SSブログ
映画【あ行】 ブログトップ
前の10件 | 次の10件

アナと雪の女王 [映画【あ行】]

E382A2E3838AE381A8E99BAAE381AEE5A5B3E78E8B.jpg

本年度アカデミー賞の主題歌賞、長編アニメーション賞2冠に輝いた『アナと雪の女王』を観てきました。
うちの近くの映画館では3Dはもうやってなかったので2D吹替え版で鑑賞。
土曜日の朝一で行ったんですが春休みは終わっているのにいっぱいの子供たち。
すごく大人しく観てくれていたのには驚き。
雪だるまやアナの変顔や面白いシーンには素直に笑いが湧き起こっていました。

princess_anna_frozen-wide.jpg

アカデミー賞長編アニメーション部門には宮崎監督の『風立ちぬ』もノミネートされていましたが、こちらの『アナと雪の女王』が受賞しました。
3月14日から公開されると日本でも爆発的に人気が出て、興行成績も連続ナンバー1に。
もうどこまで記録を伸ばしていくのか、ってお話になっているようです。
リピーターが2D、3D、吹替え版、字幕版と何回も見ていることもこの記録の原因かも。

disney-frozen_elsa-wide1.jpg

そんな映画を私もやっと観てきたんですけど、なるほど。
正直とても面白かったです。もう一回最初から観てみたいですもの。

ストーリー展開がサクサクで、時間が短いのもいいです。
主人公の両親は国王とお妃なんですけど詳しい説明もなくお亡くなりになちゃって本題の二人の成長後の話になっちゃいます。
途中から出てくる雪だるまもとってもいい奴。もうちょっと可愛けりゃいいのに。

27448117.jpg

ストーリーはある国の幼い王女姉妹はとても仲良し。
でも金髪の姉エルサは小さい頃から触るものを凍らせる魔法の力を授かっています。

茶色の髪の妹アナはそんな姉に雪を降らせて遊ぶのが大好き。
でもエルサの魔法が偶然妹の頭に当たってしまって死にそうになってしまいます。

それで王様はエルサをお城に隠して引きこもりにしちゃいます。
エルサも妹の命を奪いそうになったことで自分の能力を恐れるようになるのです。
アナは一命は助かるのですがそんな過去の記憶を消されて、姉と会うことも出来なくなり寂しく成長していきます。

王様とお妃さまが船の事故で亡くなり時は流れ、アナがエルサに会えたのはエルサが女王になる戴冠式の日でした。
その日にある国の王子ハンスと出会って一目ぼれするアナ。
直ぐに彼と結婚したいと女王になったばかりのエルサに頼みにいきます。
でも会ったばかりの男と結婚するというアナにエルサは驚き結婚は許しません。
そして感情が高ぶって今まで秘密にしていた氷の魔法がばれてしまいます。

そのまま深い山に隠れてしまった姉を探しにいくアナ。
国中がエルサの魔法の力で凍りついてしまっていたのです。

山にたどり着く途中で出会った青年クリストフと魔法で生まれた雪だるまのオラフ。
やっとの思いでエルサの氷の城に着いたアナは魔法を解いて国を夏に戻してほしいと頼むのですがエルサには魔法を解く方法が分かりません。
エルサに追い返されたアナ、エルサの魔法が心に当たってしまって再び命が危なくなってしまいます。

1-14030Z23125.jpg

アナの命を救うただ一つの方法は「真実の愛」。
山で出会った青年クリフトフと王子のハンス。
どちらも性格よさそうだし、これから、うわ、もしかして三角関係?
アナの危機に馬ならぬトナカイを走らせるクリストフ。

真実の愛にはやっぱり真実のキスよね♪
でも・・・。

普段は伏線ぐちゃぐちゃの映画ばかり観てる私。
今回は「真実の愛ってそうきたか~。」と心が洗われるようでした。
やっぱりディズニーの魔法はこうでなきゃ。

歌いだしたくなる曲のオンパレード、映像の美しさは素晴らしいです。
松たか子さんの歌う「ありのままで~♪」はYou Tubeで観ていたのですけど、お城を飛び出しお山に逃げてきたエルサが、もう怯えた生活は止めてここで自分らしく自由に生きていこうと歌い上げるシーン。
氷のお城が魔法でそびえ立つのは圧巻です。
最後に変えるドレスも素敵。


