましたが違います。
お話の中盤に賢い白鯨が出てきて人間は一方的にやられてしまいます。

映画の原題は「IN THE HEART OF SEA」。
白鯨をタイトルにした邦題は映画館に来てほしいという配信会社の願いからなんでしょうか。
ちょっと騙された感があります。
内容に触れますのでこれからご覧になる方は読まないでね。

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それはまだ石油が無かったころのアメリカのお話。
灯りには鯨の油が使われていました。

捕鯨船の船乗りは巨大な鯨を捕まえてはその油を絞りとり、 鯨油を船にいっぱいにして帰ってきていました。
その時の収穫次第ですが1年で帰れれば早い方、3年くらいは航海をしていたようです。

1950年、駆け出しの小説家メルヴェル(ベン・ウィショー)は1819年に出航して白鯨と戦って沈没したという捕鯨船の生き残りのマシュー(ブレンダン・グリーソン)を訪ねます。

マシューは最初は嫌がりますが、全財産を払うというメルヴェルに当時の様子を話し始めます。
そこから回想となって老人は14歳の少年(トム・ホランド)へかわり、画面には大海原が広がっていきます。

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捕鯨船エセックス号は育ちも意見も合わない船長ボラード(ベンジャミン・ウォーカー)と一等航海士チェイス(クリス・ヘムズワース)の不和はありましたが最初の鯨を無事に捕獲します。
歓喜する船員たち。
当時の捕鯨の様子がこれでもかとしっかり描写され、かなり生臭い画像が続きます。

でも次の鯨が見つからないエセックス号、船いっぱいの油にしないと帰れません。
鯨を求めてどんどん陸地から離れた海域に乗り出してしまいます。

ついにマッコウクジラの大群が見つかるのですが、鯨の群れのリーダー白鯨に船を破壊されてしまいます。
船を失くした船員たちは3隻のボートで逃げ出します。
でもそこからの漂流は過酷でした。
長い期間の漂流にはわずかな食料と水では足りず、生き残るためには非常な選択が必要でした。

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『ライフ・オブ・パイ』のような漂流シーンが後半は延々と続いて、でも『ライフ…』みたいに都合よくトビウオの大群がやってくるわけではないので、なんでマシューは老人になるまで当時の様子を誰にも話せなかったのか、その真相ががわかっていきます。
死んだ船員の肉を食べ、次はくじで誰かが死んで食料になるかを決める、生き延びるために。

元船員の隠された話を全て聞いた小説家は真実とは違った形で翌年『白鯨』という名作を書き、一方秘密にしてきた事件を誰かに話すことでマシューは過去の罪から解放されるというものでした。

嵐と風、そして襲い掛かる白鯨に船酔いしそうな海の描写、臨場感がありました。
結局、人間は鯨を捕獲しすぎたために鯨がいなくなり、遠くまで出かけたら頭の良い白鯨に返り討ちに合ってしまった・・・。
そんな皮肉にも受け取れる内容でもあります。

やがて石油が見つかり捕鯨の時代は幕は下を下すという時代の変わり目でもありました。 

一等航海士役のクリス・ヘムズワースは『マイティ・ソー』のソー役ですよね。
かなりマッチョですけど撮影は過酷だったと思います。
ほかの役者さんも豪華で、注目は若きマシューを演じるトム・ホランド。
17年公開の新「スパイダーマン」に抜擢されているということです。

ロン・ハワード監督とクリス・ヘムズワース は『ラッシュ/プライドと友情』でも組んでます。 ★★★☆

おまけ。

 


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ブリッジ・オブ・スパイ [映画【は行】]

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私の今年はこの映画から。
スピルバーグ監督とトム・ハンクスの新作です。
しかも脚本はコーエン兄弟という夢の組み合わせ。
これは観なきゃと思っていました。

スパイ映画が多かった昨年でしたが、去年観たどれよりもこの映画が一番現実的なスパイ映画でした。
なんたって実話ですしね。
この映画に出てくるソ連のスパイはとっても地味。
そしてトムはスパイではなく、そのスパイを弁護することになったアメリカ人弁護士役です。

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ジェームス・ドノヴアン(トム・ハンクス)は優秀な弁護士。
時は米ソの冷戦時代。
アベル(マーク・ライランス)という男がソ連側のスパイ活動でCIAに捕まり、たとえ憎き敵国のスパイといえどもちゃんとした弁護士もつけずに裁判するのはアメリカとしてはまずいってことで上から指名されて国選弁護人にさせられてしまいます。

全国民から嫌われ者になることがわかっていますから最初は渋々引き受けるのですけど、弁護を引き受けたからにはきっちりとやる男、ドノヴアン。最善を尽くすのです。

案の定、なんで敵のスパイの肩を持つんだと怒り狂うアメリカ市民からは電車の中では冷たい視線を向けられ、やがて自宅に銃弾まで撃ち込まれることに。家族にまで命の危険が迫るのです。
でもそんな危険にさえも気持ちを曲げず、弁護人を守り切る正義の人がトムにとっても似合います。
そしてアベルとドノヴァンには国を超えた人と人との友情、信頼関係が育っていくんですね、ここもしっかり描かれていきます。

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当然ですがアメリカもソ連にスパイ活動を行っております。
今度はアメリカ人の偵察機パイロットがソ連側に捕まったのでアベルを交換に使おうということになるんですね。

交換の交渉にはアメリカ政府が関わっているのではない、という建前で行うこととなりその任務はドノヴァンに委ねられます。

ベルリンの壁がまさに築かれつつあった東ドイツに交渉に向かうドノヴァン。
当時西ドイツはアメリカが、東ドイツはソ連が支配していたので交換がスムーズだったからです。
ちょうどそこで、別件でアメリカ人学生が東ドイツに連行されてしまうという事件が発生していました。

助け出すのはパイロットだけでいいというアメリカ政府、でも学生も助けたいドノヴァン。
ドノヴァンの鋼の意思で2人の別々のアメリカ人捕虜をソ連と東ドイツから助け出そうとするのですが・・・と映画は後半さらに切迫した状況になってしまうのです。

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東西を分けていたドイツのグリーニッケ橋。
ここで行われる捕虜の交換、とても切ないです。

緊張が続く内容、しかも超寒そうでしたが、ドノヴァンが妻へのお土産を渡すラスト近くのシーンやアベルとの裁判中の会話、「心配じゃないのか?」 「それが役に立つのか?」という印象的なセリフにもちょっと笑わせられ、ユーモアも忘れないやっぱりうまい職人映画だなって思いました。

もしかすると2月に発表される今回のアカデミー賞で最優秀助演男優賞に輝くのはこの切ない男・アベルを演じたマーク・ライランスじゃないかなーと現時点で私は思うのですが・・・どうでしょうね。 
      ★★★★ 

 


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