観てない方は今からでも大画面で是非ご鑑賞を。    ★★★★☆

でも、「眠れる森の美女」のフィリップ王子に勝る王子はまだ出てきませぬ。

監督はクリス・バック。


あなたを抱きしめる日まで [映画【あ行】]

 poster2.jpg

第86回アカデミー賞主演女優賞ノミネート、ジュディ・デンチの『あなたを抱きしめる日まで』を観てきました。
残念ながら受賞は逃しましたがさすがジュディ・デンチ。
79歳とは思えない凛とした演技。そして感動の映画でした。 

映画はイギリスのベストセラー、マーティン・シックススミスのノンフィクションを映画化したもので実話をベースに描かれています。

ある日フェロミナ(ジュディ・デンチ)は娘ジェーンに古びた写真を見せ「貴方の兄の誕生日なのよ、今日で50歳になるの」と打ち明ける。
自分に兄がいたことに驚いた驚くジェーン。
フェロミナは自分の未婚の時に生んだ息子の事、その時の様子は誰にも話さず秘密にしてきたのだが、歳を重ねるにつけ生き別れになった息子に会いたい想いがつのり娘に打ち明けたのだ。

f0165567_632068.jpg

カトリックの戒律の厳しいフェロミナが住んでいたアイルランドでは未婚で身ごもることは大罪であった。
親に強制的に修道院に入れられたフェロミナはそこで出産し、無料奉仕をしながら修道院で暮らしていたのだが息子が3歳になったある日、アメリカからきた夫婦に養子にだされてしまっていた。

ジェーンは偶然知り合ったジャーナリストのマーティン・シックススミス(スティーブ・クーガン)に母と会ってほしいと頼む。
そしてマーティンと共に息子探しの旅に出るフィロミナ。
かつて自分が暮らしていた修道院、そして息子が養子に出されたアメリカへも。

そこでわかってきたことは、フェロミナが信じていたカトリック教会が未婚の娘の子供を子供を欲しがる夫婦へと斡旋していると思っていた慈善活動が実は人身売買であったという事実だった・・・・。

p_03554r_lg.jpg

果たして彼女は息子と会うことは出来るのか。
修道院は彼女(達)にしてきたことを認めるのか。
ジャーナリストのマーティンの取材の力で隠されていた秘密やマーティンと息子の意外な接点などが次々に明らかになっていきます。
とても辛いテーマですがマーティンとフェロミナの交わす会話はとても面白く、最後はまるで親子のよう・・・。

宗教の規律が絡むと日本人にはちょっとわからない部分があるんですが、息子を奪った修道院のシスターにそれでも「赦す」と言えるフェロミナのピュアな心が悲しくも美しい映画でした。     ★★★★

 監督;スティーヴン・フリアーズ


ウォルト・ディズニーの約束 [映画【あ行】]

f0064229_16112471.jpg

 

大人に観てもらいたいディズニー映画でした。

ウォルト・ディズニー氏がメジャー映画に描かれたのは初めてだということです。
でも主人公はウォルトではなく彼が制作してアカデミー賞5部門で受賞したミュージカル映画『メリーポピンズ』の原作者パメラ.L.トラヴァースのお話です。

347796view001.jpg

‟娘が大好きな童話『メリーポピンズ』を映画化したい”とウォルト・ディズニー(トム・ハンクス)から映画化の話を受けても偏屈なイギリスの児童作家パメラ.L.トラヴァース(エマ・トンプソン)は映画の権利を長年譲りませんでした。

オファーから20年も経った今回、彼女は渋々ハリウッドに出かけることとなります。
それは金銭的な問題の様です。
嫌々訪れる滞在先は全て気に入らないパメラ。
浮ついたカリフォルニアの晴れた天気も、滞在するホテルの部屋に置かれたディズニーのキャラクターのぬいぐるみも気に入りません。
部屋に置かれたフルーツの洋ナシなんて見たくもないと窓の外に投げ捨ててしまいます。

ディズニー社にミーティングに行けばミュージカルなんてとんでもない、アニメなんてとんでもない、アメリカの商業主義の映画なんてとんでもない、お話の主人公たちが住む町の番地まで気に入らないと小言を言っては製作者たちを困らせます。

でもそこまで細かくパメラが物語にこだわるのは何故なのか?
偏屈おばさんの現在と交互に映し出されていくのはパメラの少女時代でした。
347796view005.jpg

その幼少期の思い出が進むにしたがって今まで聞いてきた彼女のお小言の謎が「なるほど」と理解できていきます。
ラストの映画の試写会で彼女があれだけ嫌がっていた商業主義が詰まったミュージカル映画で大泣きしてしまう姿に私もジーンとしてしまうのです。

347796view003.jpg

私は映画『メリーポピンズ』を観たことは無かったのですが実写とアニメーションの融合映画だということは知っていました。
でも映画化されるまで原作者との間にこんなことが起こっていたとは。

映画の原題は「Saving Mr. Banks」。
ミスターバンクスとは『メリーポピンズ』の物語の中のお父さんで、モデルがパメラの父。

パパが大好きだったパメラ。
オーストラリアで暮らしていた幼い頃、銀行家のやさしいパパ(コリン・ファレル)は仕事が長続きをせずアルコール依存症になってしまいます。
その頃の悲しい思い出が童話「メリーポピンズ」となっていたのです。

347796view002.jpg

父を守りたいというその想いが充分過ぎるほど理解できるウォルト。
一匹のネズミを愛してやまないのはウォルトも同じなのですから。
ラスト近くのトム・ハンクスとエマ・トンプソンの会話はディズニー映画はなぜ悲しいラストは無く、楽しく作られるのかも一緒に語られていきます。
まさにこの映画のポスター。上手いですね。

パメラの父を演じるコリン・ファレルが素敵です。
コリン・ファレルらしくないからかな。笑。
パメラが唯一心を許した運転手役にポール・ジアマッティ。
こちらも彼とはわからなかったです。

エンドロールにパメラが契約の為に録らせた肉声が流れます。
ラストまでひねりの効いた、ほろりと泣ける素敵な映画でした。   ★★★★☆

監督はジョン・リー・ハンコック『しあわせの隠れ場所』


新しき世界 [映画【あ行】]

poster2.jpg

韓国映画のパワーはすごい。

元はいくつかの犯罪組織で形成されている会社の会長が突然の事故死。
次のリーダを巡りそこから跡目騒動が勃発する。

跡目ナンバー2の幹部・チョン・チョン(ファン・ジョンミン)の右腕・ジャソン(イ・ジョンジェ)は実は潜入捜査でソウル警察のカン課長(チェ・ミンシク)に捜査を命じられた警察官であった。

警官という正体を隠しカン課長に時々会っては組織の情報を渡すジャソン。
しかし自分と同じ中国系韓国人であるチョン・チョンとの間には長い潜入の間に兄弟のような感情を持っていた。

ジャソンが警官であるということを知るのは課長のみ。
身重の妻の為にも早くこの任務を終わらせ、警官に戻りたいと課長には何度も頼んでいるのだが警察内では組織のリーダーの急死を契機に組織の一網打尽を目的とした捜査作戦が動き出していた。

347498view001.jpg

『インファイナル・アフェア』の韓国版といった潜入捜査映画です。
主人公の正体を知るのも何人かの上司だけ、そのデーターを消されてしまえば主人公はまともな世界には二度とは戻れないという恐怖を抱いて働いています。
潜入している会社はもともといくつかのヤクザグループが集まって作られたもので事故でトップがいなくなった今、誰が後のリーダーになるかを睨み合っている状態。
こちらもお互いが生き残るためにじりじりと緊張がつのっていく感じが息が苦しくなるほどです。

主人公はヤクザのナンバー2のところに送り込まれてかなりの信頼を得てはいますがいつばれるかもしれぬ恐怖で一刻も早く抜け出したい。
でも彼を潜入させたソウル警察のカン課長を演じるのはなんと名優・チェ・ミンシク。
「オールド・ボーイ」「悪魔を見た」「悪いやつら」「シュリ」などなど、彼が演じる今までの役をみても「ハイそうですか」と素直に主人公の願いを聞いてくれるはずもなく、というか目をつけられたのが主人公の運のつきという感じ。

次までやってくれたらいいんだとか、今度が終われば外国で高額な給料で働けるように計らうだとか・・・いいように騙され?飴と鞭でこき使われているのです。
しかも主人公以外にも警察が送り込んだ潜入捜査官は何人もいてお互いはそのことを知らされず過ごしているのでばれてしまうと主人公の手で同僚を消すという重いシーンも出てきます。

組織のボスの突然の事故死も実は誰が仕掛けたものなのか。
そして張り巡らされたクモの糸でぐるぐる巻きに身動きが取れないのは主人公だけではなく、主人公の妻も、警察課長もヤクザたちもまた、という泥沼状態でラストはいったいどうなってしまうのか。

347498view003.jpg

最初から最後まで人が半端なく死んでいきます。
ヤクザたちは歯向かったものはドラム缶にコンクリート詰めで暗い海へと沈めていきます。
こんな調子だと韓国の近海ではドラム缶だらけなんじゃないかと思われるほどです。
頭から血を流している人がどんだけ出てくるか。
邦画の戦争映画より悲惨なシーンの連続ですが・・・・邦画だと戦争映画でもここまでやるとやりすぎだとどこからか批判されてしまうんでしょうか。あたり障りない映画が多いですけど。

「新世界」とは組織を潰すための警察が名付けたコードネーム。
やがて警察が主人公に突きつける恐ろしい提案。
民族問題がどす黒く根底に流れながら警官としての誇りを選ぶのか全てを包み込む兄弟の情を選ぶのか。

347498view007.jpg

主人公を演じるイ・ジョンジェは韓国では人気の俳優さんの様です。
いい人で実は気弱そうな主人公が張りつめた世界で変わっていくさまはとても上手い。
ハリウッドリメイクも決定済み。

ラストはおまけ映像があるので(韓国映画には多いですね)直ぐに席をお立ちにならぬよう。

 ★★★★ 具合が悪くなるくらい血まみれシーン多数。体調がいい時に観ましょう。

脚本と監督はパク・フンジョン、女性の監督さんということで驚きます。


永遠の0 [映画【あ行】]

img_414868_25670493_0.jpg

祖母の葬儀の日、泣き崩れる祖父の大石賢一郎(夏八木勲)に驚く家族たち。
祖母の死後、実は祖父・賢一郎は祖母の再婚相手であったことを母・清子(風吹ジュン)より初めて聞かされる健太郎(三浦春馬)たちだったが、娘である母自身も実の父については何も聞かされていなかった。

司法試験に落ち続け人生の目標を見失いかけている健太郎は26歳。
目的も見いだせないある日、フリーライターの姉・慶子(吹石一恵)にアルバイト代を出すと言われ太平洋戦争でゼロ戦の特攻により戦死したという実の祖父・久蔵(岡田准一)を調べることを頼まれ、久蔵の元戦友たちの消息を調べ証言を聞いていくうちに祖父の実像を知っていく。
凄腕の戦闘機乗りでありながら戦いからは逃げて生きることに執着した祖父・久蔵。
やがて健太郎が行き着く真実とは・・・。

346152_002.jpg

実は観るつもりはなかったのですが、最近原作を読んだKさんに誘われ、12月末公開より興行成績が全く落ちることないものすごい映画ということにも興味もあり行って来ました。
この映画に批判的な井筒監督や宮崎駿監督のコメントも気にはなっていましたしね。
1日は映画の日ということもあってか最終のレイトの時間でもまあまあの入りでやはり人気の高さをうかがわせます。

三浦春馬さん演じる今時青年が同じ年に特攻で亡くなった久蔵の事を調べるストーリーを軸に、時代は久蔵の生きる過去へ変わり、そしまた健太郎が生きる現在へと行ったり来たり。
存在すら知らず、名前も知らなかった本当の祖父・久蔵とはどんな人であったのか。
調べ始めてすぐの戦友たちが語る祖父は臆病者だったというものが多く、健太郎のやる気もダウンしていくのですが、やがてヤクザになった戦友(田中泯)や社長として成功した戦友(山本学)、久蔵に励まされ生き抜いた戦友(橋爪功)などの話を聞いていくと別の側面が浮かび上がっていきます。
そして最後に行き着いた久蔵の話を聞くこととなる戦友とは実は・・という謎解き要素もあり面白い構成だったと思います。
『ALWAYS』シリーズなどの山崎貴監督の映画なのでハリウッド映画とは違い予算もままならぬ邦画としてはVFXも頑張っていると思いました。

が、なんでしょ。久蔵さんは戦争が終わった後の日本を預言者のように語るのには違和感がでてきます。
戦争に負ければ国は亡びると教育された時代に、今思えばそうなんだろうけど当時わかるはずもなかった未来の(今の)日本で頑張れる人材が死ぬことを恐れ怯える姿や、真珠湾での成功に喜ぶ味方をよそにアメリカの空母が沈められないことは失敗だったことを言い当てている事もちょっと無理を感じてしまいました。

戦争を嫌い、必ず生きて帰ると公言する久蔵がなぜ職業軍人という仕事を選んでいたのか、なぜ最後の最後に特攻として志願したのかが映画では描き切っていなかった気がします。
原作を読んだ方なら納得したのでしょうか。
原作はこれから読んでみるつもりです。

  ★★★☆

346152_001.jpg

 

健太郎の血のつながらない祖父を演じた夏八木勲さんは2013年5月11日に膵癌の為亡くなっています。
ハリウッド映画の「終戦のエンペラー」(7月27日公開)、カンヌ国際映画祭で受賞の「そして父になる」(10月5日公開)などお亡くなりになったあとも映画が次々に公開されていますが、癌が見つかっても手術はせず俳優としての生活を選んだ夏八木さんの作品を観るのもこれが最後かもしれないです。
今作は特に自身の死を見つめながら演じられた役だったのかと思い胸が痛かったです。


おじいちゃんの里帰り [映画【あ行】]

poster2.jpg

ドイツ・トルコ映画です。

トルコから家族を養うためにドイツに出稼ぎに出たフセイン(ヴェダット・エリンチン)。
フセイン爺ちゃんが出稼ぎにきた1960年代はドイツは沢山の外国からの労働者を受け入れ、それがドイツの復興と発展を支えました。
そんな彼も今では70代。
家族を呼びよせドイツに家も建て、幼かった子供たちも成人となり孫も生まれ気が付くと50年が過ぎ、遂にドイツの国籍も手に入れることになりました。
手放しに喜ぶ妻を見るにつけ心になにかが湧いてきます。

346764view005.jpg

やっぱり心まではドイツ人になりきれないフセイン爺ちゃん。
移住者代表として大統領を前にスピーチを依頼もされたんですが、どうしてもその前に一度故郷に帰りたい。
爺ちゃんは奥さんにも内緒でトルコに家を買っていてその家をみんなで改装したいので手伝ってほしいと言うのです。

それぞれの生活や悩み事で忙しい家族は「なんでそんなことを?」と怒り出すのですがフセインの強い願いに折れた形でしぶしぶ一緒に旅立つことになります。

346764view003.jpg

大学生の孫娘・チャナンは家族に内緒で付き合ってる彼がいて、最近妊娠していることもわかりそれどころじゃない。
母に打ち明けられずにいるうちに旅に参加しますが、彼女が幼い従兄弟・チェンクに祖父母の馴初めや、トルコ時代のお話、ドイツに来てからの話を語っていくという形で過去と現在が行き来していきます。

チェンクはお父さんがトルコ人、お母さんはドイツ人。
学校でも喧嘩するほど自分がトルコ人なのかドイツ人なのかを悩んでいるので興味は尽きません。
若き日の爺ちゃんはなかなかハンサムで婆ちゃんも可愛んですよ。
そのお話はおとぎ話の様でもあり面白可笑しく進んで行きます。

やがて過去と今がしっかりと重なって爺ちゃんの運転するオンボロ大型バンはトルコの田舎道を快調に走っていきます。
途中、みんなで笑って大家族の集合写真もパチリ。
爺ちゃんは孫と床屋で髪も切り、大統領の前で披露するスピーチの練習もして、踊りも踊って楽しく過ごしていたのに。
爺ちゃんにはある異変が・・・・。
まさかこの写真が最後の家族写真になるなんて。

346764view004.jpg

お話はそれからも続き、映画が終わるころにはぽろぽろと涙が流れてしまいました。
今年最後の映画がこの映画で良かったなとも思いました。

346764view006.jpg

暖かなトルコ愛に満ちた映画です。
ドイツで生まれ育ち故郷を知らない孫たち、そして故郷を忘れて暮らす妻と子供たちにも一度見せたかった懐かしい村。
爺ちゃんの埋葬にあたふたして、爺ちゃんがするはずのスピーチはどうなっていくのか。
いなくなった爺ちゃんはバラバラだった家族を一つにまとめていくことになります。

幼い孫息子・チェンク役のラファエル・コスーリスくんがとにかくかわいい映画でもありました。

監督;ヤセミン・サムデレリ    ★★★★★


あの頃、君を追いかけた [映画【あ行】]

85efbd1a4b9f715a3511995a1184d3d9.jpg

台湾の人気作家ギデンズ・コーが自身の自伝的小説を映画化したものです。
青春は恥と後悔と初恋で作られる・・・というコピーと評判の良さで観に行ってきたんですがものすごい下ネタオンパレードにびっくり仰天。
これって男の子なら当たり前の青春の甘酸っぱさなのかなあ?

img_1780056_65707231_3.jpg

1994年、台湾中西部の都市・彰化。高校生のコートン(クー・チェンドン)は、中高一貫の高校に通っていた。
彼は同じクラスの親友達と同じくクラスのマドンナ・チアイー(ミシェル・チェン)に夢中。

ある日コートンは授業中彼女をかばったことがきっかけで大接近。
「自分よりバカは嫌い」という彼女の為にそれまで全く興味がなかった勉強に目覚める。
やがて告白出来ないまま卒業の日がやってきて大学は別々になってしまう二人だった。

346071view002.jpg

同級生の男5人女2人が織りなす1994年から2005年までの日々です。
バカばっかりやっている主人公の男の子が想いを寄せるのはしっかり者で可愛い委員長。
勉強で勝ったら俺の好きなポニーテールにして欲しいとは・・・ん~。

346071view007.jpg

お話は実話だそうですがなんだかどこかで聞いたようなストーリーです。
少し前に月9で放映されていた山ピー主演の「プロポーズ大作戦」にも似ています。
違うのは時間を操れる妖精が出てこないからタイムスリップしてやり直すことはしないです。

大学時代に別れた、大好きだった幼馴染の彼女は他の男と結婚することになり彼女の結婚式に出席する主人公は過去を振り返ります。
いつまでもガキなままの俺と手の届かない遠くに行ってしまう彼女。
青春の思い出にはいつも出てくる女の子。

346071view005.jpg

日本びいきと言われる台湾ですが「スラムダンク」や「ドラゴンボール」や「飯島愛」さんの当時の人気の高さが伝わってきました。台湾のことが身近に理解出来る映画でした。

そしてお国は変わっても男の子って親や先生が何度怒っても変えないことを彼女の言葉で変えられちゃうんですね。
  ★★★☆

 

 原作・脚本・監督;ギデンズ・コー


アイアンマン3 [映画【あ行】]

iro3_2.jpg

”さらば、アイアンマン”って事でシリーズも3作目、トニー・スタークは『アベンジャーズ』にも出演してますけどこれでさよならなんでしょうか。

ref15-28303.jpg

アベンジャーズで戦ってから1年後のお話。
ニューヨークでの死闘の後、億万長者で天才発明家のトニー(ロバート・ダウニー・Jr)はPTSDにかかっていてパニック障害を起こしています。
神だの宇宙だのの戦いの後ですものね。
会社は恋人のペッパー(グウィネス・パルトロー)に任せ新型スーツの開発に没頭する毎日。
1年の間に遠隔操作で動く「マーク42」の他、新型スーツを35体も作っている様子。
それでも不安で夜も眠れず、寝ても悪夢にうなされるトニー。

そんな中、“マンダリン”(ベン・キングズレー)という正体不明の敵に襲われ自宅を爆撃され全てを失ってしまうトニー。
かろうじて逃げ切った場所で一人の少年と出会い整備士としての楽しさを甦らせ、再び敵に立ち向かう。

sub2-1_large.jpg

監督が『アイアンマン』『アイアンマン2』のジョン・ファヴローからシェーン・ブラックに変わっています。
でもジョン・ファヴローは俳優として前作同様、ハッピー・ホーガン役で出演しています。
途中で大けがしちゃうトニーの親友がそうです。

それにしてもロバート・ダウニーJrはアイアンマンが似合いますね。
口が悪くて態度も悪くて、それで敵を作ってしまうダメ男。
「アイアンマン」としては最後かもですが他のマーベルコミックの作品で会えるんじゃないかなあというラストでした。
おまけ映像があると分っているのかエンドロールが始まっても席を立つ人はなく、お決まりの次回のヒント、今回はロバート・ブルース・バナー博士(ハルク)との短いシーンが流れますから絶対座って待っててね。

sub1-2_large.jpg

今回は遠隔操作によって沢山のスーツを脱いでは着て、壊されては捨て、誰かに着せて守り・・・と何通りもの使い方。
ストーリーも視覚もスピード感に溢れあっという間の上映時間でした。
これぞハリウッド映画、素晴らしい技術と資金で作られていて飽きさせません。
トニー・スタークの武器は機械やスーツではなく天才的な頭脳と判断力だってことが証明されますね。

mandarin-ironman-3.jpg

敵のマンダリン役にはサーの称号も持つアカデミー賞俳優ベン・キングズレー、最近は「ヒューゴの不思議な冒険」に出てましたよね。彼をこんな役にもったいない。


03_1.jpg

それと天才生物学者との研究で自身も怪物になっちゃったキリアン博士にはガイ・ピアーズ。
これまたいつもとはかなり違う扮装で出演。最初の長髪の時は彼とはわからなかったです。

130311ironman3-diy.jpg

3Dで観ましたがとてもすごい映画でした。絶対映画館で見る映画、出来れば3Dでね。
マーベル・コミックは今後もシリーズで作品を発表する予定です。

★★★★☆


英スクリーン・デイリーによれば、シリーズ第2弾「マイティ・ソー/ダーク・ワールド(原題)」が先頃クランクアップ。
また、「ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー(原題)」も今夏より撮影が始まる予定。
また「アベンジャーズ2」は14年初頭に英シェパートン・スタジオで撮影開始されることがわかったと報じています。

今回のラストで新しく蘇ったトニーにまた会いたいです。


愛、アムール [映画【あ行】]

E6849BE38081E382A2E383A0E383BCE383AB1.jpg

第65回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞。第85回アカデミー賞外国語映画賞受賞。

フランス・ドイツ・オーストリア映画です。

妻・アンヌを演じたエマニュエル・リヴァは史上最年長のアカデミー賞主演女優賞候補として話題になりました。

344164view003.jpg

パリに住む裕福な元ピアノ教師の老夫婦。

教え子のアレクサンドル(アレクサンドル・タロー)を世界的なピアニストに育てあげ、彼のコンサートを聞きに行った幸せな夜・・・その日を最後にジョルジュ(ジャン=ルイ・トランティニャン)とアンヌ(エマニュエル・リヴァ)の生活は一変する。
アンヌは病に倒れ、手術も失敗に終わり、半身不随で車いすの生活となってしまったのだ。
病院を嫌う彼女の願いを受け入れるジョルジュ、妻の介護を自宅で行うことに。

一人娘のエヴァ(イザベル・ユペール)や、階下の管理人夫妻には献身的な夫として尊敬されるような介護の日々。
看護師を雇い、医師にも来てもらい、ヘルパーも雇って介護を続ける。
しかし妻は体だけではなく心も少しづつ壊れ始め、支えていたジョルジュの負担は大きくなっていく。
一日のほとんどを眠り続け、目が覚めると「痛い、痛い・・」とうなり声を上げる妻の手のひらを撫でながら優しく自分の子供のころの思い出を語り始めるジョルジュだった。

344164view005.jpg

静かで重い映画でした。
前回観た「マリーゴールドホテルで会いましょう」はインドの明るい空と原色の景色、賑やかな音楽、新しい恋。
生きる喜びの映画でしたが正反対の映画です。

始めのシーンで演奏会から帰ってきた時に妻のコートを当たり前のように脱がしてハンガーにかける夫。
ラストにも妻に促され二人でコートを着て部屋から出ていくシーンがあります。
なんてお互いをいたわり分かり合っている夫婦なんだろう、素敵なご主人に愛され幸せな生活を続けてきた妻。
そんな二人の終焉。

老夫だけで老妻を介護するということ。
「もう終わりにしたい」と嘆く妻に夫が「これが逆だったらどうするんだ?」
「想像と現実は違うわ、どうするかなんかわからない」と妻。
そんな会話も出来ていたうちはまだ良かったんですが、やがて動けなくなり、ベッドにお漏らしをしてしまいショックで苦しむ妻をも残酷に映し出していきます。

この状態はどうにかならないのだろうか。
どこまでが夢なのか現実なのか。
ヘルパーがアンヌにしたクビになるような世話とは何だったんだろう。
ヘルパーをクビにした後、頑なに水を飲まぬアンヌの頬を平手で殴るジョルジュ。
二回目に部屋に入ってくる鳩は本当にいたのか、捕えた後胸に布にくるんで抱き上げて、逃がした様子は映し出されなかったような。私が見逃してしまったのか。
正気に見えるジョルジュもだんだんと夢のような精神状態に入ってしまっているのではと思わせていく。

愛する妻、美しかった妻。
最後まで彼女を看取る責任感。
そしてだれもいなくなった部屋に残された父がいつも座っていた椅子に座る娘。
真面目な夫を誰も責められないラストに、二人の命の解放を感じました。

344164view006.jpg

ミヒャエル・ハネケ監督作品。

  ★★★★


王になった男 [映画【あ行】]

main600x0_p17bireoam1fop1do8nmnq63te44.jpg

韓国映画です。

友人が観たがっていた映画ですが、私は主演のイ・ビョンホンの前回の映画『悪魔をみた』(監督;キム・ジウン)がグロくて心臓に悪かったので観るのは迷っていたんですが、評価があまりに良かったのでやっぱり観てきました。
サイコサスペンスの『悪魔…』とは全く違う人物かのようなイ・ビョンホンの演技力にこの高評価、納得致しました。

343960view004.jpg

実際に存在した李氏朝鮮の第15代国王・光海君。
度々の暗殺の危機にさらされ、理性を失い次第に暴君となった光海君(イ・ビョンホン)は家臣に自分とそっくりの男を見つけ出すように命令を下す。

やがて光海君とそっくりの容姿を持つ道化師ハソン(イ・ビョンホン・二役)が宮中に連れてこられる。
まもなく本物の王が病に倒れ、ハソンは王の影武者として王を演じることとなる。
ハソンはただ王の顔をして言われた通りに振舞えば良かった。

ハソンを本当の王と思って従う宮中の女中たち、王妃(ハン・ヒョジュ)、家臣達。
でも宮廷での生活に慣れてくると同時に湧きあがる疑問。
平民の眼からみるとおかしなことばかりの政治やしきたりにハソンは素直な気持ちで行動を始める。
大同法(国に捧げる特産物を米に統一する法律)をも施行。
そんな王を家臣たちはハソンは偽モノの王ではないかと怪しみ始めるが・・・。

343960view002.jpg

本物の王と平民の二役のイ・ビョンホンの演技がうまい。
私のイメージではカッコいい役しかやんない役者さんかと思っていたんですけど(刑事とかスパイとかお金持ちとか高学歴で・・・みたいなイメージ?^.^;)平民のおどおどした態度が凄く上手いのです。
彼はこれからこの線でいったほうがいいんじゃないかと大きなお世話ですが思ってしましました。
これからハリウッドのアクション映画に出るのにそりゃないですけど(笑)

二役なんですが影武者で王の着物を来ている時と平民の服に戻った時とでも顔の雰囲気が変わるのでまるで三役やってるみたいですね。

343960view006.jpg

ハソンを王に仕立て上げる重臣ホ・ギュン役のリュ・スンリョンもよく見る役者さんで去年は『高地戦』で渋い北の兵士役やってました。今回もいい仕事をしていました。
宮殿で彼とハソンが二人で会話をしていると誰かがやってきて、重臣と平民から王と家臣に座る場所を変えるためにアタフタしたりするシーンでは吹き出してしまいました。

そういえばこの映画なかなかコミカルなシーンも多くてハソンは宮殿に連れてこられる時は頭に袋をかけられるんですが鴨居に頭を何度もぶつけながら連れて行かれたりします。
笑ったりシリアスになったりで飽きさせません。

343960view003.jpg

でもなんといっても後半ですね。
涙を誘うのは偽王ハソンが情けをかける事で恩義を感じ、ハソンを守るために命を投げ出していく人たちがいるということ。
相手を思いやる心はやがて自分に戻ってくるってことを教えられます。
王は民を思いやるものだという基本的な事が本物の王に欠けていたのだと。

私が去年一番泣けた映画『サニー 永遠の仲間たち』で主人公の少女時代を演じていたシム・ウンギョンちゃん、今回もかなりの人を泣かせたんじゃないかと思われます。
そしてト部将役のキム・イングウォンも。

343960view005.jpg

韓国で1000万人を超える観客を動員した大ヒット作。
史実にフィクションをうまく交えてわかりやすいストーリーで最後には感動の涙も。
韓国映画未体験の方もこの機会にご覧になりませんか?
ただ、う○こシーンさえなければなあと思います。韓国映画って、多いのよね。

 ★★★★

監督はチュ・チャンミン監督。


前の10件 | 次の10件 映画【あ行】 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。